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02.22
Fri

『フライトは、今日の23時だから21時には迎えに行くよ』
「迎えに? お忙しいのにいいわ。私は電車で行くわ」
マックスの車で行くなんてとんでもない、とキャサリンは思った。
彼と狭い車内で一緒に居る想像にドキリとしながら、彼との接触をできるだけ避けたくて今回の出張も断ろうと思ったのに、これでは困ると感じた。

『大きな荷物を持って電車で行くなんて、大変だろう? どうせ僕も行くんだし、君も乗ればいいよ。
 大丈夫、僕の車には君が座れるぐらいの席はあるよ。ああ、でも女性の荷物はものすごく多いから、
 君があんまりたくさんのバッグを持って来たら、座る場所も無くなってしまうかも』
「そんなにたくさんの荷物を持って行く予定は無いわ。私、荷物は少ない方なのよ!」
『良かった。僕の席まで荷物でいっぱいだったら、誰も運転できないからね。じゃあ、21時に迎えに行くよ』

キャサリンは彼の言葉に微笑みながら、観念した。
彼にかかると彼女はいつもこうだ。

「分かったわ。じゃあ、お言葉に甘える事にする。21時ね」
『そう、21時。楽しみにしているよ』
キャサリンはマックスの言葉にまたドキリとしながら、彼の言葉をそれまでと同じように、誰にでも言う挨拶だと思った。

それじゃあ、と言って彼女は電話を切る。
切ってからキャサリンはまた、大きく溜め息をついた。

結局彼の言うなりになっている自分に、がっかりした。
彼は5歳も年下なのに、キャサリンは彼にたくみに誘導されている。
その誘導が不快では無い事も、癪に障る。

彼女は携帯で時間を確認した。
オフィスを出てから30分以上も経っている。

しまった、と思い大急ぎで建物の中へ入った。これもマックスが電話に出るまで長く待たされたせいだと思った。
受付の女性の冷たい態度を思い出し、また彼女に腹を立てた。





夜21時を過ぎて、キャサリンが部屋でマックスを待っていると携帯が鳴った。
知らない携帯番号からだったが、もしかしてと思い、携帯を取る。

「・・・はい」
キャサリンは普段、知らない番号からの電話には出ない様にしている。
携帯でトラブルに巻き込まれる事も多いからだ。

『遅くなってごめん。今、下に着いたよ』
「マックス? どうして番号を知っているの?」
『今日、会社に携帯から掛けてきただろ』
「ああ、なるほど・・・」
彼女は納得した。

「じゃあ、下に降りるわ」
『荷物があるだろう? 降ろすの手伝うよ。ちょっと待ってて』
彼はそう言うと電話を切る。

しばらく待っているとドアベルが鳴る。
彼女は玄関を開けた。
ドアの前にラフな服装のマックスが立っていた。
ジーンズにハイネックを着て、その上にパーカーを重ねてジャケットコートを羽織っている。
良く似合っている。

「スーツじゃないの?」
キャサリンはマックスに問い掛けた。
「だって機内泊をするんだよ。スーツじゃくしゃくしゃになっちゃうよ。機内で到着前に着替えるつ
 もりなんだ。君こそスーツを着てるけど、それで眠れる?」

キャサリンはスーツを着ていた。
「だって仕事だし、寝る時に着替えようと思って・・・」
本当は機内泊もあるので、何を着ていくか悩んだ。
しかし行く時から普段着を着るのはラフ過ぎると思い、無難なスーツにしたのだ。

「着替えておいでよ。待ってるから」
マックスは言った。
「でも・・・」
キャサリンは躊躇した。
彼に普段着を見せるのは、親し過ぎる様で嫌だった。
以前に、それよりもっと赤裸々な姿を見せているというのに。

「でもは無し。18時間30分のフライトだよ。そんな恰好でリラックス出来る訳ないだろ。さあ早く」
マックスは彼女を急かす。
彼の言う事はもっともだ。

「分かった、分かったわ。ちょっと待ってて」
彼女はマックスに降参した。
「あ、何か飲む?」
「お構いなく。僕が遅れたのも悪いけど、遅くなってしまうからね」
「オーケー」


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