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02.14
Thu
「そうか・・・。こればっかりは、仕方が無いな。それで、いつまで勤められそうかな?」
「はい、引き継ぎもありますし、1ヶ月半くらいはこちらで頑張ろうと思っています」
「・・・本当は、もっと早く、お父さんの傍に戻りたいんだろう?」
ジョンはキャサリンの気持ちを見透かしていた。

「父を少しでも長く看てあげたいと思っていますが・・・」
ふうっと、息を吐いてジョンはまた眉根を揉んだ。
「君はよく頑張ってくれたしね、キャシー。確か君には、消化しきれていない有給が、あるんじゃ
 ないかな。それを使うといい」
「よろしいんですか?」
キャサリンの顔は明るく輝いた。

「そんな顔をされると、撤回できないな」
ジョンはにこりと笑った。
キャサリンはジョンの気持ちが嬉しかった。
有難うございます、と言って部屋を去ろうとすると、ジョンに呼び止められた。

「君に伝えようと思っていたんだが、ローザがね、あの書類、自分のせいだと言っていたよ」

キャサリンは何の事か分からなかった。
当惑したような表情をしていると、ジョンが言った。
「ケント氏の、離婚訴訟での書類の一件だよ」

ああ、とキャサリンは頷いた。すっかり忘れていた。

「どうやら、オズに来客があった後、下げようとしたコーヒーを、机の上にあった書類にこぼして
 しまったらしい。書類を捨てたあと、君にもう一度プリントして貰おうと思っていたんだが、
 君に伝えるのを忘れてしまっていたようだ」
そういう事だったのか。ローザらしかった。

「ローザがその事を言いに来たんですか?」
キャサリンは疑問を口にした。
「いや、オズがね、あの後、君がそんなミスをするのは珍しいと思い直して、ローザが部屋に入った
 時に、書類があったかどうかを確認したらしい。そうしたら、彼女がそのことを告白したようだ」
「そうですか・・・」
「ローザが君に悪いことをした、と謝っていたとのことだったよ。オズも君を責めて悪かった、と
 言っていたよ」

キャサリンは複雑な心境だった。
だが正直に告白した彼女を許す気になっていた。
彼女にとって勇気のいる行為だっただろう。

「ああ、キャシー、今後の細かい事は、また話し合おう」
ジョンは大事なことを忘れていたというように言った。
キャサリンは、分かりました、と笑顔で答えて部屋をあとにした。


その日の夜、ナタリーから電話が掛かってきた。
開口一番、彼女はキャサリンが聞かれたくない事を聞いてきた。
『ねぇ、キャシー、彼とはあの後、どうなったの?』

「彼って?」
キャサリンはとぼけた。
『もう! ピザ配達人に決まっているじゃない。マックスのことよ。だいぶ仲良さそうに、あなたたち
 喋っていたじゃない。彼、私服で見ると素敵だったわね。まさに危険な香りがしてた!』
ナタリーに見られていたとは。
あの時ナタリーとエリックは、先に帰ったのだとばかり思っていた。

「・・・そうね、危険すぎたわ」
『えっ、危険すぎた? それってどういう事?』
キャサリンは言おうか言わまいか悩んだが、言うことにした。

「彼、ジゴロとか、そういうのじゃないかって思うの」
キャサリンは、その彼と一夜を共にした事は黙っておいた。
恥ずかしくてとても言えない。

『ジゴロですって?』
ナタリーが電話の向こうで素っ頓狂な声をあげた。
「だって、すごく口が上手いし、慣れてるし、ピザの配達のアルバイトをしてるのに、妙に金回りが良
 さそうだったのよ。怪しいわ」
キャサリンは5ッ星ホテルのスイートに泊まったことは言えなかったので、曖昧な表現をした。

『腕時計が高級ブランドだったとか?』
「そう、そんな感じ」
マックスの腕時計など確認していないが、きっとそうなんじゃないかと思い、話を合わせた。

『そんな感じ? そんな感じってどういう事?』
ナタリーは突っ込んできた。
彼の腕時計のなんか見ていなかったので、キャサリンは困った。
もっとも、見ていても覚えていないだけかも知れない。

「だから、ホテルのスイートが・・・」
しどろもどろになって、言ってしまった。




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