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08.24
Sat
どうも、nicikaです。


『冷静な~』告白-4、です。

アルバート君の告白、でございました。
アルにも人に言いえない過去があったのでした。
アルは、自分の中の劣等感と戦いながら、秘書の仮面をかぶって生きてきた、という事ですね。
他人とある程度の距離を取って生きて、装いながら生活する面には器用な男の、不器用な内面、ってな感じですかね。
ああ、お父さんいい人で良かったね、と私はアルに言いたい。
細かく言うといい人かどうかは分からないけどね。
自分が大人になってみると、自分の両親が、大きな力を持った絶大な人間では無くて、どこにでもいる普通の人間なんだな・・・と感じた事って、皆さんもありませんでしょうか。

ああー、しかし、人間というのは不思議だ。
と再認識したのは、私の妹の事ですが、なんだか彼女、熱中症(?)をきっかけに自律神経の変調をきたしているようで、かぁるい不安症と気分の悪さを断続的に、突然に起こすようになってしまった。
なんだかややこしい事だ。
私といる時はほぼ快調なんだよねー。
ところが、じゃあ独りで大丈夫だねって、ほっとくと、しんどいよー、ってSOSが来る。
困ったもんだ。

私から見ると、ストレス感じるような生活して無いのになぁ。
本人も、何がストレスなのか、分からない。
困ったもんだ。
全く、人間の体のバランスって何で狂うか分からないね。

おかげで私は、毎日、妹の家におさんどんに行っております。
そして、甥っ子を保育園に送り迎えして、たまにザリガニ取りに行くのですよ!
ええ、網でカエル取ったり、魚取ったり、してるんですよ!
子供の頃に経験した夏を今更に満喫! してますよ! にゃはは!
それはそれで楽しいが、ああ、如何せん、小説が進まない!
更新が進まない!
皆さんお待たせして申し訳ない。


『冷静な~』は次回で最終回の予定です。
ここまで来てしまいました・・・。
応援いたいただいた方、ありがとうございます。
が、きちんとした皆様へのお礼は、次回、更新時にまた述べたいと思います。
ではでは。



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08.24
Sat
アルバートは息をするために、言葉を切った。
喉が張り付く。
ぐっと、唾を飲み込んで、張り付いた喉に潤いを与える。
ごくり、と自分の喉仏が上下する音が、やけに大きく聞こえた。

「そしたら、・・・そしたら親父が、大学に行けって、金を出してくれた。がんばれって、言ってくれた」

大きく息を吐きながら言った。

「それでも俺は、両親を心の底から許すことは出来なくて・・・、その後は・・・、奨学金を受けながら
 大学に行って、MBAを取った。在学中は故郷にほとんど戻らなかったし連絡も取らなかった。そんな
 俺でも、卒業式は両親に知らせる必要があると思って知らせた。来なくてもいいよ、と伝える事も忘れ
 ずに電話を掛けた。在学中、両親の方から連絡してくることも無かったから、疎遠な息子の卒業式なん
 て来たくも無いだろうと思ったし、俺も来てほしいとも思って無かった。・・・だけど」

くしゃり、と自分の顔が歪むのが分かった。

「親父と母さんが、来たんだ。卒業式。・・・親父、泣いてた。あの親父が。いつも顰(しか)めっ面し
 て、怒鳴ってたあの親父が。鼻の頭真っ赤にして。俺の事、息子でいてくれて、誇りだって」

アルバートは掛けていた眼鏡を外して、掌で目を覆った。
今でのあの時の親父の顔は、鮮明に思い出せる。
泣きながら親父は、こんな俺の所に生まれてくれてありがとう、と呟いた。
そこに、自分の知らない小さな小さな親父が居た。

熱いものが瞳に溢れそうになる。
そんな情けない姿をエヴァンジェリンに見せたくなくて、掌で瞳を覆ったまま、ぐっと唾をまた飲み込んだ。
瞼に触れる掌が冷たくて、瞳の熱さを奪ってくれる。

「ピピコムに入って、生まれた街やそれまでの生活を誰にも言わずにいた。両親に対するわだかまりは溶
 けていた。だけど、捨てたかった。何も無かった事にしたかったんだ。・・・俺の中には、今までの自
 分を恥ずかしいと思う気持ちがまだ残っているんだ。だから君に、言えなかった・・・。君に、蔑まれ
 るんじゃ無いかと、同情されるんじゃ無いかと、思って言えなかった。君に、嫌われたく無くて、言え
 なかった」

