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05.30
Thu
どーも、nicikaです。


おおおっ。
早くて今日の午前中2万人越えかと思ったら、今日に入って5人目で超えてるっ。

ああ、あの・・・((( ;゚Д゚)))、だれかカウンタ操作してない、これ?
もしくはカチカチ、クリック、クリック、ってしてる??

毎度、みなさんには驚き喜びを与えて貰えるねー。


エピローグと言う名のほんとのおまけ、でーす。

ごめーん、お父さん死んじゃった・・・(≧m≦)
肝臓癌、ここまで進行したのは治せんかった。
全てハッピー、まぁーるく納まりませんでした。
何とかマックスの財力で、お父さん完治を希望されてた方、ごめんね。
父ちゃん最後にいい味出したのにね・・・。



さて、次回作のお知らせです。

ぽろり、ぽろりとひとりごとコーナーでつぶやき、番外編まで上げたマックスの秘書・アルバート君の恋愛についての物語、1週間後、6/6にUPさせて頂きたいと思っています。
いや・・・、バナー作ったり、目次作ったり、することあって・・・(;-_-+アセアセ

タイトルは『冷静な秘書の仮面の下』です。
うわぁ、もったいぶってるぅ~(・ω・ノ)ノヒョエ~

なんか、めちゃくちゃ謎がありそうな題だ。
タイトル負けしない内容だったらいいけど。

アルバート君、ツンデレ? クーデレ? 中身俺様・皮肉屋系です。
どうぞ、彼のギャップをお楽しみ下さい。
あっ、まだ1週間後だ・・・。





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05.30
Thu
キャサリンはハッと気が付いた。
「あっ、飛行機! NYに行く用事がなくなっちゃった」

「それって、僕に会いに行こうとしてたって事かな?」
キャサリンの様子にマックスはニヤケ顔を隠さない。

「そうよ。あなたに会って、謝って、きちんと自分の気持ちを伝えようと思ってたのよ」
くすりと笑ってキャサリンは素直に答えた。

マックスはそんなキャサリンの腰を引き寄せ軽く唇にキスをする。
「せっかくだからNYには一緒に行こう。チケットの空きがあるかすぐ確認しよう」

「それに、父と妹に伝えないとね。今頃気を揉んでるわ」
「お父さんや妹さんには伝えてあるよ」
「えっ? 何を?」
「だから、ここに来る前に家に行ったって言ってただろう? その時に、君にプロポーズするつもりだって
 伝えておいた」
「・・・2人とも驚いていたでしょう?」

キャサリンはマックスの行動の速さに感心をする。

「うん。びっくりしておられたね。僕の事、全然知らなかったみたいだし」
ジロリと、マックスはキャサリンを見る。

うっとキャサリンは言葉に詰まった。

「でもお会いして良かったよ。君がNYに行こうとしていると教えてくれたしね。他にも色々とアドバイ
 スを貰った。君に文句を言い出したらきりが無いけど、僕は君に夢中だから、仕方が無いのかな・・・」

はぁーとマックスは溜め息をつく。
キャサリンは彼の言葉で、どうやら2人がキャサリンの最近について、何かの報告を彼にしたようだと理解した。NYでナタリーを相手に彼の事を未練たらしく語ったのも、きっとマックスはナタリーから聞いて知っているのだろう。
だから、再会した時にあんなにニコニコ笑っていたのだ。

「でも僕は、思いのほか嫉妬深いみたいだから、君も僕を安心させる様にして欲しいな」

「安心させるって、どういう事?」
言葉の裏の何やら不穏な雰囲気を感じ取り、キャサリンは遠慮がちに聞いた。

「例えば、毎日愛してるって言ってくれるとか」
「それは・・・、可能よ」
「じゃあ、式をすぐに挙げる事も可能?」

「マックス、本気?」
キャサリンは驚いた。

「僕は君に早くキャサリン・コナーズになって欲しいんだ。君のお父さんの事もあるし、すぐに結婚し
 よう」

マックスの2度目のプロポーズにキャサリンは、もう一度瞳に涙を溜めて、こくりと頷いた。





2人はその後、大急ぎで準備をし、約1か月後に式を挙げる。
結婚式は2度挙げることになった。

病状の進行したキャサリンの父親のために、スクラントンの教会で身内のみの式を挙げた後、NYのロングアイランドで主にマックスの関係者を招待した挙式を行った。

マックスは彼女の父親のために肝臓癌治療の権威を探し、セカンドオピニオンを聞いたが、キャサリンの父親の病状は進行し過ぎていて治療は難しいとの事だった。
それでも、末期を自宅でギリギリまで過ごし、心残りだった長女の、幸せそうなウェディングドレスを見届けることが出来た彼女の父親は幸せだっただろう。




==END==


>>目次へ
>>作品紹介へ






後書

みなさま、長いあいだ『年下の罠』を読んで下さり、本当にありがとうございました。
この作品は記念すべき私の第一作目です。
そのため思い入れも強く、逆に思い入れがあり過ぎて文章がくどくなったり、拙い個所が多々あったかと思います。ここまでお付き合い頂き、本当に感謝です。

