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05.04
Sat
マックスと会えなかった火曜日と水曜日、キャサリンは、仕事中以外はうじうじと彼との関係について考え続ける事を止める事が出来なかった。この2日間マックスはキャサリンに昼と夜に電話を掛けて来て、その度に彼女は幸せになり、また落ち込んだ。
だが彼の電話のおかげで、ひどい落ち込みにはならなかった。

そして明けた木曜日、エミリーに引継ぎの説明をしたりとバタバタとした後、昼前にマックスから今日はNYに帰るので部屋で待っていて欲しい、と電話があった。
キャサリンは彼の電話にうきうきとし、2日ぶりに残業をせずにさっさとアパートに戻った。


キャサリンが嬉々として部屋で待っていると、マックスがやって来た。
彼女は大急ぎで玄関に行くと、一呼吸してからドアを開ける。
マックスに、彼の帰りをとても待ちわびていた事を悟られるのが躊躇われた。
彼に大人の女性であることを見せつけたかった。

「いらっしゃい」
そう言ってドアを開けると、そこにはいつもの笑顔のマックスでは無く、ダークスーツを着て少しやつれた彼が立っていた。珍しくネクタイをしている。

その彼の様子に、キャサリンはひやり、と自分の笑顔が強ばるのを感じた。
彼に、W&Mを辞めて故郷に帰ることがバレたのでは、と頭に浮かぶ。

マックスはドアが開いた途端、キャサリンに抱きついた。

彼にきつく抱きしめられて息苦しさを感じながら、いつもと違う彼の様子にキャサリンは戸惑った。
「マッ・・・クス?」
言った唇を、彼の口で塞がれる。
それは、荒々しく強引な、貪る様なキスだった。

長いキスを終えて、はあ、はあ、と2人で息を切らしながら顔を離すと、
「・・・どうしたの?」
とキャサリンはマックスの少し髭の伸びた頬を指で撫でながら聞いた。

マックスはキャサリンの質問に、少し微笑んで、
「あまり寝てなくて、疲れてるんだ」
と言う。
そして頬を撫でている彼女の指を取ると、それに頬ずりをする。

「じゃあ、今日は、いいのよ? 無理しなくても」
キャサリンはマックスの甘えた仕草にドキドキとしながら、先程の疑念が徒労に終わった事にホッとした。

彼は彼女の返答に、また微笑みながら言う。
「今日は僕の部屋に招待するって言っただろう? 行こう」

今日の電話の時に、その約束を果たすと彼に言われていた。
キャサリンも、そのつもり処かその先を期待を込めて予想して、ちゃっかり彼の部屋に泊まる用意をしている。
マックスに先程言った事は、まったく本心では無かった。





キャサリンはマックスの部屋に驚いた。
彼の住まいは、場所も建物も、部屋に至る建物の通路も、もちろん部屋自体も超一流だった。
いわゆるペントハウスというやつだ。セントラルパーク沿いにある建物の最上階にある彼の部屋からは、大きな窓越しにセントラルパークを見下ろし、NYの夜景が瞬く。
広いリビングは吹き抜けで、きれいな曲線を描く階段が、2階がある事を示している。

「すごい・・・」
彼の部屋に入って、キャサリンの口をついて出た言葉はそれだった。

まるで生活感の無い、洗練された空間がそこにある。
広いリビングはLDKになっていて、シルバーに光るアイランドキッチンとダイニングテーブルがあるエリアと、そこと少し距離を置いて何段か床を下げた場所に、白いソファセットとTVやオーディオのセットのエリアがある。家具は全て白とダークウッドで統一されていた。きっとデザインした人の名前が入った家具に違いない。それか、この部屋のために特別に設えた物か。

リビング全体の壁も白く、オーディオセットのある壁面だけはアクセントのために石張りになっている。壁には絵画が所どころ掛けられている。キャサリンでも見知った様な作者の作品もあった。
彼女はマックスが資産家であることを重々承知していたが、新たに再認識をさせられる羽目になった。

「ここ、何㎡あるの?」
溜め息と共にキャサリンはマックスに聞いた。
「リビング? 60㎡ぐらいだったかな」

LDKだけで60㎡とは。
すんなりと、庶民には信じられない事を答えるマックスに、キャサリンは下世話な事を聞いてしまったと思った。それでも、質問を止める事は出来ない。

「2階もあるの?」
「あるよ」
「すごい・・・。一体何部屋あるの、ここ?」
「さあ? 6? 7? 忘れたよ」
「自分の部屋なのに?」

ホテルのスイートを広すぎると言っていた彼だが、自分の部屋はもっと広いじゃない、とキャサリンに彼を少し責める気持ちが沸く。

「使っていない部屋ばかりだから。もういいかな? そんなに興味あるんだったら、後で探検でもする?」
マックスの部屋にはしゃぎ出しそうになっているキャサリンを、彼は面白そうに眺めている。
彼のそんな表情に、キャサリンはバツが悪くなった。
これでは彼に、はしたないと思われてしまう。
大人の女性らしさを見せつけようとしているのに。




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