友人を見殺しにする様な事をしておきながら、自分は違うと信じ、その事を反省もせず、周りを憎んだ。
そのくせ、たくさんの人の善意に支えられて生きて来た。
彼らの善意を、生まれた街ごと過去に葬って、いっぱしの人間の様に過ごして来た。
彼らの助け手のおかけで、自分はここにいる事が出来ていると言うのに。

そしてその事で、彼女を傷つけていた。
そんな事にも気付かないくらい、自分は傲慢で利己的で愚かだ。
自分のプライドを守る事に精一杯で、彼女を思いやる事も出来なかった。

「アル・・・」

エヴァンジェリンはそう一言呟くと、膝で握りしめていたアルバートの拳に手をそっと添える。
その柔らかな触れ方で、彼女が自分を労ってくれていると分かる。
それは友人や知人に対する労りと同じかも知れないけれど、彼女の優しさが嬉しい。
こんな自分を蔑まず、見捨てずに、この寒さの中で自分の話を最後まで辛抱強く聞いてくれた彼女の優しさに、縋りたい。

「君が・・・、俺の事を許せないと、思う気持ちは分かる。俺は・・・俺は、自分の事ばかりで、君の事
 を少しも思いやらなかった。君がそんなに苦しんでるなんて、気付かなかった。君が深く自分の事を語
 らないのを、それでいいと思ってた。俺も、自分の事について語らなくていいから・・・。逆に語らせ
 ない様に仕向けていたのかも知れない。自分の生い立ちや両親に対するわだかまりを誰かに、君に、話
 さなくて良くてホッとしてた。・・・君を、そんな風に追い込んだのは俺のせいだ。悪かった・・・」

「・・・アル、そんな事、無い・・・。 私も、もっと早くあなたに告げるべきだった。あなたのせいじゃ
 無い・・・」

彼女の言葉がこの緊張した空気を和らげるためだと分かっていても、心からの言葉だと思いたいという気持ちが起きる。
彼女の優しい言葉を、信じていいのだろうか。

いや、信じたいとか、信じるべきか、では無いのだ。
そんな、自分を守る考えは捨てようと決めたはずだった。
彼女にもし次に会う事が出来れば、彼女と連絡がつけば、正直に、自分の気持ちを伝えようと決めていた。
もう、自分が傷つくことを恐れてはいけない。
彼女はさっき、アルバートの事を愛していた、と言っていた。
だから真実を伝えられなかったと。
過去形ではあるけれど、その気持ちがまだ彼女の中に存在してくれている事を願うしかない。

「エヴァ・・・、俺は、こんな俺でも許してくれるのなら、君とずっと一緒に、いたい。君とずっと暮ら
 していきたい」





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08.17
Sat
やっぱり、ドクターは正しかったな、とアルバートは治まっていた胃のむかつきをまた感じながら思った。
本当に、自分の独善的な行動が悔やまれる。
今だって、彼女に先に告白をさせて、自分は黙っていた。
先に話さなければならないのは、自分の方なのに。
本当に意気地が無い。

「エヴァ、俺がNYで生まれて育ったことは知ってるよな・・・」

アルバートは呟く様に言った。
エヴァンジェリンが、分かれた、という言葉を使ったことが心に引っ掛かっているが、その事は敢えて無視した。
彼女は、アルバートの言葉の意味が分からずに、俯かせていた顔を少し上げてこちらを見る。
その表情は、苦渋に満ちている。

彼女にそんな表情をさせているのは自分なんだと、アルバートは辛くなる。

「俺は・・・」

アルバートはごくりと唾を飲み込んでから続けた。

「俺は、サウスブロンクスの近くで育った。良く知っていると思うけど、あまり治安のいい場所じゃ無く
 て、あまり裕福だったとは言えない。そこら辺の家庭ではよくある話の通り、親父は、飲むと母さんを
 殴って、毎日みたいに二人は喧嘩して。・・・俺はそんな家庭に育った子供が通る道を、当たり前みた
 いになぞった生活をしてた。中学に入る頃には、連れとマリファナをやって、近所の店で万引きをした。
 コカインまではやらなかった。いや、一度はした。けど、コカインをやり出すと後は落ちていくだけな
 のが分かってたから、それ以上はやらなかった。俺と仲のいい連れはギャングに入らず、何とか暮らし
 てた」
「アル・・・」