この作品を通して、みなさんに日常から離れた生活と海外旅行気分を味わっていただけたらと願っております。また、結婚適齢期を過ぎた女性の葛藤が上手く表現出来ていれば良いのですが。

作者としては長い間付き合ったキャサリンとマックスとお別れかと思うと少し寂しいです。
作品を書いている内に登場人物が勝手に喋り出す、と良く作家の方々が仰っておられますが、この作品を通して私の様な未熟者もその感覚に陥る事がままありました。特にマックスはそうでした。彼は性格がはっきりしていますので、作者の思いよりも素早く行動するタイプで、びっくりでした。特に最後のプロポーズのシーンは、最終回の最後に持って行きたかったのに、マックスは黙っていませんでしたね。キャサリンの言葉に嬉しさを隠せなくて、すぐにプロポーズしちゃいました。
キャサリンは勝気で文句をすぐに言う面があって、彼女を説得するのは骨が折れたかな。
とても良い経験をさせていただきました。

それでは結びに、再度みなさまに感謝と、少しでも幸せな気分になって頂ける事を願って。
                                        nicika





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05.28
Tue
どうも、nicikaです。


お待たせしました、『年下~』11日目-3・4 です。

終わり・・・、終わった・・・。
って、終わってないよっ!(゚д゚ノ)ノ

どうしても文字数の加減であと1話残ってしまった。
あと1話だけエピローグあります。
ま、でもエピローグはほんとのおまけみたいな話になるかな。

ああー!!
お2人、無事プロポーズまで行ってくれた。
良かったー。゚(゚´Д`゚)゚。

マックス結局、キャサリン許すんかいっ! とか、そんな文句言いの意地っ張り女でいいのっ?! とか(作者本人は浮かんでくるのは主にキャサリンに対する文句だなぁ←つまりやっかみ)、色々とご意見もおありでしょうが、大団円と言う事で。

元からマックスはキャサリンの事好きでしょうがないので、許すしかできないんですね。
何しろ一目惚れしてるのはマックスの方ですから。キャサリンはそんな彼にぐいぐい押されて落ちちゃった、ってやつですからね。恋愛の力関係が違います。
全くもって、キャサリンが羨ましい。


目指せハーレクイン風、やっぱりハッピーエンドは良いね。
夢がある。
大きなダイヤも夢がある。何カラットぐらいあるんだろうな、あの指輪。
書いてて気になりました。


ああ、でもみなさん、本当にここまでお付合い、ありがとうございました。m(_ _)m
この記事は連載期間中、ダイレクトに読んでくれてる皆さんだけへの直接メッセージになるんだろうと思うと、感慨もひとしお。
どれだけ感謝してるか、筆では語れないよ・・・。
何しろこれ、私の処女作だものね。
色々文章へたくそな箇所も多いし、誤字脱字もあるし、悩みまくりながら書いたもの。
それを読んでくれて、コメント頂いたり、拍手頂いたり、ランキングサイトにぽちくれたり、嬉しかったです。
みなさんにハッピーになって貰おうと、小説書いたら、自分がハッピーになりました。

全くもって、感謝です。
頭が上がりません。

では、あと1話、エピローグまでお付合い頂けると嬉しいです。
エピローグは、ちょうど切りがいいので、2万人越えでUPしようと思います。
明後日ぐらいになるかな?


再見




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05.28
Tue
「キャシー、僕と結婚して欲しい」

彼女を抱きかかえたまま、マックスが言った。

「マックス、本気?!」
余りの突然のプロポーズに、キャサリンの口から驚きの言葉が出た。

そのキャサリンをすっと降ろすと、マックスは彼女に跪く。
どきどきと、期待に膨らんだキャサリンの胸が鳴り出した。

「キャサリン・パーカー、僕は君に夢中だ。君を愛している。どうか僕とこれからの生涯を一緒に歩んで
 ほしい」

真剣な表情で彼は跪いたまま、ジャケットのポケットから小さな箱を取り出し、キャサリンの目の前でその箱を恭しく開ける。そこには大粒のダイヤが煌めく指輪が、ビロードの台座に鎮座している。
2人の周囲には人が輪になり出した。


――私を愛していると、彼は言っているの? 私と結婚したいと? 彼は私に今、求婚(プロポーズ)して
  いる? 嘘でしょう?

