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03.02
Sat
彼の部屋のドアベルを鳴らすと、ドアが開いた。
黒いズボンを履いて、黒いシャツのボタンを少し留めただけの彼が、目の前に現れる。
キャサリンは、シャツから覗く彼の胸に、ドキリとした。

「どうぞ」
「まだそんな恰好なの?」

彼女はドキリとした事を悟られまいと、言いながら彼から目を逸らし、部屋に入る。
そして、彼の部屋のすごさに声を上げた。
「すてき!」

そこは、キャサリンの滞在している部屋全部が入っても余ってしまうぐらいの広さのリビングだった。
黒を基調とした内装で、間接照明を配された室内、家具の全てに高級感があふれている。
手前には6人掛けのダイニングテーブル、奥にソファセットとピアノまである。
ピアノの向こうには、大きな窓からシンガポールの街が一望できた。

彼女は、自然と室内へ歩を進めた。
ピアノのあるエリアの横には、腰までの高さの家具を隔てて、大型TVとまたもやソファセットがあった。

「・・・何て広いの」
「僕独りには広すぎて困っているんだ」

マックスの声にキャサリンは振り向いた。
彼はシャツの胸ボタンを留めて、今は、袖のボタンを留めながら喋っている。
彼のそんな仕草を、セクシーだとキャサリンは感じた。

「狭い部屋でいいって、アルに伝えてあったんだけどね。ミス・ヤンの手配ミスだな」

キャサリンは文句を言うマックスに意外さを感じた。
こんな豪華な部屋を手配されて、困るなんて言うとは、彼は金持ちを鼻にかけている訳では無い様だ。

「ミスだなんて言い過ぎよ。CEOを普通の部屋に泊める訳には行かなかったんじゃないかしら。それに、
 あなたが喜ぶと思って手配してる筈よ。こんな素敵な部屋に文句を言う人がいるとは、思わないでしょ
 うね」
キャサリンは微笑みながら言った。

「・・・君に伝えたかな、きれいだって」

マックスはボタンを留め終わると、彼女を見つめて言う。
彼の青い瞳に見つめられて、キャサリンは体が熱くなるのを感じた。

「・・・ありがとう」

彼女は、素直に自分を誇らしく思った。
今日買った黒いノースリーブワンピースはシンプルだが、ウエストの切り替えしが高い位置にあり、キャサリンのコンプレックスである大きなお尻がきれいに見える。
長過ぎず短過ぎないスカートの裾は、少し斜めにカットされていてスリットがあるため、歩くときれいなドレープを描いた。

「ちょっと待ってて」
彼は言うと、リビングに接しているドアの1つに消えた。
そして黒い箱を持って出て来た。
「これを君に」
そう言ってその長方形の箱をキャサリンに差し出す。

まさか、とキャサリンは思った。

「・・・そんな、いただけないわ」
彼女は困った表情をしながら言った。

「僕にドレス代を払わせてくれなかっただろう? ドレスの代わりと言っては何だけど、きっと気に入っ
 てくれると思うよ」
「・・・マックス、それじゃあ、ドレス代を断った意味が無いわ。そういうつもりじゃ無いのよ」
「分かってる。君の言いたいことはよく分かってるよ。でも、僕は君に何かしたかったんだ。これは僕の
 気持ちだよ、受け取ってくれるよね」

彼は気持ち良くプレゼントを受け取らないキャサリンに少し苛々とした様子を見せながら、彼女を説得した。彼にとって、彼女を説得するのは慣れた仕事になり始めていた。

「マックス・・・」
彼に言われても、彼女はまだ躊躇する。
彼にプレゼントを貰う事で、自分の気持ちがどうなってしまうのか怖かった。
彼は勘違いをしてはいけない相手なのに。

「でも、は無しだよ」
そう言って、何故か自信たっぷりの表情をしながら彼は、箱を開けた。

小さく感嘆の声を上げて、キャサリンの顔が輝いた。
「マックス、これ、どうして?」

彼女のヘーゼルナッツ色の瞳が、驚きと喜びに明るくなった。
開けられた箱の中には、キャサリンが昼間諦めた、スクエアモチーフのネックレスが輝いていた。

「僕には優秀なスタッフがたくさん居るんだよ」
マックスは彼女のその表情に満足そうに、にっこりと微笑みながらネックレスを箱から取り出すと、彼女の首に着けた。ネックレスのひんやりとした感触と、ネックレスを留めるために首筋に触れる彼の指の熱さに、キャサリンの胃はざわつく。

「うん、良く似合ってる」
彼は言って、彼女を見た。その瞳の青さが際立つ。

彼女は、彼の視線にぞくりとしながら、誇らしさを隠せなかった。
しかし、でも、という気持ちが起きる。

「こんなに高価な物・・・」
キャサリンはまだ尚、プレゼントを固辞しようと彼に向かって言葉を発する。
しかし顔には喜びがあふれてしまう。

「キャシー、君にプレゼントを受け取ってもらうのは、一苦労だね・・・」
彼は困った表情をした。

「お願いだから、要らないなんて言わないでほしいな。とてもよく似合っているのに」




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