エヴァンジェリンは驚いた顔をしている。
彼女にこの事を話すのは初めてだ。
いや、大学に入ってから、誰にもこの話はしていない。
この事を伝えた時の、彼女の反応が怖かった。
だから、今まで言えなかった。

「この、右腕にある傷、ガラスで切ったって言ってたけど、嘘なんだ。高校に入ってから巻き込まれた
 喧嘩で、相手が持ってたナイフで切られた。相手が振りかざしたのを避けようとして、腕を切られた。
 相手が銃を持っていなかっただけ、ラッキーだった」

アルバートは言いながら、スーツの下に隠れて今は見えない右腕の傷を指した。
エヴァンジェリンに微笑みかけたつもりだが、自分でも情けない表情をしている事が分かる。
じっと自分を見つめる彼女の瞳に、侮蔑の色が含まれていないかが、気になる。
こんな育ちの悪い自分を、軽蔑していないだろうか?
彼女の瞳を見ることが出来ない。

「・・・それから暫く経って、友人の一人がコカインのやり過ぎで死んだ」
「アル、何てこと・・・」

彼女は言葉と同時に、悼ましさを表情に表す。
アルバートは唇を噛みしめた。
まだ全てを話していない。
彼女に、きちんと全てを伝えなければならない。

「そいつが、コカインをやってるのは知ってた。だけど、俺たちは真剣に彼を注意したことは無かった。
 そういうのは個人の自由だって思ってた。冗談みたいに、止めとけよ、廃人になるぞ、って言う事は
 あったけど、それだけだ。それ以上言う事はしなかった。・・・けど、俺は、あいつが死んだ事ですご
 く怖くなった。今自分の住んでいる街が、そんな生活が、すごく怖くなった。俺もこの街にいる限り、
 遅かれ早かれそうなるんじゃ無いかと思った。こんな生活を続けていたら、何かのトラブルに巻き込ま
 れて死ぬか、良くても両親みたいにお互い罵りあって貧しい生活で自分をすり減らす。・・・そんな風
 に成りたくなくて、俺は自分のそれまでの生活を変える事にした」

友人に真剣に生き方を変えさせようともせず、ラリッているあいつを見て笑い転げていた。
そんな若い頃の自分に反吐が出る。
そんな人間の癖に、自分は違うと思っていた。
そこから脱出してやると、夢を見た。

「高1の途中から、勉強をし出した。その街から抜け出すのには、とりあえず勉強を頑張って、大学に行
 こうと思った。今考えると、世間知らずの無謀な考えだったと思う。でもその時はそれしか方法が浮か
 ばなかった。ただ俺は、ラッキーだったんだ。高校の担任がそんな俺を喜んでくれて、放課後、塾にな
 んか行けない俺に、勉強を教えてくれた。毎日。それで、俺の成績はどんどん上がり出して、それまで
 の連れとは疎遠になった」

アルバートは凍えた指を握り締めた。
指の先の感覚が無くなってきている。

「両親は、勉強をし出した俺に何も言わなかった。高2の終わりに進路を決めなきゃならない時に、俺は
 親父に大学に行きたいって言った。成績はいい線行くようになってた。そしたら親父は鼻で笑って、俺
 を馬鹿にした。こんな街で生まれて、何考えてんだって言われた。金なんか無いって、そんな夢みたい
 な事考えるなって。俺は悔しかった。絶対に見返してやるって思った。お前らみたいな人間にはならな
 い、そう思って、がむしゃらだった」

もう彼女の顔は見れなかった。
だがエヴァンジェリンがじっと自分を見つめている視線を感じる。
彼女は何故、何も聞いてこないんだろう。
彼女の沈黙が息苦しい。

「担任の先生が、そんな両親を一生懸命に説得してくれた。・・・ほんとにすごく良く、してくれたんだ。
 それで、親父たちは渋々、受験に同意して、俺は受かった。実は、受かっても入学金とか授業料とかが
 払えないと思ってたから、俺は大学に入ることを内心諦めてた。合格するだけでも、親父たちやその街
 を見返してやれると思ってた」