「私、あなたより年上なのよ? あなたより先に皺くちゃになっちゃうのよ。それでもいいの?」

「そんな事は関係無い」

マックスは跪いたままはっきりと言った。

「お爺さんとお婆さんになって、2人共皺くちゃで、年なんて気にならなくなる時まで僕は君と一緒にい
 たい。君は?」

マックスは少し情けなさそうな懇願する顔を見せた。

「もちろん!」


余りの感動に、景色は輝き、キャサリンは目に涙を浮かべてマックスに抱きついた。
きつく抱き合う2人に周囲から喝采が上がる。
鳴き止まらない喝采の中で、2人は激しいキスをすると、マックスがキャサリンの左手の薬指に指輪をはめる。
喝采は一段と大きくなった。

薬指にはめられた指輪は少し大きくて、ダイヤの重みでくるりと回った。

「マックス、何て立派なダイヤなの。すごく嬉しい」
感動に口をわななかせながらキャサリンは言う。

「ぶかぶかだったね。サイズが分からなくて大きい物にしたから。すぐにサイズを直させるよ」
「でも、ほんとにいいの? 私、あなたにたくさん黙ってて・・・私の事怒ってないの?」

彼からプロポーズされた嬉しさの余りどこかに行っていた疑問が、キャサリンの頭に帰って来る。
彼とはほぼ2週間ぶり。しかも大喧嘩をして別れたままだ。

「順番が逆になってしまったな。君の事を衝動的だなんて言って悪かったよ。あれは本心じゃ無いんだ。
 僕は君の事が好き過ぎてどうもつい嫉妬深くなってしまう。君があんまり何も言ってくれないから、
 僕は焦ってて、ああ全く、この僕があんな目に合わされるなんて思いもしなかった」
「何それ! どういう意味?」
「だってこの2週間、僕も大分苦しんだんだよ? でもナタリーから電話を貰って、怒られてね」
「ナタリーがそんな事したの?」
「君の友達は、なかなかお節介で激しい性格だよ・・・」

マックスは思い返す様に視線を上に向ける。
キャサリンは電話でマックスに詰め寄るナタリーを想像して少し笑った。確かに彼女のお節介さは良く知っているが、そんな事までしたとは驚きだ。
思えばマックスとこうなったきっかけも彼女のお膳立てだった。素晴らしい恋のキューピッドさんだ。
きっと一生ナタリーに頭が上がらないだろうと、キャサリンは思った。

「家に行ったって・・・、父に会ったの?」
キャサリンはもう一つの疑問を口にした。

「お父さん、そんなに悪かったなんて。もっと早く教えて欲しかった」
「会ったのね・・・」

辛そうに、残念そうに言うマックスからキャサリンは視線を伏せる。

「マックス、父の事を黙っていたのは本当に悪かったと思っているの。でも、あなたに迷惑じゃないかと
 思って言えなかった。父はもう永くは無いのよ」
「うん。お父さんから聞いたよ」

マックスはキャサリンの肩を労る様に抱いた。

「でも、言って欲しかったな。君の家族の事を迷惑だなんて思う筈が無いのに。僕がどれだけ傷ついた
 か、分かる?」
「あ・・・、本当にごめんなさい。私、あなたがそこまで私の事を考えてくれているって思っていなく
 て。あなたは私の事、もっと、その・・・」

キャサリンは言葉を濁した。
はっきり言うと、また彼を怒らせる結果になると思った。

「はぁー、ほんとに君は僕の事を信頼していないんだな。僕の気持ちは分かっていたはずだろ?」
マックスはキャサリンの言葉の続きを察し、やはり失望を表す。

「だって、私はあなたより年上だし、あなたの熱もすぐに冷めると思ったのよ」
「全く、まだ言うんだね」
「あなただって、私に付き合おうとか、好きだとか、言わなかったじゃない」
「言わなかったっけ?」
「言われてないわよ、一度も。今はじめて愛してるって言われたわ!」
「おかしいな? 言ってると思ってたけど・・・」
「だから私が勘違いしても仕方ないでしょう?」

ぷりぷりと怒るキャサリンにマックスは微笑む。
2人を囲んでいた人だかりは、何時の間にか無くなっている。

「ごめん。これからは毎日でも言うよ。愛してます、キャシー」

マックスの笑顔にぐっとキャサリンは言葉を詰まらせた。
そんな笑顔は反則だ。文句も出てこない。

「あの、実はあなたにまだ言って無い事があるの」

おずおずと声を絞り出すキャサリンに、マックスの表情は厳しくなった。

「何だろう? 僕の心臓が止まらなければいいけど」
「実は、私、・・・あなたより5つ年上なのよ。シンガポールで3つ上って言ったのは嘘なの」
「なーんだ、そんな事か。知ってるよ」

伏せていた顔をキャサリンはパッと起こした。

「知ってた?」
「うん」
「何時?」
「あー、それは、企業秘密」

まさか3年前からキャサリンの事が気になっていて、その時に調べていたとは、マックスにはとても言えなかった。そんな頃から彼女の事が好きだったなんて。

「シンガポールの時は? もう知っていたの?」
「・・・うん」
「あなた、知ってて知らん振りをしていたの? 私悩んでたのに!」

少し瞳を泳がせるマックスを睨んだが、そんな彼は見慣れたいたずらっ子の様な表情で、キャサリンの怒りはすぐに消えてしまった。
5つ年上でも、約束は守ってね、と彼に釘を刺す。
マックスはキャサリンの言葉に、もちろん、と太鼓判を押すと、あ、スティーブに電話するのは駄目だからね、と釘を刺し返す。

