--.--
--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

07.31
Wed
>サリーさん。

にゃにゃにゃ~!!
さっき拍手貰ったの、サリーさんだったのかーー!
あまりのタイミングの良さにビックリ。
うう、嬉しいよー(┬_┬)
『冷静な~』はあんまり人気無いから、心配してたのよ。
アルをかわいいと言って貰えて、親心として嬉しいです。その通り、残念アルバート君(笑!)。
サリーさんはいつも訪問してくれ、私を気持ち良くするコメントも沢山貰って、本当にありがとうです。
今まで溜めてた分、ここから物語は急展開します。
がんばれアル! 男を見せろ! と作者もがんばります。



スポンサーサイト
comment 0 trackback 0
07.30
Tue
はいっどうも、nicikaです


エヴァ登場~~!!
今まで、ちんたらしてたのが嘘の様に、ここから物語はサクサク進むよー。
の、予定。

そして、そうなると私の頭を占めるのは次作について。
他作品も完結してしまったので、次作にかからないとね。
実は、既に短編書いたけど、このブログでは発表するつもりが無いのです。
ブログのカテゴリーに合ってない作品だからです。
知人が漫画投稿するって言うので、楽しいから、その原作として1作書き上げました。
バリバリの男の子向けファンタジー物。恋愛要素ゼロ。
それにこれは、漫画投稿して没になったら公開できるけど、それまでムリなんですよね。
もう一個、ホラー書いた。
おとぎ話風な作品を書くつもりが、書いたらホラーになった。
なぜ? ゆがんだ性格の表れか?

なんだかんだと色んなところに手を出して、頭がプシューとしております。

ああー!
ぽわぽわもふもふの恋愛もの、書きてーーー!!

でもこれ、書くの得意じゃ無いんだよなぁ (>_<)

と現在悶絶中。


あらっ? これ書いてる間に、さっきUPしたばっかりの『セレモニー-1』に拍手貰った。
ありがとねーー!
繋がってるね。



comment 0 trackback 0
07.30
Tue
B&E教育事業(ブレンダン&エミリー・エデュケーション・プログラム)の2周年記念セレモニーは高級ホテルの広いイベント会場で行われた。

CEOの父親であるブレンダン・コナーズ氏によるスピーチがあり、CEOも短いスピーチをした。
今年の教育事業において優秀成績を収めた生徒が何名か表彰され、アルバートは将来ピピコムに入社するであろう、優秀賞に輝いた生徒たちの名前と顔を覚えておいた。
だが彼らが本当にピピコムに入社できるかどうかは、今後の大学進学後の状況による。
最優秀賞から10位までの生徒には、大学進学時の入学金および授業料に、その取った賞に応じてB&E教育事業団体から引き続き補助が与えられる。

しかし補助金は無条件で与えられるわけでは無く、取得には最低保証成績があり、たとえその年の最優秀賞を取ったとしても成績自体がそのラインを越えていなければ、補助金は支払われない。
また、入学後も毎年査定があり、それで落とされる事もある。
その他にも、ピピコム社に本人が入社すると同意した場合の補助金額と、同意しなかった場合では額に差があるなど、複雑で厳しいシステムになっている。

このB&E教育事業はアメリカ国内だけでなく、世界でも展開していく予定だ。
目下のところの海外初事業はインド。なぜインドかと言うと、インドは数年後には世界第一位の人口国となると予想されており、不思議とインド国民は数学に強いという文化を持っているからだ。
現在の教育制度でも優秀な数学者や企業経営者が出現しているインドで、更に裾野を広げた教育機関を設ければ、得られる人材の数は計り知れないだろう。

表彰式典が終わると、テーブルに簡単な食事が運ばれ、乾杯の合図で会食となった。
会食がひと段落するとステージで余興が始まる。

ざわざわと、広い会場に配置された各テーブルで話題に花が咲く中、舞台にラメの入ったジャケットを着た男性が現れる。
会場からはパチパチとまばらな拍手が鳴った。
そのラメジャケットの男性のあとから、お揃いの地味なパンツスーツを着た二人の女性が舞台に上がる。
どうやら、マジックショーが行われるようだ。