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08.12
Mon
暑いですね、nicikaです。


本気、暑い。
私の周囲でもバタバタと、熱中症なった、もしくはなりかけた、という者が現れております。
皆様、お気を付け下さい。

今日は先日、ビックリする事があったのでそのご報告をしてみたいと思います。

この暑さでもおかげ様で、私本人は到って元気で、
暑さによる食欲不振は起こしてますが、夕飯時のビールが旨いっ!!
くはーーーー
と、気分良くなって、洗い物等の用事を済ませてから寝室に戻ると、主人はベッドに寝ころびながらTV見てます。
初告白ですが、私、結婚してます。
ははは、とTVに笑いながら主人は、脇に置いてあった、明治・アーモンドチョコを手に取ります。

アーモンドチョコ閉


うーん、アーモンドチョコは色々食べ比べたけど、やっぱり明治が一番です。
チョコとアーモンドのバランスが絶妙なのだよ。
チョコの甘さもちょうどいい。
という事で、うちでは、明治・アーモンドチョコはお気に入りの一品です。


「うぎゃ~~~!! 白い!! 白いタマゴっ!! 何これっ? 白いタマゴ!!」

箱を開けた主人が叫びました。
あー、それ、白化現象ってやつだよ・・・。
なんだったっけ、チョコレートがなんかで白く変色するんじゃなかったっけ。

「ちょっ、これ、白い!! ウズラだっ! ちょっ、見てみて!!」

主人は、アワワ・・・となりつつ、私に明治・アーモンドチョコの箱を差し出します。
もう、めんどくせぇなぁ、チョコが白くなってんでしょー、白化現象だッつーの、見なくても分かるし・・・。
と思うのですが、主人はどうしても見ろ、とうるさく言います。
仕方ないなぁ、と私は箱を開けました。

「ぎゃーーーー!!」




アーモンドチョコ開2

全部、白い。
ちょっと白い部分があるだけかと思っていたら、みんな白い。
何のタマゴだ、これは・・・?!
大きさと言い、白さと言い、ところどころに焦げ茶色の模様(元のチョコの色ですけどね)が付いているのと言い、まさしく、タマゴ!!


バカウケして、何度も閉じたり開いたりを繰り返してしまいました。

箱裏に、高温になった後冷やされると白くなることがあります、と書いてありました。
これも、今年の暑さ故ですね。
食べても体に害は無いそうです。




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08.12
Mon
彼女の告白に、アルバートは煙草を手に持ったまま、彼女を見た。
アイスブルーの瞳が更に光を求める様に、見開いてしまう。

「今日は、マジシャンの助手の代役で来たのよ。でも、その代役でばれちゃうなんてね・・・。ピピコム
 社の名前が出ていなかったから、大丈夫だと思ったんだけど・・・」

彼女は泣きそうな笑顔を見せる。

「3年前、あなたと初めて会った時、私、女優としても駆け出しで、ほとんど仕事も無くて、オーディ
 ションを受けては落ちる日を繰り返してた。もちろん他にアルバイトもしていて、住んでるアパート
 の近くのコーヒーショップでウェイトレスをしてたけど、なかなかその収入だけじゃやって行くのは
 大変で・・・。よくある話ね」

彼女は自分の両手をじっと見ながら語り出した。

「エディ・・・もう知ってるわね、彼とはアクターズ・スクールで知り合って、その頃から一緒に暮らし
 ているの。彼がゲイだってことも、もう分かってる、わよね?」
「・・・ああ」

アルバートはワシントンハイツでの一件を思い出しながら言った。
エディはあの一件のことを彼女に報告したんだろう。
あれで、自分の嘘がばれたと分かったのだろうか、エヴァンジェリンはアルバートからの電話を取る事すらしなくなった。
彼女の声は落ち着いている様に聞こえるが、相変わらず、手の指の組み直しを繰り返している。

「それで、当時、レンタル友人っていうアルバイトをしてたの。お金を貰って、依頼者の希望の友人とし
 て振る舞うの。あっ、そういういやらしいバイトじゃないのよ。ほんと、健全なバイト。あなたに会っ
 た集まりには、その仕事で行った。女性からの依頼で、医者の友人が必要だってことで・・・」