やっぱりマックスは嫉妬深いんだわ、とキャサリンは思った。
これは今後何か対策を練る必要が出てくるかもしれないと、キャサリンは少し顔を引き攣らせた。




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05.28
Tue
吐く息に白い物を交らせて深呼吸をし、意を決してドアベルを鳴らすと、暫く経ってからドアの向こうに足音が聞こえる。
緊張をしながら待っていると、〝はい〟というくぐもった声と共に木製のドアが開いた。
目の前には初老の、少し頭が薄くなった男性が現れた。

マックスは、ぐっと言葉に詰まった後、キャサリンと同じ瞳の色をした男性に声を掛けた。
「キャサリン・パーカーさんはおられますか?」

「キャサリンはうちの娘だけど、何かな?」
少しむくんだ感じのする男性は、瞳険しくそう答えた。







ウィルクス=バリー・スクラントン国際空港は、国際と付いてはいるが田舎の空港で、とても先進的とは言えないコンクリート造の建物だ。
キャサリンはそのウィルクス=バリー・スクラントン国際空港のロビーで椅子に座り、買った雑誌を眺めている。NY行の飛行機の離陸時間までまだ1時間以上ある。少し早く来すぎてしまった。

父はああ言ったがやはり心配だったのでソフィアに連絡をし、午後一番にソフィアがやって来てからキャサリンは家を出た。
近郊の大型ショッピングセンターに寄って、ナタリーとナタリーの婚約者エリックに、NYヤンキースの下部チームで、この地に本拠地を置くウィルクスバリ・スクラントン・レイルライダースのロゴの入ったタオル等のお土産を買った。彼らは熱烈な野球ファンなのだ。


〝スクラントンからお越しのキャサリン・パーカー様、インフォメーション・センターまでお越しくださ
 い。スクラントンからお越しのキャサリン・パーカー様・・・〟

キャサリンはガヤガヤと人の行きかうロビーで、ぱらりとファッション雑誌をめくっていた。
天井のスピーカーから流れる場内アナウンスに、驚く。
アナウンスは自分の名前を呼んだ様な気がする。
顔を上げてじっとしていると、もう一度場内アナウンスは流れた。
確かに自分の名前が呼ばれている。

彼女は父に何かあったのかと、急いで席を立った。
咄嗟に、席を立つのと同時に携帯を確認する。携帯に電話があったのを気付かなかったのかと思ったのだ。
だか携帯には不在着信を示す表示は出ていない。
おかしいな、と思いながらインフォメーション・センターを目指す。
空港だから電源を切っていると予想して、ソフィアが空港に連絡を入れたのかも知れない。
彼女は大急ぎでセンターに向かった。



その受付カウンターの横には、遠目でも分かる長身の男性がいた。
キャサリンは、その姿にぎくりとし、なぜか身体が強ばり逃げ出したい感覚に陥った。
だが彼は、すぐに彼女を見つけた。

マックスがジャケットにコートを羽織った姿で、にっこりと微笑む。

「キャシー」

「マックス、あなた、どうして?」

彼に会うためにNY行の飛行機に乗ろうとしている所だか、予想しない彼の出現に、嬉しさより驚きと、いたずらを見つかった子供の様なバツの悪い感覚が、彼女の中に込み上げる。
こんな所で現れるなんて不意打ちもいいところだ。
まだ心の準備が出来ていない。

しかしキャサリンは逃げ出したい気持ちを抑えて、彼に近付いた。
マックスもキャサリンに大股で近付いてくる。

「君こそ、どうしてここに?」
マックスは、ニコニコとしたままキャサリンに問い掛けて来た。

「どうしてって、呼び出されたから・・・。もしかしてあなたが呼び出したの?」
「まあね」

不敵に微笑むマックスに、頭が付いて行かない。
――彼は私に会いに来てくれた?

キャサリンの中で驚きは、もう既に喜びに変わっていた。

「マックス、私、これからNYに行こうとしていたの・・・」

キャサリンは声を上ずらせた。
彼が目に前にいる。
予定にはない事だが、こうなったらこの場で言わなければならない。
上手く言えるかどうか自信が無い。


「あなたに会いに」

意を決して吐いた言葉に、マックスの微笑んでいた口元を結ばれ、瞳からは優しい光が消えた。
キャサリンは間違った事を言ってしまったのかと、思った。
彼の表情に、途端に胃がざわつくのを感じる。
しかし、言うと決めたのだ。
本当に、こんな年齢になって告白をするなんて思わなかった。

「マックス、私、あなたに言わなきゃならない事が、ある。仕事を・・・W&Mを辞めた事はもう知っ
 てるわよね? その・・・ごめんなさい、何も言わずに辞めてしまって。父が、肝臓癌を患ってて、
 あなたに再会する前に故郷に帰ると決めていたの。すごく・・・不誠実だって分かってる」

マックスを見つめながら言うが、彼の表情は固まったままだ。
キャサリンは喉がひりつくのを感じた。
泣きそうだ。

「私、あなたの事、不誠実だなんて言えた義理じゃないの。だけど、あなたとの時間が楽し過ぎて、夢み
 たいで、壊したく無くて、言えなかった。スティーブの事は全然関係無いの。私はあなたの事を、愛し
 てるの。あなた以外に愛している人なんか、いない。父の事を黙っていたのは、あなたに同情された
 く・・・」


