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05.13
Mon
キャサリンはセントラルパーク沿いの多目的ビル4階にある、旅行ガイドの3ッ星を取得しているレストランで優雅なディナーをマックスと堪能していた。マックスと付き合うと言う事はこういう事なのだ、とキャサリンは思う。
毎日が、今までのキャサリンには信じられ無いくらい豪華で特別。

食前酒のドライシャンパンに始まって、車海老と季節野菜のモザイクがアミューズとして出て来た。
生牡蠣と、コンソメゼリーとキャビアを添えた燻製した牡蠣の2種、表面をカリカリに焼いたフォアグラと帆立にクレームブリュレと無花果のチャツネを添えた一品、舌平目のポワレに酸味の利いた苺のスプーマを添えた物、牛フィレ肉に黒トリュフソース、チーズアラカルト。
そして、口直しにマンゴーソルベとオリーブソルベの盛り合わせと、デザートにカプチーノ仕立てのスフレグラッセ、小菓子としてプチマカロンとプチガナッシュと続いた。

その店の豪華な内装の中で、一番豪華で煌びやかなのは、目の前の男性だ。彼は少しフォーマルな感じのするデザインのスーツに身を包み、ネクタイを締めて優雅にフォークを口に運ぶ。
ちらちらと、他のディナー客達がこちらを見る視線を感じる。
仕方が無いだろう。彼は超のつく有名人で、彼の纏うオーラは彼を目立たせてしまう。

だがそんな彼らの視線も、次々と出される美しいプレートとその魅惑的な味で、気にはならくなっていた。高級なワインに酔っているためもあるだろう。
そんな中で、時折触れてくる彼の指が、昨日の夜の熱い行いを思い起こさせ、胸の頂がチリリとなる。
マックスの熱い視線が、誇らしい。
この素晴らしい男性は自分をパートナーとして選んでいるのだと、キャサリンの胸に愉悦が沸く。

「マックス、お久しぶりね」

ブロンドの美しい女性が、テーブルの脇に立った。
キャサリンとマックスの視線が、その人影に向く。

細く、背の高い女性が胸元の開いたドレスを綺麗に着こなして、そこにいた。
マックスの表情が少し曇る。
緑の瞳の美しい彼女は、お構い無しににこやかに笑っている。

「久しぶりだね、ミラ」
「本当に。あなたがこんな所に出て来るなんて、珍しいわね。元気にしていた?」
「ああ、何とかね。君はパリじゃ無かったのかな?」
「ニューヨークでコレクションがあるの。その寸法取りに来ているのよ」
「ふうん、そうなのか」
「1週間ぐらいはこっちにいるつもりよ。折角会えたんだし、またお食事でも一緒にしたいわね、マッ
 クス」

ミラと言う名の美しい、東欧出身だろうと思われる女性は、キャサリンに一瞥を投げ掛けると、その後はマックスだけを見つめて言う。
キャサリンは、彼女のあからさまな値踏みする様な視線と、まるでその場に自分が居ないかの様な彼女の言葉に、血がざわつく感覚を覚えた。

「いや、残念だけど、君と食事する時間が取れる予定は無いよ」
マックスはミラと言う名の女性をチラリとだけ見て言った。
顔にはっきりと、迷惑だと思っている事を表している。
その彼の表情を見て、キャサリンは内心ほっとするのと共に優越感を感じた。

「あら、そう、それは残念。私、お邪魔虫みたいね、退散した方がいいみたい。気が変わったら電話を
 ちょうだい、マックス。電話番号、変わってないのよ」

彼女はそう言って、緑の美しい瞳を細めて、後姿も美しくテーブルの傍を去って行く。
キャサリンは嵐の様な来訪者が、嵐の様に去って行った事に唖然とした。

「・・・今の女(ひと)、誰?」
キャサリンはマックスに聞かずには居れなかった。
彼女は明らかに、キャサリンに対する嫌味のためにこのテーブルにやって来たのだ。

「古い、知り合いだよ」
そう言う、マックスの表情は硬い。
キャサリンには察しがついていた。

「昔の恋人? 彼女、モデルなのね」
キャサリンは眉間に皺を寄せて言った。
確かに美しいが、何とも、腹の立つ女性だ。あんな見た目だけのガリガリな嫌味な女性と付き合っていたとは、マックスの女性の趣味を疑いたくもなる。

「まぁ、否定はしないけど。彼女が君に失礼な態度を取ったのは謝るよ。でも、妬いてくれてるのかな?」
対するマックスは、ニコニコと微笑んでいる。

「 妬いてなんか、いません」
思いもしないマックスの言葉に、キャサリンはむきになる。しかも、やっぱり付き合っていた様だ。

「でも、妬いてるみたいだよ」
彼は嬉しそうに尚も続ける。

「妬いてなんか、いないわよ。私はあの女性の失礼な態度に怒っているのよ」
「じゃあいいよ、やきもちじゃない事にしよう。僕は勝手にそう思うから」
「だから・・・」

キャサリンは言葉を続けるのを止めた。
この会話を続けても、マックスに言い負かされるのは目に見えている。こんな風な言い合いで、彼女はマックスに勝った試しが無い。
ニコニコからニヤニヤに変わっている彼の笑顔に、これ以上何を言っても無意味だろう。
それに、嫉妬していたと言うのは当っていると言えば、当っているのだ。

「キャシー、明日と明後日は休みなんだろう?」
憮然とするキャサリンに、マックスはニヤニヤ顔を崩さずに聞いて来た。
「ええ、休みよ」
彼女は表情を崩さずに返答する。

「週末はどこかに出掛けないか? できれば少し南の方、僕の両親に会うなんて、どうだろう?」
マックスは、ふわりとした笑顔になった。





作者注:作中の3ッ星レストランには実在のレストランをモデルにしております。
    そちらについてはひとりごとコーナーにて語ります。



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