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02.14
Thu
「そう、私はもちろん、言うつもりは無いわ。あなたが理解ある人で良かったわ」
キャサリンは言った。
だが本当だろうか、と言う気持ちも起きる。
彼の真意を確かめたい。

「まあ、けんか腰にならずに座って、キャシー。どうやら僕たちは同意見のようだね。僕たちは奇妙な始
 まり方をしてしまったけど、同じ秘密を共有する友人ということだ。今後、仕事で会う事も多いだろう
 し、お互い気まずい思いをするのは嫌だからね。とりあえず、僕に対する緊張を解いてほしいな」
マックスはそう言うと、キャサリンの部屋なのに、主の様に彼女に席を勧めた。
彼はほんの数秒、感情を爆発させかけたが、目的を遂行するために恐ろしいほど素早く自制心を取り戻していた。

「・・・ええ」
と言ってキャサリンはソファに腰掛けたが、緊張を解くことなんてできるだろうか、と思っていた。
彼の存在がキャサリンを緊張させるのだ。

スーツを着たマックスは、存在自体が豪華で、彼女の部屋の安いソファとピンクのクッションにまるで不似合だ。
しかし、マックスの言う事はもっともだった。
今後の事を考えて、彼とは程ほどに仲良くしておいた方がいい。

「でも良かったよ、君がそう言ってくれて。僕は君が、僕がピピコムのCEOだと分かって、僕に迫って
 くるんじゃないかって心配していたんだ。君をどうやって説得しようかと、頭を悩ませていたんだよ」
マックスは言った。
心にも無い事だが、キャサリンの緊張を解くために言ったのだ。

しかしキャサリンは、彼が本気で彼女との事を、気にしていない様に思った。
何しろ彼はピピコムのCEOだ。
彼女の様な普通の女と関係を持ったことで、後腐れがある方が困るのだろう。
胸がチクリと痛くなったが、彼の言う事は説得力があった。

「そんな心配、無用だったわね。安心して、そんな事はしないわ。私もあなたがそう言ってくれてほっと
 している。私の方こそ、今日事務所であなたを見てぎょっとしたわ」
「へぇ、全然分からなかった。君が? 僕には平然としている様に見えたよ。氷の女かと思った」
マックスは彼女の言葉にムッとし、仕返しでニコニコとしながら言った。

「まさか! 動揺で手が震えたわ。あなたこそ、平気そうだった」
「僕が? 僕も全身の血が沸くみたいに熱くなったよ。君に、みんなの前であからさまに色目を使われるか
 と思って」
キャサリンは侮辱されたと感じた。
「私が、そんな事をすると? そんな事、するわけないわ」
「だって、仕方ないだろう。君の事は良く知らないし、朝起きたら居なくなっているんだから」
マックスは彼女の言葉に傷ついたが、ニコニコとして冗談を言うように、言葉に侮蔑の響きが含まれない様に注意しながら、さりげなく言った。

「あれは・・・」
キャサリンは言葉に詰まった。
彼は私を、そんな女だと思っている。
彼女はそれを否定したい気持ちになった。

だが否定する必要は無いようにも感じた。
あと2週間程で会う事の無くなる相手だ。
とりあえず仕事上で上手く付き合えばいい。

しかしマックスは今だ、と言うように畳み掛けた。
やんわりと、彼女にずっと聞きたかったことを聞いた。

「ごめん、侮辱しているつもりは無いんだ。君がそんな女性じゃない事は分かっているつもりだけど、
 キャシー、友人になるために質問したいんだ、あの朝、どうして何も言わずに先に帰ったんだい?」

そんな女じゃない事がわかっているつもり、というのは嘘だ。
彼は彼女を信じたいが、そんな女だと思っていた。

マックスに質問されて、キャサリンは来た、と思った。
やっぱりこのことを質問された、と。
正直に言うか悩んだが、マックスは常識のある人物に思えた。
それに、ここで嘘をついても仕方ない。

「・・・その、実は私、その日すごく飲んでて。あんな事をするつもりじゃ無かったの。それで朝起きて、
 びっくりしてしまって」
彼女は顔を赤らめて、恥ずかしそうに言った。

「びっくりしたって?」
マックスは、キャサリンの様子と言っている内容に困惑を覚えた。

「だからその・・・、実は、覚えていないの。あんまり」
彼女は俯きながら、小さな声で言った。

「覚えていない! 全く?」
マックスの声は思わず大きくなる。

「いえ、全部じゃないわ。最初の方は覚えているのよ、バーに居た時とか。でも後の方は所どころしか覚
 えてなくて。それで朝、混乱してしまって」
「逃げ出した?」
「逃げ出したって言うか、びっくりして・・・、いえ、確かに逃げ出したわ。ごめんなさい」
キャサリンはマックスに責められている様に感じ、謝った。

「覚えていない・・、なるほど」
マックスは一人で頷いた。
彼はその可能性は考えなかった。
それなら彼女が逃げ出した事と、その後の行動に合点が行く。

だが、彼女が言った、あんな事をするつもりじゃなかった、と言う箇所が気になった。
マックスにとって忘れ難い夜なのに、彼女は元々そんなつもりも無くて、しかも覚えていないなんて、腹が立つ。しかも、断るマックスを誘ったのは彼女だった。
彼は怒りで単刀直入に聞いた。

「僕とのSEXの事は? 覚えてない?」
「そ、それは、覚えているわ。所どころだけど・・・」
「所どころ? あんなに奔放だったのに?」

マックスに直接的な表現を使われて彼女はたじろいだ。
そう、彼女は奔放だった。キャサリンはその事を思い出し、顔を更に赤めると、
「所どころは・・・」と言った。
「君が誘ったんだよ?」
「そう、なの?」
キャサリンは誘った事は覚えていなかったが、そう言われればそうだった様な気がした。




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