アルバートは、セレモニーが早く終わってくれればいいと思っていた。
CEOに言われて参加したが、こういう催しは退屈以外の何物でもない。
特に、秘書という仕事をする自分にとって、こういう場で客に交じって食事をするなど場違いだと感じる。
フレンチをアレンジした食事も、胃の調子が悪い今のアルバートには濃厚な物ばかりで、げんなりするだけだった。

アルバートはほとんど手を付けていない皿を前に、チラリと腕時計を見た。
まだしばらくセレモニーが終了するまでには、時間がある。
円卓の斜め向かいに座っているCEO夫妻は、楽しそうにステージを見ている。
こんな気分の時に、新婚の彼らを見るのは少し辛かった。

会場に大きなどよめきが起こって、アルバートがつられてステージに目をやると、ラメジャケットのマジシャンの前の空中で、小さな炎が上がっている。
何かを炎に包んで消したらしい。

後ろの方に佇んでいた助手の一人が彼に魔法のステッキを渡す。
仰々しく彼はステッキを振り、彼の前に置かれている四角い箱を叩いた。
そしてステッキを助手に渡すと、箱を開ける。
箱の中から、空中で燃えたはずの鳩が出て来て、飛び立った。
使い古されたマジックだが、会場は大いに沸いた。

飛び立った鳩は大人しくマジシャンの前に戻って、もう一人の助手が箱と鳩を引き取りに前に出て来た。

「!」


アルバートはその女性から視線を外せなくなった。
ハニー・ブロンドと緑の瞳、エヴァンジェリンだ。
見間違えようが無い。

そこに、髪をまとめて地味なパンツスーツを着たエヴァンジェリンが居た。
彼女は神妙な面持ちで箱と鳩を持って、そのままステージの袖に消える。

動機が激しくなり、頭痛が始まった。


「それでは次は、会場のみなさまにお手伝いいただきましょう」
マジシャンがマイクで会場に集まった人々に声を掛ける。

一度下がった彼女が出て来て、もう一人の助手と一緒にステージを降りた。

「誰か、私をお手伝いして頂ける人はおられませんか? 手を上げて」

マジシャンの掛け声とともに会場の中から手を挙げる者が現れる。





>>次へ  >>目次へ


↓ネット小説ランキング↓
   
◆上記ランキングサイトにてランキング登録中。ぽちっとよろしく!



trackback 0
07.27
Sat
――何だよそれ、ここまで喋らせておいて、そんないい加減な!

アルバートは思わず彼女を睨み返す。
もともと心理学や哲学、それらを専門とする学者の言葉なんか信じていないし、毒にも薬にもならないと思っていたが、ダニエラの態度に、その思いを強くする。
やはり心理学者は、詐欺師の集まりの様なものだ。

ダニエラはそんなアルバートの睨みを意に介さず、微笑み返して来た。

「アル、大事なのはあなたの気持ち、よ?」
「・・・私の気持ち、ですか?」

アルバートはダニエラの言葉が俄かには飲み込めず、繰り返した。

「そう」
彼女は言って、頭の後ろで組んでいた手を前にやると、机に肘をついて指を組んだ。
指には真っ赤なマニキュアが綺麗に塗られている。

「アル、あなた、すごく落ち込んでるわね・・・」
「ええ・・・」
「彼女の事、ショックだった?」
「・・・もちろん、ショックですよ! 3年も付き合っていて、彼女にずっと嘘を付かれていた。その嘘を
 見抜けなかった。馬鹿みたいに、疑わなかった」
「そうね、あなた傍目にも分かるくらいに、とても今回の事で憔悴してる」
「・・・」
「誰にも心を開こうとしなかったあなたが、こんな風に私に相談するくらいに、ね」

アルバートはハッと顔を上げて彼女を見た。

「アル、クールでドライな氷の秘書様は、どこに行ったのかしらね。・・・彼女は、あなたの仮面を剥ぎ
 取ってしまったみたいね」
「・・・それは、そんな事をされていたと分かれば、誰だって冷静ではいられませんよ」

