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03.24
Sun
「あまりいないって言うより、全然いないかな?」

と、マックスは彼女をチラリと見て言ってみた。
彼女はますます困った表情をした。
「・・・天職って言ったのは、あなたが大学時代にソフト開発をして、そのまま見事に成功を手に入れて
 いるから、それで、やりたい事をして成功したっていう意味で言ったのよ。決してあなたが努力をして
 いないっていう意味じゃ無かったのよ」

2人はエレベーターホールに着いた。
一生懸命に言い訳をする彼女を、マックスはかわいいと思った。
彼は堪えきれず、くすくすと笑いながらエレベーターのボタンを押す。
キャサリンはマックスの様子に、何かがおかしいと気付いた。

「もしかして、からかったのね?」
キャサリンは、困っていた表情から一転、今度は眉間にしわを寄せて言う。

「からかってなんかいないよ。あんまり君が一生懸命に謝るから、かわいいなと思ったんだ」

――かわいい、ですって?
彼女は、顔を赤らめた。
しかし彼女は真剣だったのに、彼の余裕のある態度が気に障り、つい言った。

「言っておきますけど、私、あなたより年上なのよ。年上の女性にかわいいなんて、失礼よ」
「それは失礼しました、レディ。でもあまり、年齢差を感じないね」

マックスは、今度はふくれっ面をしている彼女を、やっぱりかわいいと感じた。
エレベーターの扉が開く。
2人はエレベーターに乗り込む。

キャサリンはまた、自分で振った話題に躊躇した。
しかし、年齢差を感じないというのは子供っぽいと言われているようで、否定したい気持ちが生まれる。
「3つ年上よ」

彼女は嘘をついた。
女性としての見栄が働いた。
やはり、5つ上というのは言いにくい。

その言葉にマックスはまた、片眉を吊り上げる。
彼は彼女の年齢を知っている。以前ネットで調査済みだ。
彼には彼女が嘘をついた事がすぐに分かったが、彼は彼女の小さな嘘を責めようなんて思わなかった。
そして、微笑みながら年齢の事より気になる事をキャサリンに聞いた。

「僕の事を色々と知ってくれているみたいだね、キャシー。僕の情報はネットを見れば出ているけど、
 僕に、興味があった?」
「・・・あなたは有名人だわ。調べなくてもすぐに分かる事だし、取引相手のIT企業のCEOを検索す
 るのは、普通でしょ」

キャサリンは照れくさそうに言う。
彼がW&Mに訪問することが決まった際にはピピコムCEOについて調べようなどとは思わなかったし、そこまでの興味は無かった。マックスがピピコムのCEOだと分かったあの日の後、すぐに彼を検索した。

「そうだね」
彼女の意見に同意しながらマックスは、キャサリンが自分の事を検索してくれた事が嬉しかった。

――ああ、彼女に今すぐキスをしたい。
生意気に、まるで自分はあなたに興味は無いのよ、とばかりに言い返すキャサリンの唇を奪ってやりたいと、マックスは思った。
彼女は年上なので、生意気という評価は間違っているかもしれないが、彼女に伝えた様に彼が彼女との年齢差を感じることはほとんど無い。

エレベーターがポーンという音を立てて、希望の階に到着した事を知らせる。

――ああ、着いてしまった。
キャサリンは緊張を感じながら思った。
階数を示すランプは、マックスの部屋がある階を点滅しながら表示している。

「僕の事は、他に何か分かった?」
「えっ、何?」
キャサリンはマックスの方を見た。
彼はエレベーターのドアが開くのを眺めたままだ。

「年齢と、大学時代にソフトを作った事以外に、僕の事、ネットになんて出てた?」

マックスはエレベーターのドアが閉まらない様に手を当てた。
キャサリンは彼に促がされて、先に降りる。

「そうね、開発したソフトがセキュリティソフトだった事と、その後会社を立ち上げて売却、その資本を
 元にピピコムを設立し、現在は会員数5億人を超える企業となる、と言ったところかしら」
「ずいぶん詳しく出ているんだな」
彼はそう言ったが、そのぐらいの情報はピピコム社の広報でオープンにしている。

「あら、ネット上にはもっと詳しく出ていたわ」
「・・・どうせ、大した事じゃないんだろう? これ以上聞くのは止めておくよ」

キャサリンの言葉に、マックスはこの話題を振った事を少し後悔した。
ネット上には彼の推定資産、交際相手の遍歴などが出ている。
沈黙が息苦しくて、つい口に出したが、あまりいい話題とは言えなかったようだ。
彼女の反応から、彼女がそれらを目にしていることは明らかだろう。

「自分で自分の事を、検索したりしないの?」
「あまりしないね。ネット上には多くの人の意見が溢れていて、時にそれに、左右され過ぎてしまう。
 だから、検索しない様にしてる」

マックスの部屋の前に着いた。




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