アルバートは先程の煙草を吸いながら、彼女の言葉を聞いていた。
煙草は短くなっている。

「ちょうど、ドラマ『ドクター・マッコイ』のオーディションがある2ヶ月程前だった。それで、医者を
 演じてみるのはオーディションに有利になるかも、って思った」

彼女はそこで言葉を切る。
アルバートが何も質問してこない事に、多少の疑問を感じているのかもしれない。
それでもアルバートは、何も言わずにいた。
彼女は、組み直しをし続けていた両手の動きを止めた。

「その後は・・・、あなたと付き合い始めてからは、その事を、本当は医者じゃなくて女優だって、言え
 なくなってしまった。いつも言おうと思ったけど、言えないでいる内にどんどん月日が過ぎて行って、
 言い出せなくなってた。・・・付き合い始めの時に受けた『ドクター・マッコイ』のオーディションで、
 受けた内科の女医役は落ちたけど、端役だけど、内科の看護師の役が貰えていたの。最初は余り出演の
 無い役だったんだけど、途中から準レギュラーみたいに露出が増えて来て、あなたにいつばれるかと、
 いつもビクビクしていた」

彼の煙草はほとんど灰になって、フィルターと少しの部分だけになっている。
アルバートは彼女が言葉を切ったのをきっかけに、携帯灰皿を取り出して煙草を押し付ける。

――ああ、それでか。

アルバートは納得していた。
CEOの結婚式でマスコミのカメラマンに不自然なくらい反応していた件と、ダニエラ部長が言っていた件が頭に浮かんだ。
妙に彼女はあの日、苛々としていた。

「だから、か? だからあの結婚式の日、あんなに・・・、いや、悪かった」

アルバートは言葉を途切れさせた。
あの日、彼女があんなに取り乱したのは、その自分の嘘がばれそうだと感じたからなのだろうか、と思った。
だがあの日の事は、二人にとって最悪の思い出だ。
彼女から売られた喧嘩だったが、あんな風に彼女を無理やりに抱いてはいけなかったと後悔している。
あの日の事を、わざわざ思い出す必要は無い。

「あの日、私は・・・」

エヴァンジェリンは、喉が引っ付いた様な、裏返った声を出した。
彼女にとってこの告白は、辛いものだろうと分かる。
そんな彼女の肩を優しく抱いて、もういいんだよと言ってやりたいが、自分にはそんな資格は無いんじゃないかと、腕が固まってしまう。

「あの日、私は、あなたと久しぶりに会うのが嬉しくて、あなたから6ヶ月ぶりの電話が嬉しくて・・・。
 だけどあなたは、全然冷たくて。前から他の女性がちらちらしてたし、6か月ぶりなのにって思って、
 あなたに腹が立った。本当は、嘘を付いてずっと付き合ってきていたから、連絡が来なくなった時点で終
 わりだと思ってた。だけど、忘れられなくて・・・。電話が掛かってきたら、もう、嬉しくなってた」

彼女は一気に言うと、大きく息を吸って、言葉を続けた。

「私、自信が無かったの。あなたに好かれているっていう自信が。付き合っている3年間、あなたは二人
 でいる時は優しかったけど、いつも二人で会うだけで、友人に紹介してくれるわけでも無いし、家族に
 紹介してくれるわけでも無かった。・・・あなたに嘘を付いていた私が言えた義理じゃないのにね。でも
 私、あなたの態度を、あなたの反応を確かめながら、いつもビクビクしてた。・・・あなたを愛してた。
 あなたがそういう事を言い出さないのは、私とその程度の関係でいたいからだって、思って。だから、
 自分もあなたに家族を会わしたり、友人に会わす必要は無いんだって、思ってた。あなたに嫌われたく
 無くて、自分の行動を正当化していたのかも知れない・・・」

エヴァンジェリンは言葉を吐き出すと、両手で顔を覆った。
アルバートは彼女の言葉を聞いて、苦痛に瞼を閉じた。
冷たくなって来た指をを握りしめる。

彼女を追い詰めていたのは、自分だった。

アルバートの自分を守る為の態度が、彼女に嘘に嘘を重ねる行動を取らせていたと、痛烈に実感する。
エヴァンジェリンは顔を覆っていた掌を下げると、俯いたまま、苦しげに微笑んだ。