ダニエラは彼の手を取って、ニッコリと微笑んだ。
その掌は温かい。

「40年以上生きて来た女性として、多少の女心は分かるつもりだけど、彼女が嘘をつき続けても3年
 もあなたと付き合ってきたのは、真実を言わなかったんじゃなくて、言えなかったんだとは考えられ
 ない?」
「言えなかった・・・ですって? そんな! 言うチャンスはいつでもあった。言えなかったからって、
 言えなかったからって、3年も? そんな事!」

ダニエラはアルバートの、怒りに震え、絞り出す様な声を黙って聞いている。
そして彼の言葉が終わると、ぽんぽんと彼の手の甲を優しく触った。

「そうね。もしそうだとしても、なかなか理解できる事じゃ無いわね」
そう言って、ダニエラはゆっくりと席を立つ。

アルバートは、もう一度机に目を落としてじっとしていたが、顔を上げて自身も席を立った。

「アル、あなたの事、心配している人がたくさんいるのよ?」
ダニエラはそう言うと、彼を優しくハグした。
アルバートの方が彼女より大分背が高いので、逆に彼が彼女をハグしている様に見える。

「・・・有難うございます」
アルバートは口に出していた。
少し照れ臭いが、素直に彼女の言葉が嬉しい。

「うふっ。でもこれで、あなたの弱み、握っちゃったわね」
ダニエラは彼から身体を離すと、いつもの口調に戻って、ニッタリと笑った。

「・・・部長」
アルバートは豹変した彼女の調子に、顔を引き攣らせた。

ダニエラはそんなアルバートの様子に、先程とは違う笑顔を見せると、
「ちゃんと、ご飯食べるのよ」
と母親の様に言った。

アルバートはダニエラ部長につられて、クスッと笑った。
「食べてますよ・・・」



アルバートはCEO室に続く秘書室に戻った。
椅子に座るとすぐに、CEO室の方のアクリルガラスのドアが開いた。

「アル、ダニエラと一緒だったのか?」
アルバートの直属の上司である長身のCEOは、今日もグレーのスーツを着ている。
彼にはこの色が良く似合う。
彼は自分で自分の魅力を良く分かっている男だと思う。

「ええ、何かご用事ですか?」
「いや・・・、ああ、今日の夕方からのB&E教育事業(ブレンダン&エミリー・エデュケーション・プロ
 グラム)の2周年記念セレモニーだが、君も参加しないか?」
「私も、ですか?」

B&E教育事業とは、ピピコム社が出資している教育事業団体だ。
貧困、保護者の無関心等を理由に、まともな教育を受けられない、もしくは公的教育を受けてはいるが、更なる高度な教育を受けることが出来ないといった子供、6歳~18歳までを対象にしている。
ピピコム社はこの事業を通じて、社にもたらされた莫大な利益を社会に還元し、未来を担う子供たちに平等に教育を受けさせることを目的としている。
そして、この事業の目的はそれだけでは無く、教育事業に参加した子供たちの中で優秀な能力を持った子を早くに見出し、社にスカウトするため、という側面もあった。

事業名のB&E(ブレンダン&エミリー)とは、CEOの両親の名前で、彼はこの誉れ高い事業団体に敬意を持って両親の名前を冠していた。

「うん、アルも出席して欲しい」
「昨年のセレモニーには私は出席していません。今回も前年と同じでよろしいのでは?」
「今年は君も出席しよう」
「あまり・・・、その様な華やかな集まりには・・・」
「だからだよ、アル。だから、出席して欲しい」
「CEO?」
「最近のお前、変だぞ。分かってるか? 」

アルバートは言葉に詰まった。

「お前、痩せただろ? ちゃんと飯食ってるのか? それに、いつも沈んでる。 ・・・落ち着いてるけど、
 何か悩み事があるんだろ? それを今言えとは言わないが、このままは良くない」

