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04.01
Mon
マックスはキャサリンより先にズボンを履くと、カナッペを一つつまみ、グラスに残っていたシャンパンを飲んでいた。
「ぬるいな・・・」
そう言って少し顔を顰める。
彼はボトルのシャンパンをグラスに注ぎなおして、一口、口に含んだ。
「うん、こっちはまだ冷えてる。飲むかい?」
彼はグラスをキャサリンに差し出す。

「あの・・・、私、部屋にもどるわ」

キャサリンは言った。
情熱が嵐の様に過ぎ去ると、理性が戻ってきた。
彼とは、本当はこんな関係になるつもりは無かったのだ。一線を越える前なら良かったが、あんな行為をした後で、どんな顔でどんな話しをしたら良いか分からない。
気まずかった。

マックスは片眉を上げると、
「どうして?」
と彼女に聞き、冷えたシャンパンを口に運んだ。
彼の瞳は、明るく、スカイブルーと言っていい色に変化している。

「どうしてって・・・、シャワーを浴びたいし・・・」
キャサリンは彼の顔を見ることができずに、視線を下に向ける。
下を向くと、マックスの下腹部のズボンの膨らみが目に入る。
キャサリンはまた、ドキリとした。

「シャワーなら、ここで浴びればいいだろ」

マックスにきつい口調で言われて、キャサリンはハッと顔を上げた。
彼は、さっきまでの柔和な雰囲気から一変、険しい表情で彼女を見ている。
彼女はマックスが怒っていると思った。

しかし、何故彼が怒っているのか分からない。
だが、何か言い訳をしなければならないと瞬時に浮かぶ。
気まずい、という答えでは、あまりにも失礼過ぎる。

「・・・だって、ここには着替えも無いのよ」
彼女の答えに、マックスから発せられる怒りの雰囲気が和らいだ。

「着替えか・・・、それは気付かなかった」
マックスは独りで納得する様に、うん、うん、と頷く。

「とりあえず、ホテルのバスローブを羽織っておけばいい。シャワールームまで案内するよ」
「えっ、でも・・・」
言い掛けて、マックスにじろりと睨まれて、キャサリンは口を噤んだ。
彼に先導されてドアを2つほどくぐって、シャワールームに案内される。

彼女は腹をくくった。
ここまでされては仕方が無い。ここでシャワーを浴びるしか無い様だ。
しかし、彼の部屋の豪華さと広さはとんでもない、と思う。
シャワールームにたどり着くために、ドアを2つも越えなければならないなんて。
彼女のアパートの部屋が、3つか4つ程入ってしまうぐらいの広さがある様な気がする。
彼が広すぎると言った意味が、つくづくと分かった。

シャワールームの横のアメニティで、キャサリンが服を脱ごうとすると、入り口のドアに凭れてじっとこちらを見ているマックスが、大きな鏡越しに見えた。

「ちょっと、何をしているの?」
キャサリンは、Tシャツに掛けた手を降ろした。

「何って、君を見ているんだ」
マックスは平然と言った。

「もう! 早く出て行って。服が脱げないわ」
キャサリンはマックスの調子に、呆れた。

「いいじゃないか、減るもんじゃ無し」
「なっ、何て事を言うの! 早く出て行ってってば」

彼女は目を白黒させて、顔を真っ赤にした。
マックスは彼女の様子に、やれやれ、と言わんばかりに掌を上に向けた仕草をすると、大人しくアメニティの外に出た。


キャサリンは、マックスの態度に驚いていた。
彼は、近寄りがたく王者の様な雰囲気を持っている人のはずだった。
確かに今までも、2人きりの時はそんな雰囲気を見せず、親しげで気さくな人ではあったが、優しく紳士で、あんな命令口調のいたずらっ子のようなタイプでは無かったはずだ。

――ほんと、いたずらっ子みたい。
彼女は今さっきの彼の様子を思い出し、くすくすと笑った。
彼はまだ28歳で、そういう子供っぽさを持っていても不思議ではない。
もっとも、男性はいくつになっても子供だ、というけれど。

――減るもんじゃ無し、なんて言葉、久しぶりに聞いたわ。
彼女はもう一度、くすくすと笑い、服を脱いでシャワールームに入った。




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