「ごめんなさい、ずっと嘘を付いていて。もうあなたとは別れたのに、今更みたいに本当の事を言うな
 んて、ね。本当はあのまま私の事、忘れて欲しかったから、ずっと黙っていようと思ってたの。ずる
 いわよね。でも、バレちゃった・・・」





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08.09
Fri
>ウサコさん。

うざくないよー! わ、ありがとう! 拍手ボタンそんなに押してくれていたのね。
絵も褒めて頂き、(∇〃)。o〇○テレテレ です。
絵ももっと練習して書いていきたいのですが、何せ時間が足らなくて。元々はイラスト書く方が好きでしたからね。小説書いてみようと思ったのは、ほんと最近なんですよ。
ですから、色々と作風も試行錯誤、変な文章多くてごめんなさい。
そんな拙作、褒めて頂き、ご訪問頂き、嬉しいデス。まじで!!
そうですか、アルの言葉からエヴァンジェリンの職業、予想して貰えてましたか。
他にもちょいちょい匂う箇所ありますもんね。
読んで盛り上がっていただいたと聞くと、書いた方は嬉しくなっちゃいますね。ニマッです。

おすすめ小説にも飛んで頂いているとは、益々嬉しいです。
ですよねー、『月下の銀鱗』すてきでしたよねー。私もあの作品の世界感には惚れたwww
ああいう、引き込まれる様な作品、書きたいなぁ、とがんばってます。

『白鷺』も読んで頂いたみたいで、もうっ、頭下がっちゃうよ!
独りで書いているとグダグダと悩んじゃう結構ヘタレな作者なので、コメント頂いて非常に嬉しかったです。
無理せず、且つ、いい作品UPする様、がんばりまーすヽ(´¬`)ノ!!



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08.08
Thu
ども、nicikaでございます


何か久々に自分のブログを覗くような気がします。
お待たせしました、『冷静な~』最終章・告白、UPです。
さあ! この章にて、色々と謎解きが出来れば、と思います。

この告白の章、読者の皆さんに、ちょっと先に言い訳をしておきたい箇所があります。
アルとエヴァ、ビルの植栽に腰掛けて会話をしているのですが、この時期のNY、バリ寒です。はっきし言って、最低気温が-7℃とか行きます。
二人が会話しているのは19時過ぎなので、そこまで冷え込む事は無いでしょうが、植栽の縁に腰かけて会話って・・・どうなの? と思われる方もおられるでしょう。しかもアルバートはコートも着てないし。相当寒いはず!
この点、大分悩んだんですが、店の中等の暖かい場所では無く、寒い外で展開される方がアルバートの心情に合っているので、このシチュエーションになりました。

カフェの中設定で書いてみたりもしたんですが、どうもしっくり来なくて・・・、何度も修正を掛けて元に戻す、というのを繰り返しました。2月のNYはホームレスの凍死が毎年起きるぐらい寒いらしいですが、その点、ご了承ください。


さてさて。

前回『とある子爵令嬢』の拍コメお返事に書かせて頂いた、番外編、現在作成中でっす!!
みるきぃ21さん、ありがとう。リク頂いて、うぉーっと悩んで、ヤル気でた。
そして書いてみたら、とても1話で終わらず、章になる予定。
(↑やっぱりコンパクトにまとめれなかった) もちっと纏まったら、UPしますので、皆さん宜しく! です。

それと、小説家になろうの方で、2013夏のホラー特集に『白 鷺《はくろ》』という作品UPしました。
9,000字ぐらいの短編です。古典風、怪談風、おとぎ話風な、物の怪の物語ですかね。
 (猟師がある日、谷間を流れる沢に仕掛けた罠を見に行くと、一羽の白鷺がかかっていた。・・・)
と、こんな感じで物語が始まります。
どっかの時代のどっかの国のとある猟師さんが、超珍しい綺麗な白鷺捕まえた、さあどうでしょう?ってな話です。折角だからタイトル部にリンク貼っちゃいます。一読頂けたら幸いです。


ではっ、いつも拍手・応援、ありがとうございます!





