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04.23
Tue
翌朝7時30分に、キャサリンはセットしていたアラームに起こされた。
昨日歩き回った疲れと、結局夜は遅くまで2人で愉しんだため、寝不足だった。
キャサリンは、起きたがらないマックスをベッドに残し、軽くシャワーを浴びる。
まだぼうっとする頭をシャワーではっきりさせた後、ベッドでまどろんでいるマックスを起こした。

マックスは髪の毛をくしゃくしゃにしたまま、ベッドからのそのそと起き上がる。
その彼にコーヒーを飲ませ、自分も飲んだ。
彼がシャワーを浴びている間に、荷物をまとめ直し、スーツケースに身の回りの物を詰め込む。

シャワーから出て来たマックスはてきぱきと動き、2人は彼の部屋をあとにした。
そして、一旦キャサリンの部屋に寄り、忘れ物が無いかチェックをする。
かっきり9時10分に部屋を出る。
観光客でごった返し、明るく白く輝いているホテルのレストランで朝食を取り、少し早いが9時50分にはロビーに向かう。

ロビーに降りると、フロントの横でミス・ヤンがすでに待っていた。
相変わらず彼女は有能だわ、とキャサリンは思った。だがこの国に着いたときに感じた様な、彼女に対する羨望はもう無い。
何度も乗った彼女の運転する高級車の後部座席に、いつもと同じ様にマックスと並んで座りながら、キャサリンはミス・ヤンに2人の関係が変わったことを気取られていないか、が気になった。
何しろ彼女は勘の鋭い女性だ。そしてそれを口にする勇気も持っている。その事は一昨日の件でよく分かっている。

しかし、キャサリンのそんな心配は杞憂に終わった。
ピピコム・シンガポール支社での緊急朝礼に同席し、それをそつ無くこなし、マックスと共に支社の方々にお礼を言って、ピピコム・シンガポールをあとにする。


チャンギ空港に着いて、カウンターでチェックインを行い、ミス・ヤンとは本当に最後のお別れをした。
彼女とハグをして、丁寧にお礼を言った。彼女にお別れを言うのは、楽しかったシンガポールにお別れを言う様な気がして、キャサリンは寂しくなった。
そして、昨日のマックスとの行為で付いてしまった首筋の証を、彼女に最後まで気取られずに済んだことにホッとした。

朝起きた後に気が付いたそれは、シャワーを浴びた際にマッサージをして、コンシーラーを塗って、ファンデーションを乗せ、髪を下げて見えない様に工夫をしてある。
こんな事をするのは、いったい何年振りだろう。とても若い頃に情熱に任せた行いをして以来だ。

手荷物検査の列に並ぶまで、ミス・ヤンとシンガポール支店の重役たちは見送ってくれた。

彼らがキャサリン達が並ぶのを見届けて姿を消すと、マックスが口を開いた。

「やれやれ、やっと行った。丁寧だな」

キャサリンは砕けた調子に戻った彼の言葉に、彼を見た。

「やっと行った、って、せっかく送ってくれているのに」
キャサリンは彼の、失礼な言葉に注意をした。

「荷物、重いだろ? 持つよ」
マックスは彼女の注意を全く意に介さず、彼女に声を掛ける。

「いいわよ。すぐにそこに置かなきゃならなくなるもの」
「でも、手が空いてない」
「?」
キャサリンには彼が何を言っているか意味が分からなかった。

マックスは彼女が片手に下げていたビジネスバッグをひょいっと取ると自分の肩に掛けた。
そして、空いた彼女の手を握った。

「こうしたかったんだ」
そう言って、彼女にニッコリと首を傾けながら微笑んだ。

キャサリンは瞬間、天にも昇る心地になった。
まったく、彼は何て笑顔をするんだろう。


飛行機の中で、シンガポールに来た時と違いキャサリンとマックスは、まず寝不足からたっぷり睡眠をとった。そのあと起きてから、色々な話をして見つめ合ったり笑い合ったりして、映画を2本見た。
マックスがパソコンを開くことは無かった。






出国したペンシルバニア州ニューアーク国際空港に着くと、アメリカは寒かった。
時刻は月曜日の18時00分。シンガポールを月曜日12時30分に出て、18時間30分飛行機に乗っていたはずなのに、時差の関係上、5時間30分しか経っていない事になる。12時間30分得をした気分だ。

ややこしい手続きを再度経て、空港の外に出る。
外はもう夜の闇に包まれていて、気温がぐっと下がり更に寒くなっている。
シンガポールが温かかったので、気温差が身に染みる。
駐車場に停めてあるマックスの車に乗る前に、2人共電話を掛けた。マックスは彼の秘書に、キャサリンはW&Mのジョンに。

マックスの車でキャサリンはアパートまで送ってもらった。
車の中でもマックスのキャサリンに対する態度は変わらず、キャサリンは嬉しかった。
だが、浮かれている事をマックスに悟られない様に気を付けた。

そして、アパートに着いて荷物を部屋まで彼に運んでもらった時、キャサリンはマックスに、コーヒーでもどうか、と声を掛けた。

「・・・いや、遠慮しておくよ」
「そう?」
「うん、今日は荷物を片付けなきゃならないし」
「そうね」
「じゃあ、また」

キャサリンは、マックスに微笑んで、じゃあ、またね、と返した。



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