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02.07
Thu
「まさか、ピザの・・・」
キャサリンは驚いた。
UFOが壊れた可哀そうな宇宙人君だ。

「ビンゴ。そう、さっき君にピザを届けたピザ配達人だよ。マックス・コナーズっていうんだ。
 よろしく」
「あら、私の小さな甥っ子と同じ名前だわ」
「へぇ、じゃあ君と僕はきっと、仲良くなる運命なんだね」

マックスは手を差し出してきた。
マックスのペースにすっかり乗せられてしまったキャサリンは、おずおずと手を差し出して握手をした。
マックスの手が力強くキャサリンの手を包む。
キャサリンはその男らしさにどきりとし、腰のあたりがざわつくのを感じた。

「キャサリン・パーカーよ。でもどうして私の名前を知っていたの?」
そう言ったキャサリンは、はっと気が付いた。
「ナタリーね」
なんておせっかいなのかしら。キャサリンは友人に半分入っているイタリアの血を今回は呪った。
「彼女にピザを持って行った時に、あとでこの店に来ないかって誘われたんだけど、君は僕が来ること
 を知らなかったみたいだね。もしかして迷惑だったかな」

さっきまで笑顔だったマックスは、当惑した表情を作った。
困った表情をしているが、その瞳はキャサリンが許すことを期待している。
彼女はその表情を見て、
「いいえ、そんなことは無いわ。ちょっととまどったけど」
と、つい言ってしまった。

あんな表情をされて断れる女性はいないだろうと、キャサリンは思った。
それに、これはナタリーが仕組んだことで彼には何の罪もない。
「じゃあ、僕が一緒に飲んでもかまわない?」
「もちろん」
いつもならこんな誘いには乗らないのだが、ナタリーとエリックは2人でダンスに夢中だし、スティーブとの別れで、今までの自分ではダメなような気がしていた。

――そうね、ナタリーの言う様にたまには羽目をはずしてもいいかもね。
  年下の魅力的な友達ができるのもいいかもしれないわ。
アルコールがキャサリンの気持ちを軽くしている。
キャサリンはカクテルに手を伸ばした。
一口飲むと、液体に包まれなくなった氷が、グラスに当たりカラカラときれいな音を立てた。

「ナタリーとはどのくらい知り合いなの?」
キャサリンは、彼女の横の席に座ったマックスに聞いた。
すぐ横に座られると、嫌でも彼の男らしい体から発散されるエネルギーを感じてしまう。
ピザの配達の時の服装では分からなかったが、広い肩とあつい胸板がシャツの上からでもはっきりと分かる。
キャサリンは何故か居心地が悪くなり、ごまかすように座り直した。

「ピザのバイトを始めてすぐぐらいだから、そうだね、3か月ぐらいかな」
マックスは彼女に答えながら、そばを通った店員にカクテルを注文した。
「君は?」
「えっ、私? ナタリーとは高校以来の付き合いよ」
「違うよ、カクテル。君もなにか飲むだろう?」
マックスはキャサリンの瞳を覗き込みながら聞いた。
さっきの一口で彼女のグラスの中身はほとんど無くなっている。

「ああ、いやだ私ったら。ええそうね、ラムコークにしようかしら」
質問の意味を間違えていたことと、マックスの青い瞳に見つめられて、キャサリンは自分の頬が熱くなるのを感じた。

――なんてことかしら、今日の私はおかしいわ。いつもならこんなことは無いのに。
キャサリンはほてる顔を冷やそうと手を頬にあてて言った。
「顔、赤くなってるかしら。きっとお酒を飲みすぎたのね」

マックスは彼女のその仕草に好感をおぼえながら、キャサリン・パーカーには驚かされてばかりだな、と思っていた。

3年前の彼女は、当時すでに業界では有名だったマックスの名前を聞いても自分の仕事を忘れない、取りつく島もないキャリアウーマンだった。
今日彼女の友人の家では、キャサリンはラフな姿をしていた。

マックスは、仕事の時の彼女からは想像できない意外な感じを受けたが、そのリラックスした姿は彼女を若々しく見せていたし可愛らしかった。
そして今は、見事にドレスアップしている。
彼はダンスフロアに入ってすぐに彼女に目を奪われた。

しかし、癪に障る点もある。
マックスは今日彼女を見た瞬間に3年前のことを思い出したが、どうやら彼女は全く思い出さないらしい。
今、2度目の自己紹介をした後でも思い出さないようだ。

――僕は自分ではそれなりの権力者で有名人のつもりだったが、目の前の女性にとっては違うらしい。
マックスは意外にも、そのことを楽しいと感じていた。
だが少し、自尊心を傷つけられてもいた。

彼は彼女に小さな仕返しをしたくなっていた。
彼女の驚く顔が見たい。

マックスは、キャサリンをすぐ横で、じっくりと眺めた。
黒いドレスシャツは彼女の白い肌を引き立てていたし、緑のスカートは印象的でエレガントだ。
よく似合っている。

でも髪をおろしていたらもっと魅力的だろうな、と思う。
彼女は今回も髪をまとめていた。

この店に入ってキャサリンと話し始めてから、最初は以前と同じ固い態度だった彼女が、くつろいだ表情を見せる様になってきていることを、マックスは感じていた。

しかし彼女の瞳に時折、陰りが宿ることも見逃さなかった。
その陰りを取り去りたい、と思った。
彼はもう一歩踏み出すことにした。




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