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08.08
Thu
エヴァンジェリンはタクシーの後部座席に腰を半分掛けていて、片足が道路についているだけという格好だった。
彼女はアルバートに掴まれた腕を振り解こうとしながら、タクシーの運転手に、早く出して、と声を掛けたが、そんな状態で車を発進できるはずが無かった。

二人はタクシーのドアが開いたまま、暫く押し問答をした。
タクシーの運転手が呆れて、エヴァンジェリンに、痴話喧嘩をするならとっとと降りてくれ、と言い、彼女は仕方なく車を降りる。
彼女は、覚悟を決めた、という表情を見せた。



*****



ホテルから少し離れた場所にあるビルの植栽の縁に、2人は腰掛けていた。
19時を回った程度だが、冬のNYには夜が訪れていて、ネオンと街灯とまだ仕事をしているオフィスの明かりが煌びやかだ。
かなり冷え込んできているが、雪も積もっていないし、この時期にしては温かい方だろう。

「コーヒーとか要るか?」

アルバートは彼女に話し掛けた。
ここに来るまで二人は黙ったままだった。
カフェに入ろうとしたが、エヴァンジェリンが嫌がったのでそのまま歩いた。
どこに行くという宛も無かったので、何となく、大通りをすこし曲がった所にあるここに落ち着いた。

目の前を、コートを着たビジネスマンやキャリアウーマン達が前を通り過ぎていく。

彼女は言葉を発さず、ただ首を振るだけだった。
アルバートは黙っていた。
勢いよく彼女を捕まえたはいいが、自分からこの沈黙を破る術(すべ)が分からなかった。
まだ少し、胃のむかつきは残っている。
ただ、彼女がもう逃げ出さないであろう事は分かる。
彼女が何かを決心している事が感じられた。
だから、待つことにした。

スーツの内胸ポケットから煙草を1本取り出した。
スーツの形が悪くなるので、煙草は箱に入れず裸でポケットに数本入れている。
それに火を点けてゆっくりと吸った。

――寒いな。コートを忘れて来たし、バッグも置いたままだ。

そう思った。
彼女が口を開く。

「何も聞かないの?」

小さく紡がれた言葉に、彼女を横目で見た。
彼女はコートの前をぴっちりと締めて、俯いている。
そのコートはCEOの結婚式に着ていたものと同じだ。
視線を前に戻した。

「ん・・・エヴァが話したくなったら、話せばいい」

そう言って、煙草を一口吸った。
むかついた胃に、煙がしみる。

アルバートは本気で、彼女が話したく無かったら話さなくてもいいと思っていた。
彼女と会えなかった間に、彼女の嘘や隠された真実を暴く前に、自分の事を正直に彼女に伝えるべきだと思う様になっていた。
傷ついてはいたが、彼女を責める権利は自分には無い、と理解していた。
そして、今日ダニエラに言われた言葉で、それは後押しされた形になった。
だがまだ、勇気が無い。

彼女の顔が、驚きと共にこちらを見るのが視線の端に映る。
瞬間、彼女は泣きそうな表情になった。

「わ・・・私、本当は医者じゃないの」

彼女はそう絞り出して、また俯いた。
アルバートは彼女の次の言葉を待ったが、彼女はそのまま口を噤(つぐ)んでしまった。
なので、また煙草を口に運んだあと、苦しさを吐き出す様に眉間にしわを寄せて言った。

「・・・知ってる」

彼女の肩がピクリと弾んだ。
そして、前で組んでいた両手をせわしなく組み直しだす。

「私、本当は女優なの」





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08.04
Sun
どもども、nicikaです。


『冷静な~』もとうとうここまで来ました。
アルバート、エヴァンジェリンを、掴んだ・・・といういいところで次回へ続く、なのです。
さーて、どうなるかねぇ、このあと。
皆さんの期待を煽りつつ、『冷静な~』は次回、最終章へ突入です。
ええー! 知りたくなかった! という人、もしかしておられるかしら。

すいません、ネタバレ作者で!
ですが流石にここでその内容は語りませんので、最終章お楽しみにー!





