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04.06
Sat
「唇を開けて」
彼の熱っぽい瞳に見つめられて、キャサリンは眉間に皺を寄せながら唇を開いた。
ぐっと、マックスはチョコレートを彼女の口の中に押し込む。

マックスの指が唇に触れ、なぞる様に唇を撫でる。
キャサリンは、胸の頂が緊張するのを感じた。

彼はもう一度、グラスの液体を自分の口に運ぶと、彼女の後頭部に手をやり、口づけをした。
同時にキャサリンの口の中に、強いアルコールの刺激と芳醇な味わい、チョコレートの甘さが広がる。

「ん・・・」
キャサリンは彼の舌を待つように、自然と目を閉じていた。
だが彼は、それ以上進んでは来なかった。

「・・・チョコレートにはブランデーが良く合う、だろ?」
マックスは彼女から唇を離すと言った。

――確かにおいしいわ。
キャサリンは、舌の上で転がすようにブランデーとチョコレートを味わうと、ごくりと飲んだ。
強いアルコールの熱が、喉を下って行く。

だが、先程思った事をはっきりと彼に伝えなければならない。

「マックス、こんな事は、良くないわ」
キャサリンは絞り出すように言った。
羽織っているバスローブは乱れていなかったが、彼女は居住まいを正すように、バスローブの胸元をぎゅっと掴んだ。

「良くない?」
「だって、あなたは仕事の取引相手だし、さっきの行為は素晴らしかったけど・・・」

キャサリンは言いにくそうにした。
実際、彼に惹かれているというのに、もうあなたとは肉体関係を結ばない、なんて、言い辛かった。
彼の一挙手一投足にどぎまぎとして、体は熱くなってしまっているぐらいだ。
それに、分かっているくせにキャサリンにそれを言わそうとする彼が、少し憎らしかった。
彼はいつも、とぼけた風を装って彼女を翻弄する。
彼が、そのまま答えを言ってくれたらいいのに、と思った。

「・・・けど、君はいかなかった、よね」
マックスは溜め息をつくように言った。
「な・・・!」

キャサリンはあまりにも唐突に、はっきりと言われて、大きく目を見開いて彼を見た。
さっきまでどうやって収めようかと思っていた体の火照りは、一瞬にして消えた。
言葉が続かない。
そんな事を言われるとは、思っていなかった。

「何で分かるかって? それくらい、分かるよ」
マックスは、困ったような、思い詰めるような表情をした。
彼女は恥ずかしさで感情が爆発しそうになるのを、ぐっとこらえた。

男性は、女性を絶頂に導けなかった事をとても気にする。
男特有のプライドだろう。それぐらいは、経験不足の彼女でも良く知っていた。
何故なら彼女は、今まで付き合った男性にその事を責められた事があるからだ。
それは彼女にとって苦々しい思い出だ。

キャサリンは、何故かSEXで絶頂を迎える事が出来ない。
SEXが嫌いというわけでは無い。
体の触れ合いは、彼女にとっても喜ばしい事だったし、ある程度の快感も得ているが、いわゆる〝いく〟という感覚になる事が無いのだ。
実を言うと、いった事が無いわけでは無い。経験はある。
ただ、今までの人生で、そうじゃないかと思えるのは一度か二度くらいだった。
だから、自分が絶頂を迎えていない事が分かっていた。
だが何故いかないのか、自分でも理由は分からなかった。

スティーブにも、その事を聞かれたことがある。
付き合って4年近くなった頃だっただろうか。
彼女は仕方無く正直に、だが彼のプライドを傷つけないように答えたが、彼は納得しなかったようだ。
果ては喧嘩になってしまった。
その後、彼は彼女を導くべく体を触れ合わせるたびに努力をしたが、彼女にその兆候は来なかった。逆にそんな風に気を使われると、余計に緊張してそういう気分に成りづらい。
その度に彼女は彼を傷つけまいと言い訳の様な事を言い、ついに彼は、努力をしなくなった。
今ならキャサリンにも、その事が2人の分かれる直接の原因では無いが、きっかけになってしまった事が分かっていた。

しかしキャサリンは、マックスがその事をキャサリンに問うのはまだ早すぎると思った。
関係を重ねて、もっと親密になってから言うのなら分かる。まだ1回か2回、触れ合っただけで、そんな事を聞くのはあまりにも彼女に失礼だ。
それに、そんな事を今、話題にしたいわけじゃない。

「マックス、私がどうか、は関係ないわ。私はこのままあなたと、体の関係を続けるつもりは無いんだ
 から」
キャサリンは、きっぱりと言った。

「なんだって・・・?」
マックスが絞り出すような声を発した。



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