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02.14
Thu
『スイート! あなた達、泊まったの?』
「泊まってなんかいないわ、そう、泊まろうって言われたのよ」
キャサリンは咄嗟に嘘をついた。
しまったと思ったが、もうどうしようもない。

『彼、会ってすぐにホテルに誘ったの? 信じられない!』
ナタリーは怒っている。
親友に申し訳ないと思いながら、キャサリンは続けた。
「しかも5ッ星ホテルだったわ」
『5ッ星ホテルのスイートに? なんなのそれ。何でそんなにお金を持ってるのよ。キャシー、あなた
 本当に泊まっていないんでしょうね?』
「泊まってないわよ。誘われただけ。そんなの行くわけないでしょ!」

キャサリンは嘘がばれないかとドキドキしながら答えた。
良心がチクリとする。
ナタリーに心の中で、ごめん、と謝った。

『そうよね、あなたがそんな軽率なことをするはずが無いわね。でもなんてこと。私、マックスを見損
 なったわ。ああキャシー、そんな男を紹介して悪かったわ。大丈夫だった? 何もされなかった?』
「大丈夫、何もされなかったわ。逃げて帰ってきたもの」

ナタリーの質問に冷や冷やしながら、キャサリンは言った。
逃げて帰ってきたのは本当だ。

『ごめんなさい、私、あなたを励まそうと思ったのに、逆に嫌な思いをさせちゃったのね』
「ナッティ、いいのよ。私、久しぶりで充分楽しんだし。あなたの気持ちは分かっているわ」
嘘をついているのにナタリーに逆に謝罪されて、キャサリンの良心はさらに痛んだ。
早くこの話題を終わらせなければ、とキャサリンは思った。

キャサリンはナタリーに、父の事、W&Mを辞めることを伝えた。
ナタリーは驚いていた。
相づちは入れるが、終始無言でこちらの話を聞いてくれた。
ナタリーは父の事を悲しみ、キャサリンがニューヨークに居なくなることを寂しがりながら、親友であるキャサリンの決定に賛成をしてくれた。

キャサリンは心が温かくなる気がした。
これから父の闘病に付き添わなければならない事や、W&Mを辞めることで収入が無くなることへの不安はあった。
父の家のローンは現在父が払っているが、まだ残っている。

今後、父は仕事を続けることは出来ないだろうし、闘病にもお金がかかる。
父がどのくらい貯蓄があるかにもよるが、ローンは再度キャサリンが支払う事になるだろう。
だが、キャサリンには父の闘病期間中は無職で居られるくらいの貯金があった。
その間は精一杯できることを父にしてあげたかった。
W&Mを辞めることを決め、ニューヨークを去ることを決めると、なぜか心が晴れやかな気がした。

その週末、キャサリンは父の様子を見にウィルクスバリに帰った。
父親は以前と変わらず元気なように見えた。
午後からソフィアが来たので、キャサリンは、父とソフィアに、W&M法務事務所を辞めて故郷に帰るつもりであることを伝えた。

二人に相談せずに決めたので、父とソフィアは驚いていたが、誰かが父の面倒を看る必要があったし、小さな子供が2人いるソフィアには難しい事だった。
それに、以前父がアルコール依存症にかかった時はソフィアが父の世話をしてくれた。
今度は自分がしたいと、キャサリンは強く思っていた。

〝それに辞表、もう出しちゃったしね。家に入れてくれないと、私行くところが無いのよ〟
キャサリンがそういうと、父とソフィアは呆れて笑った。

キャサリンが仕事を辞めるまでの間は、ソフィアにできる範囲で父の付き添いをしてもらうことにした。
彼女達の父親は自立心が強く、なるべく独りでがんばる、と言って聞かなかったが、彼女たちは父親を説得した。

そして次の週、キャサリンはジョンと今後のことについて相談した。
キャサリンはあと3週間足らずで退社することになった。
キャサリンが退社することは、社内への影響を考えて当面、限られた人にだけ伝えられ、他の社員には退社の1週間前に伝えることになった。
そして週末は同じようにキャサリンはウィルクスバリに帰って過ごした。




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