以下、拍コメお返事。


>みるきぃ21さん。

あら! コメ有難うございます。
『とある~』を読んでこちらに来て頂いておりますか。
訪問者リストにたびたびお名前あるなぁ、と思っておりました。
さんきゅうでぇ~す。
そして昨日のコメに今気が付いてごめんなさい。
そうかー、君もデボラのぶっ壊れと鬼畜銀髪にヤラレタか・・・。
ツボってくれて重ねてありがとう!
他作も読んでみようと思って頂いてるみたいだけど、『とある~』は自他作品とは作風違うから、『とある~』を気に入ってくれている人が読んで面白いかどうかは、甚だ疑問なのよね~。
そうかぁー、番外かぁー。
嬉しい要求ですなぁ。ニマニマ(o´艸`o)
しかーし。現在ちょい多忙なのですよ。すんません。
私も書きたい、が、マジで予定がつかない・・・のです。
ぬぬぬ・・・、しかし嬉しいリクに、何とかお応えしたいと思う私。
ちょっとお時間いただくかもしれませんけど、番外考えてみまーす




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08.03
Sat
会場を見渡しているエヴァンジェリンを、アルバートはじっと見ていた。
何度瞬きをして繰り返し見直しても、やはりエヴァンジェリンだ。

「ああ、では彼、彼に手伝ってもらいましょう」

マジシャンが差した相手は、アルバートの後ろのテーブルに座っている今年の3位入賞者だった。


彼女がこちらを見た。

そして、アルバートに気付いた。

その緑の瞳が大きく開かれる。
口も、少し開く。


不思議と、遠くにいる彼女の表情の動きが、クローズアップされた様にはっきりと見えた。


「彼をお連れして」

マジシャンが彼女を急かす様に声を掛ける。
彼女はゆっくりと、テーブルの間を縫う様に歩く。
アルバートに近付く度に、その眉間に深い皺が刻まれていく。

目的のテーブルにたどり着くため、ちょうど彼の後ろを通った時、アルバートは彼女に心の中で問いかけていた。
なんで、こんな所にいるんだ? こんな所で何をしているんだ? と。
頭痛は消えない。
また景色の色が、無くなりかけている。


アルバートはその後のステージで催されるショーを、吐き気を覚えながらじっと見ていた。
ステージ後部で、それまでと打って変わって顔を伏せ続ける彼女を、じっと見ていた。

まだステージ上でショーが続けられている最中(さなか)、彼女はとうとう、顔を伏せたまま身を翻し、足早に袖に向かって消えた。


それを見た途端、アルバートは立ち上がり、駆け出していた。


駆ける後ろでCEOが、アル、と声を掛けたような気がしたが、足は止まらなかった。
ちょっとしたざわめきが場内に起きるのが、後ろの方で聞こえる。

アルバートは会場の両開きのドアを荒々しく開け、舞台出演者が専用出入り口に使っている廊下の区切られたスペースに駆け込んだ。
そこにはショーをサポートするためのホテルの従業員と、舞台スタッフだろうと思われる私服の人間しかいなかった。
アルバートは周囲を見渡し、その場にいたスタッフの一人に声を掛ける。

「さっきのマジックの助手の女性は?」
「えっ? さっきの?」
「ハニー・ブロンドで、緑の瞳の女性だ!」
「ああ、エヴァ? 彼女なら、バッグを持って出て行ったよ」

アルバートは聞くなり、また駆け出していた。

エレベーターホールには彼女の姿は既に無い。急いでエレベーターのボタンを押す。
高層階まで行っている2台のエレベーターを待ちきれずに、近くの階段を駆け下りてロビーに出る。
ホテルの豪華なロビーをぱっと見渡し、彼女がいない事を確かめると、フロントに声を掛け、エヴァンジェリンの格好を伝えて彼女が通らなかったか聞く。
フロントの女性は、その女性なら先程表に出られましたよ、とアルバートに言った。

ロビーを脱兎のごとく突っ切った。
ロビーにいた多くの紳士淑女が、アルバートに驚いた顔で振り向く姿が、視界の端に入っては消えて行く。
老齢の女性にぶつかりそうになりながら、勢いよくホテルの回転ドアをくぐった。
回転ドア自体が回る、ゆっくりとしたスピードのせいで、スペースを区切っているガラスで体を打ちそうになる。
目の前に、タクシーに乗り込もうとしているエヴァンジェリンがいた。
アルバートはようやく開いたドアの隙間から、身体を滑り出させると叫んだ。

「エヴァ!」

声と同時に彼女の腕を掴んでいた。





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