CEOにそう言われて、アルバートは溜め息をついた。
彼にはばれているだろうと思っていたが、こうもはっきりと言われるとは思っていなかった。

「いいか、これはCEO命令だ。今日は、お前は外出する。賑やかな場に顔をだして、華やかな空気を少し
 でも吸うんだ」

――CEO命令と来たか・・・。
アルバートは眼鏡をくっと上げて、また溜め息をついた。

「分かりましたよ」
「よし! じゃあ、会場までは君が運転してくれよ」

CEOは勝ち誇ったように微笑むと、CEO室へ戻った。

――やれやれ、うちの社にはお節介な人間が多かったんだな・・・。
アルバートは少し口元を緩めながら思った。

しかしダニエラ部長も言っていたが、俺はそんなに痩せたかな、と思う。
今日一日で二人に痩せた、と言われてしまった。
彼は眼鏡を外して拭く作業をしながら、ばれない様に食事はちゃんと取っておくべきだったな、と思った。

その瞳には、久しぶりに穏やかな光が宿っていた。





>>次へ  >>目次へ


↓ネット小説ランキング↓
   
◆上記ランキングサイトにてランキング登録中。ぽちっとよろしく!



trackback 0
07.23
Tue
はいー、どーも。nicikaっす。

『冷静な~』の次話更新が遅くなってごめんなさいなのだ。
ムーンさん掲載の『とある子爵令嬢』を怒涛の完結・3話更新したために、こっちがおろそかになってしまいました。

っつーことで、いつもは『とある~』についてあまりこのブログでは語らないのですが、今日は『とある~』ネタで行きます。


やー終わった終わった。
『とある~』は、ふとドエロ系の作品を書いてみたいと思い、只のドエロだと話がすぐ詰まるし面白くないので、コメディにしちゃえっ!っと書き始めました。だからタイトルがいい加減なんですねー。マジとりあえず付けた。そしてそのまま行っちゃった。途中で変えたかったけど、それなりに人気出てたので、変更できませんでした。
最初の章はいきおいで書いて、後で設定肉付け、と言う感じでしたね。当初もっと短い予定だったのですが、書いて行くとどんどん長くなって、1話当たりの文字数も多めに設定してるのに、37部まで行ってしまった。文字数も138,000字。
自分で、短編書くの不得意かも知れん・・・、と感じちゃいましたね。
おかげさまで、私の書いてる作品(まだ3作だけどねっ!)の中では、現状1番人気です。『とある~』を読んで、ここまで来てくれる方もおられ、ありがたいことです。さんきゅう!!((o(^∇^)o))

もうちょっと続けても良かったんですが、正直、エロネタが無いんだよなー。
咥えただろー、処女喪失しただろー、アオカンしただろー、縛り(かなりソフトだけど)しただろー、言葉責めもやったし、無言もやったしー。最後は初夜で締めくくるしか無いよねー。初夜では机の上バージョンにしたけど。あとヤルとしたら、まじSMかコスプレ? そこまで行くか? デボラいっつもメイド服だから、ある意味コスプレとも言えるな・・・。
エロコメと言う設定してるんで、やっぱエロ入れたいしなー。エロ無しだったら続けれるんだけど、物語の後半で設定無視ってやだなぁと思ってとりあえず完結させちゃいました。

大好きになって下さっている方々、こんな理由で完結させちゃってごめんね。
それでも書けー!と言われれば、考えるかも・・・です。何しろアマチュア・自由な作家活動OK状態だから、そこらはこだわり無く動くよ~。
正直、せっかく人気のあった作品ですし(自作の中でね)、自分のこだわりだけでやっていくほど、自分が大層な作者だと思っていないですし、現にアマですし、気に入ってくれる方の気持ちも尊重したいものね。と、思いつつ、わたくしの中の怠け者な心が、そんなこと言ってまじリク来たらどうすんのっ!っと言っておりますが、まぁ、本気で来たらその時考えようっ!