言葉を続けようとしていたキャサリンは、マックスに抱きしめられた。

「キャシー、もういいよ。知ってる。ここに来る前に君の家に行ったんだ」
「マッ・・・クス、家に行ったの?」

キャサリンは抱きしめる彼の腕の力強さに、瞬間、喜びと困惑を感じながら聞いた。

「君のお父さんに会ったんだ。ああ、それよりさっき言った事、もう一度言って欲しい!」
「さっき?」

キャサリンは彼の腕の中で、顔を赤らめた。
抱きしめていた腕を解いて、マックスがキャサリンの顔をじっと見る。

「さっき、言っていただろう、僕の事」

じっと見つめる青い瞳が痛いぐらいだ。
しかし今は自信を持ってその瞳を見つめ返す事ができる。

「私・・・マックス、あなたを愛している」

「やっと、言ってくれたね!」

途端にマックスにぎゅっと抱き上げられた。
きゃっとキャサリンの口から小さな叫びが上がる。




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05.25
Sat
どうも、nicikaでございまっす!

すまぬーー(>ェ<)
午前中UPのつもりが、午後どころか夕方になってしまったぁぁぁ( ̄□||||!!
朝から買い物に出ちゃったからねー。スタートが遅かった。
そして午後からは来客が来るし・・・。
楽しみにしてくれてる人、ごめん

10.5日目-2に16拍手貰っちゃった。
やっぱりみなさん、いい男が苦しむの好きなんだね。
むふふ(*´∀`)σ)Д`)
マックス視点の回は拍手多いんだよなー。
特にマックスがムキーッヾ(●`Д´●)ノってなる回。

つまりみなさん、マックスを苛めたい系なのかな?


『年下の罠』、とうとう11日目突入!!
お父さん、(゜ーÅ)ほろり・・・だね。
そしてキャサリン、立ち上がる?!

はい、そうです。

『年下の罠』はこの11日目で終わります。
今回の11日目-1・2、の後、何話になるかな~?

実は、まだ書いてないのよ、最後まで。
本当に、書けて無い・・・。
今日UPした分までしか無い。紙真っ白・・・。
(紙使って書いてないけどね!)

なので作者本人もあと何話続くか、分っかりませーん!
でも、多分あと1回の更新か2回かで、終わりマース。

ここで読者の皆さんにお礼を語っちゃうと時期早尚なので、
最終回を迎えた後、語りたいと思います。


では



最後に、

>>まゆまゆさん、サリーさん、
再度拍コメ、ありがとう!




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05.25
Sat
父親は遠くを見る様な揺れる瞳で、キャサリンを見る。
その瞳はキャサリンと同じ、ヘーゼルナッツを思わせる明るい茶色だ。
キャサリンは堪らず、瞳を潤ませた。

「無かった、だなんて。今も、いい父親よ」
言うと、彼女の瞳を潤ませていた液体は溢れてしまった。

「・・・キャシー」
父親は、重ねられたキャサリンの手に、もう片方の手を重ねる。
「お前には、私と同じ過ちをして欲しくない」

キャサリンは、ドキリ、とした。

「キャシー、何もせずに後悔するより、して、その結果で後悔した方がいい」
「お父さん?」
「上手く行かないかも知れない。期待通りの結果が得られないかも知れない。しかし、逃げるよりましだ。
 逃げて、逃げた事に後悔するよりましだ」

キャサリンの父親は、遠い、悲しそうな瞳をした。

「お父さん、私、何も無いのよ? そんな、後悔なんてするような事は何も無いし、スティーブの事を言っ
 ているのなら、それは全然、関係無いのよ。疲れてて・・・、ごめん、お父さんの事じゃ無くて、こっ
 ちに帰って来てから引っ越しの片付けや、向うでも急に仕事を辞める事になって、忙しかったから」

キャサリンは矢継ぎ早に言うと父親から視線を逸らし、机の上のマグカップを見つめる。
そんな彼女に、父親は何も言わない。

「お前に忠告なんて、できる身分じゃないな・・・」
「コーヒー、冷めちゃうわ。お父さんは、元気になる事だけを考えればいいのよ、ね?」

沈黙の後ぽつりと呟く父に、キャサリンは涙を拭いて、笑顔で話題を変えた。


その夜、キャサリンは寝つけなかった。
昼間、父親に言われた言葉が頭の中で繰り返される。
〝何もせずに後悔するより、して、その結果で後悔した方がいい〟そんな使い古された言葉は良く知っている。自分を啓蒙する本にも良く書かれている言葉だ。
それにキャサリンが生きて来た33年の中で、その言葉を意識しなかった事が無いわけでも無い。
父と母が離婚した際にも、あとで後悔したくないから、父を選んだ。
父がアルコール依存になった時も、後悔したくないから、この家のローンを払うことにした。
今現在も、父との別れに後悔をしたく無いから、できる事をやろうと仕事を辞めて故郷に帰って来た。
まだ完全とは言えない短い人生だが、前向きに生きて来たつもりだ。
マックスとはたまたまそんな時に出会ってしまっただけで、キャサリンはもう既に選んでいたのだ。

