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02.06
Wed
「キャシー・・・」
ナタリーはもう一度ティッシュを渡す。
今度は、キャサリンは受け取った。

「キャシー、スティーブみたいないいかげんな男のために落ち込まないで。あなたはとっても美人だし、
 仕事もできるし、優しさも持ってる私の自慢の友人よ。あなたはこの話をすると嫌がるけど、私
 スティーブのことは嫌いじゃなかったけど、すごく素敵な人だとも思わなかったわ。あなたと5年も
 続いたのが不思議なくらいよ。もう、そんな男、新しい恋愛をして早く忘れちゃいなさいよ。もっと
 素敵な人が現れるわよ」
「彼にもそう言われたわ。『僕よりもっと素敵な人がふさわしい』って。そんなの言い訳だわ、私は彼
 にふさわしくないってことでしょ」

「キャシー、そんなこと無いわよ。あなたは失恋のショックで否定的になっているだけよ・・・」
ナタリーは落ち込んでいるキャサリンに同情した。

「そうよ! 今のあなたにはセクシーで危険な香りのする男が必要だわ。スティーブみたいな居心地のい
 いだけの男じゃなくって。スティーブなんか見返してやるのよ」

キャサリンは友人の突拍子もない提案に呆れた。

「簡単にそんな気になれたらいいけど・・・。それにそんなアバンチュールみたいな恋愛、してる暇ない
 わ。そんなことしてたらますます結婚が遠のいちゃうし。あーあ、スティーブとは安定した結婚生活が
 送れると思ってたのにな・・・」
彼女は涙で少し濡れたティッシュを丸めて、ごみ箱にポイッと投げた。

「だからよ。結婚、結婚って考えてたら、したいものもできないわよ。それにキャシーって、今まで安全
 そうな男としか付き合ってこなかったじゃない? それを変えてみた方がいいかもね」
「そんなこと言ったって。出会いも無いし、仕事も忙しいし」

「どうせあなたのことだから別れてからの3週間、仕事を詰め込んでいたんでしょう? そうだ、この後、
 マンハッタンにでかけましょうよ。いいお店知ってるの。仕事のストレスと男のストレス、両方すっき
 りさせないとね。久しぶりに私たち酔っ払っちゃいましょうよ」
ナタリーはいたずらっ子のようにウィンクをする。


突然、ドアベルがけたたましく鳴った。

「頼んでたピザがやっと来たみたい。お財布を取ってこないと」
ナタリーはぱっとソファから立つと、支払いを用意するために財布を探しにキッチンへ行く。
ドアベルが催促をするようにまた鳴る。

「ナッティ、私が受け取ってくるわ」
キャサリンは立ち上がると玄関のドアを開けた。

宅配ピザのけばけばしいロゴがプリントされたジャケットと帽子を着用した長身の男性が、ドアの前でピザの箱を用意していた。
「ピッツア・マルゲリータ1枚とポテト、チキンのセットです」
そう言いながら男性は顔をあげ、キャサリンを見て驚いた表情をする。

「君は・・・。えーっと、フィールディングさんのお宅じゃ・・・」
帽子のつばの下に青い瞳が見えた。

きれいな青だわ、とキャサリンは思った。

「ああ、受け取ります。このアパートの住人ならすぐ支払いに出てきますよ」
キャサリンは答えるとピザを受け取った。

程なくナタリーが財布を持って玄関にやってきたので、ピザを居間に運ぶ。
キャサリンはテーブルの上にピザを広げ、2人とも空になっていたグラスにワインを注いでナタリーを待った。ナタリーはピザ宅配人と何やら話している。そして、少しうきうきしながら居間に戻ってきた。

「どうしたの?」
キャサリンは訊ねた。
ナタリーはとぼけた様子で肩をすくめて答えた。
「なんでもないわ。ねぇキャシー、彼ってキュートだと思わない?」
そしてソファに腰掛ける。

「彼って? 誰よ。もしかしてピザ宅配人?」
キャサリンはまさかという表情で聞いた。

「そう、そのピザ宅配人」
ナタリーはいたってまじめだ。

「そんなの、帽子かぶってたし、よく分からないわ。」
キャサリンはポテトをつまんだ。

「このあいだ、帽子を取ってるところを見たんだけど、すごくキュートな顔をしてたわ。背も高くって
 素敵じゃない? 最近このエリアの配達をしてるんですって」
ナタリーはマルゲリータに手を伸ばす。

「よく知ってるのね。エリックに申し訳ないと思わないの」
キャサリンは呆れながら言った。

ナタリーは半年前に、付き合って半年のエリックからプロポーズされていた。
来年の4月、アーモンドの花が満開の中、式を挙げる予定だ。キャサリンが結婚を多分に意識しているのはこのためだった。

もともと30歳の前半までには結婚をしたいと思っていたうえに、ナタリーから結婚式のプランやハネムーンについて相談されるうちに、結婚への憧れはさらに強くなった。
祝福する気持ちももちろんあるが、焦らない女性がいるだろうか。

キャサリンはナタリーにつられてマルゲリータに手を伸ばす。

「それとこれとは別よ。友達になったのよ、ちょっと前にね。彼が下の階のドナルドさんの荷物を運ぶ
 のを手伝ってるところに出くわしちゃって。彼、28歳なんだって。なかなかの好青年よ」
ナタリーはあっという間にピザの一切れを平らげ、今度はチキンに手を伸ばそうとしている。

「年下! 5つも。年を考えたくないのにまた考えちゃうじゃない。でも28でピザ宅配人ってどうなの
 かしら? きちんとした仕事に就く気はないのかしら」
「もしかして夢を持っているとか? 売れないミュージシャンだったりして」
ナタリーはキャサリンの問いかけに指をなめながら答えた。




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