『とある~』、最終話では新たな試みとして、主人公デボやんが銀髪クンに質問する内容を募集してみました。
これ、本気ドキドキした・・・。ひとっつも来なかったらどうしようかと思って、ドッキドキした・・・。
おかげで7人の方から10件の質問が来た。良かったねー。嬉しかったww。
こういうお題を頂くのも、いいねっ!
それでおまけの初夜のダリウス、を書きました。
ダリっち(銀髪クン)については、最後まで性格謎の人で行こうかと思ってたんですけどねー。これを謎にしておいて、読者さんを悶々とさせてやろうかと、思ってたんだけどねー。(← イエス!アイアムドS!)
初夜のダリウスは、作者からのサービスカットとも言えます。

あーでも、デボやんの脳内会話を書けなくなったのは淋しいなぁ。
あいつのぶっ飛び脳内妄想、淑女と言えないお下品羅列のくせに内気です!っていう設定、大好物だったんですけどねぇ。
『とある~』の中で、銀髪クンの鬼畜ドSエロも目立ってますが、デボラが一番壊れてます!!


最後に、『とある子爵令嬢』長い間ご愛読、ありがとうございました。
拍手も、コメントも沢山頂き、うれしかったー!!
皆さんの応援に、感謝、です。m(_ _)m




comment 0 trackback 0
07.23
Tue
アルバートはピピコム社の自分の机で、CEOのための資料をまとめていた。
頭痛がする。
最近は、こめかみの奥あたりが良く痛む様になって来ていた。
原因はストレスだろう。
そしてそのストレスの原因も、アルバートには良く分かっていた。

CEOの結婚式から1ヶ月半が経った今、もうエヴァンジェリンとは連絡を取っていない。
あの、ワシントンハイツの彼女のアパートを訪れた日の後、一度か二度、彼女の携帯に掛けたが、やはり彼女は電話に出なかった。
番号を変えたり、着信拒否をされていないだけましなのかもしれない。
何に対して何がましなのか、よく分からないが。


「じゃあマックス、ブラウザはあ~んな感じで仕上げるわよ」
「うん、今の仕様でまとまったら、もう一度検討しよう」

CEO室とその続き間である秘書室を隔てるアクリル防音ドアが開く。
玉ねぎ頭のダニエラ・ファース部長が出て来た。彼女はチャットか電話で済むような用事でも、CEOが在席している時は必ず直接会って報告をする。
その方がオールドタイプである自分には合っている、という理由で。

アルバートは立って、彼女のために廊下側の同じくアクリルでできているドアを開けた。
その開けた手をダニエラ部長に取られて、廊下に連れ出される。

「ちょっと、こっちに来なさい」
「何ですか? いったい」

ダニエラはよたよたと彼女に引っ張られるアルバートをちゃんと立たせると、彼のスーツをぽんぽんと叩きながら整えた。

「アル、あなた、今の自分を分かってる?」
「何の事ですか?」

アルバートは眼鏡をくっと持ち上げながら彼女に言った。
彼女に自分の瞳を見られるのが嫌だった。

「・・・アル、ちゃんとご飯食べてる?」
「食べていますよ」
「痩せたわよ、あなた」
「・・・」

こんな風に他人の事に首を突っ込んでくるのは、ダニエラらしい。
誰もが他人に遠慮して、自分を守る事に精一杯で、他人に踏み込まない様に生きているのに、彼女は易々とその垣根を越えようとする。
ピピコムの様な、自分の世話だけで手一杯で、余力の無い若い社員が大半を占める会社では、彼女は貴重な存在と言える。

アルバートはこめかみを抑えた。
誰かに悩みを聞いて欲しいが、あまりの事でそれを他人に伝えるのは憚(はばか)られる。
この場をどうやり過ごそうかと、思案する。

「頭痛がするの?」
「ええ、少し」
「薬、持ってるの? 貰って来ましょうか?」

ダニエラ部長の口調は、いつものふざけたものと違って、至って真面目なものになっている。
こういう話し方もできるんだな、普段はやっぱりふざけているのか、とアルバートの顔の緊張が緩んだ。

「いえ、持っています。薬を飲み過ぎてはいけないと思って、今は飲んでいないんですよ」
アルバートは微笑んだ。
誰かに心配される。
こんな小さな優しさが、今はすごく嬉しいと感じる。