後悔なんて、するはずも無い。

――本当に?
キャサリンはごろりと寝返りを打つ。

――本当に、後悔しない?
答えはNO。
もうとっくに後悔している。

しかしマックスに、キャサリンは拒絶されたのだ。
彼がなぜ彼女を拒絶したのか、キャサリンには分かっていた。
あの夜の罵り合いは、確かに始まりはマックスの嫉妬からだったかも知れない。
だが彼が彼女に怒っている本当の理由は、キャサリンが父親の事を彼に言わなかったせいだ。
キャサリンはあの時、何を言われてもその事をはぐらかしてしまった。
その不誠実さが、彼を怒らせてしまった。
出会った時の彼の言動が不誠実だと、なぜ自分はマックスに怒りを覚えることが出来たのだろう、と今は思う。

だから、この後悔は自分への罰だ。

マックスは今頃、キャサリンがW&Mを辞めた事を知っているはずだが、何の連絡も寄越さない。
それが彼の答なんだろう。

自分を綺麗な、いい女だと思わせようとしたが、上手く行かなかった。
彼の中で、キャサリン・パーカーは、嘘つきで衝動的な女になってしまった。
彼がそんな女に電話を掛けて来ないのは当たり前だ。あれだけ積極的なマックスがそうしないという事は、キャサリンに興味が無くなったのだ。

綺麗な思い出を彼の中に残そうなんて、おこがましい考えだった。

キャサリンはまた泣いた。
声を殺して思いを噛みしめた。

――こんな事なら、彼に泣いて縋った方がましだったかも知れない。



翌朝キャサリンは、白い息を吐いて新聞を取りに外に出た。
ペンシルバニア州北東部に位置するこの街の冬の訪れは早い。
この時期、平均気温は5℃程度だ。早朝であれば-5℃前後は当たり前。
ぶるっと身体を震わせて、急いで家の中に入ると、彼女はリビングでTVを見ている父親に向き直った。

「お父さん、私、今日NYに行くわ」

「そうか」
父親はTVからキャサリンに視線を移し、新聞を受け取る。

「帰りは明日になると思う。ナタリーの所に泊めてもらうわ。今晩はソフィアに来て貰えるように連絡す
 るから」
「いいよ、1日くらい独りで大丈夫だ。まだまだ父さんも、元気なんだよ」

父親は、にこりとキャサリンの顔を見て微笑んだ。




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05.25
Sat
「キャシー、そこのリモコン、取ってくれるか?」
父親にそう声を掛けられて、キャサリンはハッとする。

「あっ、ごめん。何?」
「TVのリモコンを取ってくれ」
「ああ、リモコンね。えーと、どこかしら?」
「キャシー、お前の目の前だよ・・・」
「あら、ほんと」

キャサリンは、目の前の机の上に置いてあるリモコンを手に取り、カウチに腰掛けている父親に渡した。
父親はそんなキャサリンを見て、腫れてむくんだ顔にだるそうな表情を浮かべると、ふぅー、と溜息をつく。
キャサリンの父親の病状は進行し、腹水が溜まる様になって来ていた。
そのためお腹がポッコリと出て、全身がむくんでいる。現在は溜まった腹水を抜きに1週間に1度病院に行く程度だが、病状が更に進めば、5日に1度、3日に1度と、その頻度を増やさなければならない。

「父さん、大丈夫? 辛いの?」
キャサリンは父親の表情に、心配を口にする。

「いや、大丈夫だ。身体は不思議なくらい辛くは無いよ。何度も言っているだろう? ・・・お前だよ」
キャサリンの父親は、薄くなった白髪頭を振り、言った。

「私?」
「そう、お前だ。帰って来てからこっち、お前は心ここに非ずだね」

「・・・そうかしら? そんな事無いと思うけど?」
彼女は、じっと見つめて言う父親の視線から顔を逸らす。

「スティーブか?」
「ち、違うわよ。スティーブの事なんか考えてないわよ。もう1ヶ月以上も前に別れたのよ? 喉が渇いた
 わね、コーヒーでも淹れるわ」

キャサリンは踏み込んだ質問をして来る父親から逃げる様に、キッチンへと足を向けた。
キッチンでコーヒーメーカーに豆を入れ、水も入れてスイッチを押す。すぐに機械はガガガガッと動き出す。


彼女がペンシルバニア州の北西部にあるスクラントンに帰って来てから、1週間近く経つ。
父は腹水がたまり身体全体がむくんでいても苦痛は少ない様だ。医者に聞くと、通常はかなり苦しむらしいが、そういう事もあるらしい。有難い事だった。

