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03.21
Thu
「うん、ほんとだ。おいしいね」
マックスはにこっと笑い、カップをキャサリンに返した。

キャサリンは、彼の親しげな仕草にドキリとし、彼から目を逸らすため、返されたカップを見つめた。
――まるで私たち、恋人同士みたい。
キャサリンはそう思いながら、照れ隠しに彼に文句を言った。
「要らないって、言ったじゃない」

「言ったっけ?」
マックスはおどけて見せる。

「言ったわよ」
「だって、君があんまりおいしそうに飲むから、ちょっと味見をしてみたくなったんだ」
そう言って、マックスは大した事じゃ無い様に残りのカレーパフを口に運ぶ。
キャサリンもそんな彼に何も言えず、カレーパフを食べた。

食べながら、何故こんな状況になっているんだろう、と思う。

昨日の夜、マックスに惹かれている自分を認識したキャサリンは、彼にこれ以上惹かれないために、彼となるべく関わらない様にする事を決めた。
特に2人きりにならない様に。
そしてそれは成功したはずだった。今日一日、自分は上手くやれたと思う。
なのに今は、彼と2人で観光を楽しんでいる。

そう、彼と2人でいる事は楽しかった。だから避けなければならなかったのだ。
2人きりの時の彼は自然で、仕事の時の彼とのギャップにキャサリンの胸が騒ぐ。
まるで、そんな彼を知っているのは自分だけだと勘違いをしてしまう。
さっきのキスの意味も。
キャサリンはマックスの唇と舌の感触を思い出していた。
途端に、彼女の体を熱いものが駆け巡る。

キャサリンがそんな事を考えながらカレーパフを食べ切ると、マックスは、
「さあ、次はどこへ行く?」
と聞いた。
彼女は、自分が考えていたことがばれていないかとドキリとしながら、
「あっちに行ってみましょうか」
と、ストリートの先を指さして言った。
じゃ行こう、と言ってマックスが歩き出す。

キャサリンは彼について行こうとして、通行人にぶつかった。
ごめんなさい、とぶつかった人に謝る。
まったく、ここは人が多く混雑している。

数歩先を歩いていたマックスは振り返ると、そんなキャサリンの手を取った。
そして、歩き出す。

キャサリンは雑踏の中でしっかりと自分の手を掴む、彼の手の力強さを、心地よく感じた。
そして、彼の手を握り返していた。


2人は手を繋いでブギス・ストリートを歩いた。

キャサリンの気持ちがマックスに傾いていくのはもう、止めることができなかった。
いや、彼女の心はとっくに彼の魅力に降参していた。
正確には、心のブレーキが外れるのが、と言うべきか。

ブギス・ストリートを歩き切って反対側の端にあるフルーツ店でカットフルーツを買い、マックスと2人で分け合いながら食べている時、彼の青い瞳に見つめられ、彼女はその瞳を見つめ返していた。
自分のヘーゼルナッツ色の瞳が明るく輝き、熱を含んでいるとは分からずに。

「・・・そろそろ、帰ろうか」
マックスは言った。
カットされたマンゴーやスイカを食べる彼女の唇は、フルーツの水分で潤い、瑞々しい。
彼は甘い果物より、彼女の唇をまた味わいたくなっていた。

「そうね、今日は歩きすぎて足が疲れたわ」
キャサリンは彼の意見に賛成する。
「僕の部屋で、少し飲もう」
マックスは、彼女の瞳を見つめたまま言った。

キャサリンはマックスの言葉にドキリとした。
彼の言葉の意味が、理解できた。

「それは・・・、私、アルコールは取らないと決めているの」
キャサリンは瞳を伏せた。

「どうして?」
「その・・・、言いにくいわ」
彼女の様子に、マックスはぴんと来た。

「ああ、つまり君はあの事を気にしているんだね。もしかしてそれで、昨日も飲まなかった?」
「・・・あれからずっとアルコールは取っていないの。もう、あなたにこんな事を言うのは、恥ずかし
 いわ」
キャサリンは顔を赤らめた。




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