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04.25
Thu
マックスはぼんやりと目を覚ました。
部屋のカーテンが開けられ、室内が薄っすらと明るい。
そこはいつもの見慣れた広い自分のベッドルームでは無く、少し低い天井が見える。
ここはキャサリンの部屋だ。
昨日シンガポールから帰国した後、一旦自分の部屋に戻ってから彼女に会いたくなってやって来た。
マウンテンバイクで。

彼女に会いたくて、夜のNYをマウンテンバイクで走った!
ピピコム社CEOであるこの僕が。
こんな事をアルバートが知ったら、呆れた顔をされるに決まっている。
アルバートどころじゃない、マスコミに知られたら、ちょっとしたスキャンダルだ。

そんな昨日の自分の行動を思い出して口元を緩ませた後、ふぁあ、と口から小さく息を吐きながら、身体を起こして大きく伸びをした。
マックスがいつも寝ているベッドより小さなベッドの、横に寝ているはずのキャサリンはもういない。
小さいと言っても、ダブルサイズだろうとは思う。

ベッドから起きると、下着だけの姿の上に昨日着ていた肌着代わりのTシャツを着て、寝室のドアを開けた。
開けるとコーヒーの匂いが鼻をつく。
今日のNYはいい天気のようで、リビングは明るかった。

「起きたの?」
キャサリンが小さなキッチンから顔を出した。

「うん」
「今、起こしに行こうと思っていたところよ」
「今何時?」
「えーと、7時30分」

そう言いながら、キャサリンはリビングのテーブルに朝食をセットし始めた。
彼女は昨日着ていた黄色いスウェットでは無く、普段着を着ている。
まだ出勤前なので料理をする間は普段着を着て、この後スーツに着替えるのだろう。

「一度、自分の部屋に戻るでしょう?」
「うん」
「何時ごろにここを出るの? シャワーを浴びる? 先に朝食を食べるでしょう?」

マックスはまだ寝ぼけている頭で、質問攻めだな、と可笑しくなった。
キャサリンはマックスに質問しながら、キッチンとリビングを忙(せわ)しなげに行き来している。

「8時過ぎにここを出るよ。シャワーは自分の部屋で浴びる」

そう言いながら、リビングのソファに腰掛けた。
目の前にはキャサリンが用意した朝食が揃っている。
パンケーキとスクランブルエッグ、はちみつとバター。

「それで間に合う?」
キャサリンの声がキッチンからする。

「大丈夫だよ。僕は重役だから」
「あっきれた。重役出勤ってやつね」

「きちんと朝食を取るんだね」
マックスは並べられた料理を見ながら言った。
いつもなら彼は、朝コーヒーは飲むが、朝食は取ったり取らなかったりだ。

「いつもは取ったり取らなかったりよ。あなたに何も食べさせないわけにはいかないでしょ。旅行に
 行った後だから、冷蔵庫に何も無くて。パンケーキを冷凍していたのを思い出して良かったわ」
そう言いながら、キャサリンはコーヒーのマグカップを2つキッチンから持って出て来た。

コトン、とマグカップをテーブルに置いて彼女が、あ、ミルク要る? とマックスに聞く。
うん、欲しいね、とキャサリンに答えながらマックスは、彼女に世話を焼かれるのは嫌じゃないな、と思っていた。

キャサリンがコーヒーフレッシュを手に持ってリビングに戻ってきた。
そしてマックスの斜め向かいに座る。

「はい、ミルク。さあ、食べましょうか。お口に合うといいけど」
キャサリンはマックスに、微笑んだ。

――あ。
キャサリンの周りが、きらきらとしている様に見えた。
NYが朝から晴れているせいかもしれない。

なぜか、そんな彼女がとてもきれいに見えて目が離せなくなった。
そして、結婚という2文字が、きらきら光るキャサリンと一緒に、文字通り目の前に浮かんだ。





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