マックスと言い合いを起こした先々週の金曜日から、キャサリンはぼうっとする時間が増えた。
あの日、キャサリン自身にも不思議なくらいしっかりとした足取りでアパートに帰ってから、何も手に着かないまま土曜日を過ごし、日曜日には予定通り一旦ここに帰り、月曜日は普通に出社した。
勤務最終日なので大した仕事もせずに机の周りの備品を片付け、就業時間にはW&M法務事務所の皆からサプライズの送別をして貰い、嬉しくて涙が出たが、大泣きはしなかった。
送別会を断ってアパートに帰り、アパートで初めてキャサリンは独りで号泣をした。
マックスに衝動的だと言われた事がショックだった。
次の日の夜に引っ越しの準備を手伝いに来てくれたナタリーの前でも、泣きじゃくる羽目になった。
前日に彼の事を考えて泣いたため、感情が吐露しやすくなっていたのだろう。

ナタリーという相手を得て、口に出して彼の事を語り大泣きすると、少し感情の整理が出来た様な気がした。
独りではぼうっとしてしまって進まない荷物の片付けも、誰かが居てくれるとはかどった。
その後、3日続けてナタリーは夕方になるとキャサリンのアパートを訪れ、片付けを手伝ってくれた。
本当に、こういう時に親友が身近にいると心強い。

金曜日に本格的に業者を使っての引っ越しをし、スクラントンに帰って来た。
そして今に至るまでマックスからの電話は1度も無く、キャサリンからも電話しなかった。
2人の関係は、もう終わったのだ。
終わり方は、キャサリンが予想していたのより悲惨なものになってしまったが。


彼女は、コポコポと音を立てて落ちるコーヒーをじっと眺めながら、またぼうっとしていた。
何かを考えているわけでは無いが、視線がどうしても固まってしまう。
父親の言う、心ここに非ず、というのは的を得ている。
ぽとり、と落ちる雫を見て、重力ってあるんだな、と頭に浮かべると、コーヒーを父親と自分のマグカップに注ぎ、リビングへ向かう。

「キャシー、・・・父さんは、こんな事になって、後悔している事がある」

テーブルにマグカップを置いた後、キャサリンの父親がゆっくりと言った。

「どうしたの? ・・・お父さん」
表情を曇らせながら言う父親に、キャサリンは訊ねた。
何か、深刻な事を父は言おうとしていると、彼女は直感で感じる。

「母さんと、お前たちの母親と、もっと話し合うべきだったと、思っている」
父親は、変わらずゆっくりとした調子で言葉を続けた。

「・・・そんな昔の話、よしましょ」
「いや、聞いて欲しいんだよ。彼女と話し合ったからと言って、何が変わったとか、離婚を避けることが
 出来た、とは今更思わんが、分かれる前に、きちんと話し合うべきだった」
「いいのよ。もう私達も大人だし、仕方のなかった事だって分かっているわ」

彼女はコーヒーを一口飲んでから父親に優しい眼差しを向けた。
父は人生の終わりを感じ、彼の一生について誰かに聞いて欲しいのかも知れない、と彼女は思う。
娘としてこんな言葉を、最後とも取れる言葉を父親から聞きたくはないが、父の助けになるのならばと聞く覚悟を決める。
ただ、ここにソフィアもいて欲しかったと、思った。

「あの頃の私は、逃げていたよ。彼女の気持ちを理解しようとしていなかった。お前たちの気持ちも
 な・・・」
父親はそう言うと、薄くなった頭を撫でた。
キャサリンは席を立ち、父親の横に座ると、その父の手をそっと手に取った。
重ねた父親の手のむくみを掌に直に感じ、胸が締め付けられる。

「その後も、ずっと逃げていたな・・・。お前たちが居なくなって、アルコールに逃げた。その事で、お
 前たちにはずいぶんと迷惑を掛けた」
「いいのよ、お父さん」
「お前たちが、いい娘で、本当に感謝している。私は、いい父親では無かった。・・・母さんに感謝すべ
 きだな」




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05.22
Wed
どうも、nicikaでございます。

今日はネタバーレから行きますよーー。


苦しんでますね~~、マックス君!
これも、『年下~』で書きたかったシーンの一つ。
今回、爽やか・ちょっと強引王子様系のマックスに、泥臭く苦しんでもらいました。
幸福絶頂から、叩き落されてもらいました。

かわいそーだなー、マックス。(>_<)
それまでルンルンだった筈なのにねー。
両親に紹介まで、しようとしてたのにねー。
いやー、マックスファンの方には申し訳ない。
どーぞ、どーぞ、マックスをあんな目に合わせるキャサリンを、呪ってやってください!

しかし、いい男が苦しむ姿は、良いですな~。(o´艸`o)
ウキャキャキャキャ。
もっと苛めたい気が起きますよ。はっはっは!