「アル・・・、コーヒーでも飲みに行きましょ?」

彼女のいたわる様な瞳の優しさに、アルバートは頷いていた。



*****



アルバートとダニエラ部長は、ピピコム社内の、10人程度が入れる小会議室の片隅に座っていた。
社内に出店している有名カフェ店でコーヒーを飲む予定だったが、そこには社員達がちらほらと休憩のためにくつろいでいて、ダニエラが気を使ってくれたのだ。

会議室の椅子で、アルバートはぽつりぽつりと、エヴァンジェリンとの事をかいつまんで語った。
彼女の事を誰かに話すのは初めてだった。

「はぁ~、なるほどね、謎の女性ってことか・・・」
そう言うとダニエラは座ったまま小さく伸びをして、伸ばした腕を頭の後ろに組んだ。

アルバートは、CEOの結婚式当日、彼女を乱暴に抱いた事は言わなかった。
その事はとても言えなかった。
ただ、当日彼女と喧嘩になって、その後、彼女が自分に何も伝えていなかった事が分かったことを告げた。
ゲイのルームメイトがいる事も伝えてある。
仕事が医者でもなかった事、勤務先も嘘だった事、彼女の家族に会ったことも無い事などもそのまま伝えた。

「どうなんでしょうか? 彼女はいったい何を考えているんでしょうか?」

アルバートは机の表面から目を逸らさすことができずに、ダニエラに聞いた。
ここに来る前に寄ったカフェ店で買ったコーヒーはすっかり冷めてしまい、紙コップから湯気はもう立ち上っていない。
こんな風に、自分に起こった事を誰かに相談するのは勇気がいる。
それに他人にプライベートな事を相談するなんて、今までした事が無い。
いつも、冷静な仮面を被って、誰も自分の中に入れない様にして来た。

「・・・さあ、何を考えているのかしらねぇ?」
「! ・・・ドクターなら、お分かりになるんじゃないですか?!」

アルバートはダニエラ部長の、他人事のような声の調子に大きな失望を感じた。
本当はこんな事を他人に相談しようなどとは思っていなかったのだ。
だが、ドクターと仇名される彼女なら、心理学修士の有資格者である彼女なら、この縺(もつ)れた事態を紐解いてくれるのでは無いかと思ったのに。

「ドクターって言われてるけど、ほんとはドクター(心理学博士)じゃないし。まぁ、修士資格持ってるか
 ら確かに専門だけど、その道を極め切れずに今があるわけで・・・」





>>次へ  >>目次へ


↓ネット小説ランキング↓
   
◆上記ランキングサイトにてランキング登録中。ぽちっとよろしく!



trackback 0
07.18
Thu
どもども、nicikaです~。


やっとここまで来ました、『冷静な秘書の仮面の下』

アルバート!!
足元崩壊、グラグラ!!
落ちた!!
真っ逆さま!!

と、いう回です。

傲慢で自己中なアルに、とうとう天誅下った。
全く男って、相手の女が自分を絶対に好きだって、なんで思うんでしょうね。どっからその自信は湧くのよ。
これは、このアルに限らず、前作のマックスもそうなんですけどね。
マックスは爽やか王子系だから気にならないかも知れないけど、彼もそこの箇所は傲慢・自己中です。
と、考えたら、『とある~』の銀髪クンもある意味そうかも。

ぎょえーー!
傲慢・自己中男ばっかり書いてる!!

これは、私、傲慢・自己中男フェチなのでは・・・?
なんか・・・今やっと気づいた自分の行動に、打ちのめされました・・・。

いやいや、こういう傲慢・自己中なイイ男が、傷ついて苦しむのを書くのが好きなんだッ。(←これは本当に好物)
そっちのフェチだッ。


大分話が本編と逸れて来てしまいました。
さぁ、今後アルとエヴァはどうなるのでしょう。お楽しみにぃ~。




comment 0 trackback 0
07.18
Thu
「おい、ちょっと待てよ」

アルバートの発した言葉に、二人は昇りかけの足を止めて、胡乱(うろん)な目をして振り向いた。

「君、エディか? エヴァと、・・・エヴァンジェリンと一緒に住んでる?」
「・・・そうだけど、何?」

アルバートは信じられなかった。
エヴァンジェリンが言っていたエディという男は、明らかにゲイだ。
本当に一緒に住んでいるとは。
しかも、今から彼の恋人と部屋に戻ろうとしている。
という事は、エヴァンジェリンは彼がゲイだと知っている?
知ってて、付き合っている?

