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03.15
Fri
ブギス・ストリートはオーチャードロードからタクシーを使うと、本当にすぐのところだった。
大通りに面した細い路地がブギス・ストリートと言われているらしく、道の名前を書いたテントが張り出している。道は、夜になろうとしているというのに、たくさんの人でごった返していた。
マックスは運転手にチップを含めて規定の料金より多くの金額を支払うと、急いでタクシーを降りた。

マックスは、しまったと思っていた。
こんなに人がいるとは思わなかった。
これではキャサリンを見つけるのは一苦労だ。
そう思いながら、ブギス・ストリート入り口の道路の角で、きょろきょろとあたりを見回す。
すると、入り口から少し離れた場所で、シンガポール人と思われる男性と喋っているキャサリンを見つけた。

マックスの嫉妬心が、メラメラと燃え上がる。
彼はつかつかと彼女に近付くと、話し込んでいる彼女の腕を掴んでその男から引き離す様に引っ張った。

「痛い! 何? マックス?」
キャサリンは驚きながら自分を引っ張る人物を見た。
マックスだ。
彼の電話から、まだ何分も経っていない。
キャサリンは、彼があまりに早く現れた事にも驚いた。
マックスは彼女の言葉に耳を貸さず、彼女を掴んだまま歩こうとする。
そのため、キャサリンはよろめいた。

「ちょっと、痛いってば。やめてよ!」
キャサリンは腕を振りほどいた。彼に掴まれたところが痛い。
マックスは立ち止り振り向くと、彼女を睨んだ。
「こんな所で何をしているんだ?」

マックスは彼女を問いただした。
彼の青い瞳は、怒りに満ちている。
スーツを着て怒っている彼は、何ともすさまじい迫力を放っている。
キャサリンは、こんなマックスを見たことが無かった。彼はキャサリンにいつも優しく、紳士的だった。
彼女は何故こんなに彼に怒られているのか分からなかったし、彼にいきなり怒鳴られてショックだった。

キャサリンはマックスの態度に訳が分からず、混乱したが、こんな風に怒鳴りつけられる謂れは無い。
彼女はマックスを睨み返した。
「何って、観光よ!」

「観光?」
「そうよ、観光よ」
キャサリンは彼に掴まれた腕をさすりながら言った。

マックスは彼女のその仕草を見て、きつく掴み過ぎたのだろうかと思いながら、彼女の姿をまじまじと見た。確かに、彼女はいかにも観光客の様なTシャツにジーンズと言う出で立ちだ。
手にはどこかで買った買い物袋を提げている。
しかしマックスの嫉妬に燃えて騒いだ胸は、簡単には収まらない。

「君は、用事があるって言って、僕の誘いを断ったけど、ただの観光がしたかったのか? さっきの男は
 何なんだ?」
マックスは決めつける様に言い放った。
彼は、それまでの嫉妬心からの想像を、裏打ちする様に見ず知らずの男性と話しているキャサリンに怒りを爆発させたのだ。
自分を今日一日避ける様な態度を取って、他の男性と親しげに話す姿を見せつけるなんて、わざとやっているとしか思えない。

キャサリンはマックスの物言いに唖然とした。
「何って、道を教えてくれていたのよ」
「道を? どこに行く道なんだ? 彼は知り合いなのか?」
彼は尚も苛々とした様子で、彼女を質問攻めにする。
キャサリンは、高圧的に話すマックスに驚いた。
普段の彼とは別人のようだ。

「マックス、何を言っているの? 知らない人よ。彼は地図を見ている私に親切に声を掛けてくれたのよ。
 シンガポールに知り合いがいるはずが無いでしょ!」

キャサリンはいい加減にして、と言わんばかりに声を荒げる。
彼女には彼が何故こんなに怒っているのか、分からない。

マックスは彼女の言葉は本当だろうと感じていた。
その証拠に、さっきまで彼女が話していた男はどこかへ消えてしまっている。
単純に自分が嫉妬から怒っている事は分かっていたが、次の言葉を止めることができなかった。

「君は、ゲームでもしているつもりか? 旅行先で安易に道を聞くことで、トラブルを招くとは思わないの
 か? それがどんなに危険なことか、分かっていない」

――ゲーム? 彼は何を言っているんだろう。
マックスの尚も続く言い掛かりに、キャサリンは怒りを爆発させた。

「もう、いいかげんにして!」
キャサリンは言うと、くるりとマックスに背を向けた。

そこで初めて、周囲の人々が足を止めて彼女達2人に視線を注いでいる事に気が付き、ぎょっとする。
彼女は、好奇心に満ちた目で2人を見ている観客たちを睨むと、すたすたと歩きだした。





作者注:マックスの発言している『ゲーム』とは、駆け引きの事です。つまりここでは、恋の駆け引き。
    キャサリンは文字通り、GAME(ゲーム)かと思っています。
    それと、今更ですが、本作に登場する人物・建物・その他等はフィクションです。具体的名称が
    出ておりますが、とりあえず、実在のものとは関係無いと思ってください(>_<)



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