「どういう事だ? 君は、その・・・ゲイだろ?」

「何、あなた?! 失礼ね! ・・・もしかして・・・アルバートね?」
彼は、怒りを見せた後すぐ、驚いた表情をした。
そしてまた顔を、怒りに歪めた。
「あなた、今さら何の用事? エヴァをあれだけ傷つけて、6ヶ月も放っておいて、彼女どれだけ泣いた
 と思ってんの?」

「君は、バイなのか? エヴァと付き合ってるのか?」
アルバートはエディの言っている事を無視して、どうしても聞きたい事を口に出していた。

「はぁ? あんたバッカじゃない? 私は女とは付き合わないわよ! どんだけ無神経なの? ほんっとムカ
 つく! あんたみたいな最低な男、エヴァが待ってるとでも思ってんの? 彼女、あんたには二度と会わ
 ないって言ってたから。さっさと帰って!」

エディは怒りに顔を真っ赤にし、一気にまくし立てた。
エディ行こう、と彼の連れが声を掛ける。
エディはアルバートに、迷惑よ二度と来ないで!、と捨て台詞を吐いて階段を上がって行った。


――嘘だろ。

アルバートは呆然としていた。
彼女が男と住んでいるのは本当で、しかしその男はゲイで、女に興味が無い。
しかも、そのゲイの男性はアルバートと彼女の関係を良く知っていて、6ヶ月間連絡を取り合っていなかった事も知っている。
つまり、エヴァンジェリンとアルバートが普通に付き合っている時から一緒に住んでいる?
それをずっと彼女はアルバートに黙っていた?
しかも、彼女が今更の様にその事をアルバートが誤解する様に告げたのは、アルバートとどうしても別れたかったから?

アルバートは頭が混乱した。
すると、さっき二人に声を掛ける前までに考えていた、彼女の事を良く知っていないという事実が、重く暗い靄(もや)の様に心と頭を満たしていく。


まさか・・・、と頭を振りながら、アルバートは彼女の勤務先であるセント・ポーリアス医院の電話番号を調べるために、案内サービスに携帯で電話を掛けていた。
告げられた番号に即座に掛け直す。
呼び出し音のあと、病院の総合サービス案内の女性が出た。

「そちらに勤務されているエヴァンジェリン・ストウ医師をお願いしたい。ああ、専門は内科です」
アルバートは勤めて冷静に言った。

『少々お待ちください』
受付女性が答えて、保留音が鳴る。
馬鹿みたいに長く待たされている気がした。

『お待たせしました。エヴァンジェリン・ストウという医師は本院には勤務しておりません』
受付女性の言葉が、あまりにも冷酷に彼に刺さった。

「まさか・・・、エヴァンジェリン・ストウですよ?」
『エヴァンジェリン・ストウ、確かに勤務されていません』
「内科のはずです」
『いえ、内科でも他の科でも、その様なお名前の医師はおられません』
「じゃあ、看護師、看護師だったかもしれない。看護師で調べて頂けませんか?」

受付女性は明らかにムッとした調子を声に表した。
『あなた、いたずらなら他でやって頂戴。そんな女性、看護師にもいませんから』
そう言って、電話を切られた。

ツー、ツー、と鳴る携帯電話を持ったまま、アルバートは立ち尽くしていた。
こめかみの奥がキリキリと締め付ける様に痛む。


――嘘だろ。
アルバートは、それしか思えなかった。

彼女はセント・ポーリアス医院に勤めていない。
そう言えば、同僚とも会ったことは無い。
でも、夜勤だとか急な呼び出しが入ったと言って、会えない日があったのはどうなんだ?
そもそも、本当に医者なのか?
ついこの間まで、住んでいる場所も知らなかった。
男(ゲイだが)と一緒に住んでいる事も黙っていた。
名前だって、本当だろうか?
いや、それは、さっきの男にもエヴァンジェリンと名乗っているのははっきりしている。
だが、苗字は?
彼は今、苗字について言っていただろうか?
それに、偽名を使っているのかも知れない。
偽名を彼に名乗っているのかも知れない。
もし偽名だったら?
他が嘘だらけなのだから、名前だって、嘘の可能性が高い。

全てが、嘘、嘘、嘘。


――じゃあ俺が3年間付き合っていたのは、いったい誰だったんだ?


アルバートの頭痛は激しくなっていた。
元から灰色の街の色が、今はもう分からなくなっていた。







作者注:ゲイは男好きの男の人。バイは女も男もいけちゃう人。皆さんご存知と思いますけど、一応。




>>次へ  >>目次へ


↓ネット小説ランキング↓
   
◆上記ランキングサイトにてランキング登録中。ぽちっとよろしく!



comment 0 trackback 0
07.15
Mon
>7/15 15時の方。
おおっ、デボやんへのコメをこちらにいただいた。
ありがとやんす。
デボラの心の声、大好きとは、うれしいですね。
でも、それを銀髪クンが聞く・・・、これは考えて無かったです。
面白い発想だなぁ。書いてる本人は、それ有り得ないと決めつけているので、こういうの面白いと思ってしまいました。
どんな反応するんでしょうね、本当に。
かなりヤバい発言だらけの、罵詈雑言、お下品脳みそダダ漏れ状態、ですよ? それを銀髪クンが・・・。
ま、でもデボラ、根性無しなんで、やっぱり言えないでしょうね。
銀髪一睨み、で撃沈、です。
あ、そう言えば、既に書いてる以降のお話に、そんな風なとこあるかな。
ネタバレるから言えないけど、楽しみにしててください。


>ai さん
更新楽しみにして下さり、ありがとうございまーす。
でもこれ、『冷静な~』・『とある~』どっちの更新だったのかなー?
15日のネタバレ有(?)のひとりごとに拍コメ頂いたけど、両方の記事書いたしなぁ。
両方、楽しみってことだったのかな。
うん、きっと両方楽しみにしてるってことだったんですよね。
そう受け取っちゃおう!
わーい、ありがとー。




comment 0 trackback 0
07.15
Mon
はいっ、どーも。nicikaです。

いやー毎日暑いですねぇ。
今日は私、地区のミニ運動会に行って参りました。
地区の役を当てられちゃって、ミニ運動会の運営委員でした。
田舎なんでね、そういうめんどくさい役が必ず回ってくるんですよ。
回避不可能なんです。

しょーもないミニ運動会なんですが、意外と盛り上がった。
楽しかったです。
熱中症も誰もならなくて、良かった。

と、近況報告は置いといて。

『冷静な~』、新しい章です。
ちょっと短い文章でしたが、キリがいいのでここで切ります。
章題のワシントンハイツというのは、ニューヨーク市マンハッタン区の北部地区のことです。
ドミニカから移住された方が多く住んでいてドミニカンコミュニティと言われているとか。
最近は、家賃が安いので若い芸術家とかが沢山住んでいるらしいです。
昔ながらのソーホーとかは家賃高騰しちゃって、お金のない若い夢見る方はとても住めなくなり、この当たりが只今のメッカだとか。
行ったことないから、詳しくは知らんけど。
本編内では、語りませんけど、こんな事情でエヴァンジェリンの住む地域として選びました。
ちょい、ネタバレたかな?

ムーンさんのみで連載している『とある子爵令嬢』拍手ボタンを設置したら、たくさんの方に早速拍手頂きました。有難うございます。
さーて、あっちもそろそろ終わらせるかなぁ。
ラストって難しいなぁ。





comment 0 trackback 0
back-to-top
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。