以下、拍コメへのお返し&お知らせなど。


>>サリーさん。
ややや! 『とある~』見てくれてたのね~!
それでもって、ここまで来てくれてたとは・・・、ありがとやーんすっ!
サリーさんのサイト見てから、SEED見ようとレンタル屋に行ったら、借りられてた。
ところが、アニマックスで夜1:00~SEEDリマスター版やり始めたんだよね。
昨日が、あ、違う今朝か・・・、3話目だったんだよ・・・。
おかげで寝不足・・・。今日も頭、モワモワです

んで、お知らせしまーす。
『とある~』の次話、今日の夜UPしまーす。明日確認してちょ。
昨日『とある~』の次話UPしようとしてうっかり日を跨いでしまった・・・。
後は先ほど述べた通り、SEED見て寝た・・・。

『とある~』ここから暫くエロ無いんだよなー、残念。
物語のバックで走らせている謎について展開していきますので、ちょいシリアス要素多めとなります。


最後になりましたが、
いつも、応援ぽちありがとうございます!!m(>Д<)m
にほんブログ村、恋愛(純愛)カテ、10位をウロリとさせて頂いてます。
同、ロマンスカテ、1位続・獲得。
ま、すっかり『ネット~』さんのぽち数は下がってしまいましたが・・・。これ残念。

ぽち、大好物なんで、よろしくね!



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05.22
Wed
マックスは部屋に戻ると、アルバートに言われた通りシャワーを浴びた。
彼の言葉通り、シャワーを浴びれば少しはすっきりするかと考えた。
だがやはり、胸の黒い穴は塞がらない。
ザァーっと降り注ぐ湯を、顔に当てる。

何をそんなに落ち込むことがある? と自分に問い掛ける。
こんなのは自分らしく無い。マックス・コナーズらしく無い。
こんなに落ち込むぐらいなら、彼女に電話すればいいのだ。
昨夜の事は、まるで大した問題じゃ無いと、いつもの様に彼女の微笑みを引き出せばいい。

だが今回は、許せなかった。
キャサリンはひどい裏切りをした。
昨夜の食事の終わりに鳴った彼女の携帯に、スティーブと表示されているのがチラリと見えた。それだけで嫌な予感がした。その電話に出ようとしない彼女の様子が、余計疑念をもたげさせた。
そして、それを裏打ちする様な、コソコソとした彼女の行動。
店の外に出て、聞こえてきた会話。
一瞬で、血が沸き、景色が目に入らなくなった。

確かに彼女は、電話の相手であるスティーブに、もう電話は良く無いと、2人は終わったんだと、言っていた。やんわりと!
はっきり言えばいいのだ。
マックスと付き合っていると!
彼女はスティーブを嫌ってなどいない。彼女は、彼を拒絶しない。
マックスと初めて一夜を過ごした時に泣きじゃくった時のまま、彼に気持ちを残している。

――くそっ!
マックスはダンッ、と浴室の壁を叩いた。
シャワーを止めて、ぽたぽたと雫を垂らしながら浴室を出る。
そして、まだ収まらない胸のもやもやをすっきりさせる為に、洗面台の上に並んでいるアメニティ類を、くそっともう一度悪態をつきながら思いっ切り横に払った。
ガンッ、ガシャン、ゴンッ、と床に転げ落ちたアメニティは、それぞれが色々な音を立てる。

そんな事をしても、胸の黒い影は消え去らない。
頭の中を占める思いは、悪夢のメリーゴーランドの様に回り続ける。


〝父の事、心配してくれてありがとう〟
あの言葉を電話の向こうの相手に言う時、彼女は少し悲しそうな遠い瞳で、わずかに微笑んでいた。
あの瞳の意味は、何だったのか。
それはきっと、彼女の父親に、何か心配する程の事が起きていると言うことだ。

マックスは、それを知らない。
スティーブは知っているのに。
自分には、知らされていない。
そして、・・・知らされる事は無かった。

スティーブ、スティーブ、スティーブ。
彼女が口にするのは、彼の事ばかり。

彼女が彼の名前を口にする度、心臓が抉られ、彼女がマックスに家族の事を打ち明ける気が無いと、思い知らされた。
彼女は、心配事を、悲しみを、マックスと分かち合う気が無い。
人生で初めて、結婚を意識した相手に、信頼されていなかった。
彼女にとって、自分はそういう相手では無いのだ。
その相手は、5年付き合った、あの男なのだ。

一昨日の夜、彼女が口に出した言葉を本心だと、なぜ思ってしまったんだろう。
あれは只の、身体を駆け巡る快楽が彼女に言わせた言葉だったのだろう。
それをうっかりと、信じてしまった。
たった一度、一言、SEXの果てに言われた、愛している、と言う言葉に舞い上がり、それを真実だと思い込み、至上の幸福を全て手に入れた気になっていた。

彼女に取って、自分はただの繋ぎの相手だと気付かずに。

自分は、リッチで、若く、権力を持っていて、有名人で、彼女の自尊心を満足させていたに過ぎなかったのだ。女など、そんな打算的な生き物だ。
5つも年上の女など、愛するべきでは無かった。
女は、年を重ねれば重ねる程より自分を装う事に長けて、本性を上手く隠す。
キャサリン・パーカーも、そういう女性だったと言うだけの事だ。

そんな相手に、永遠を誓おうとしていた。
そんな女の、永遠を手に入れようとしていた。

胸にぽっかりと穴が開いた様に虚ろなのに、ギリギリと、締め付けられるように痛い。
思考は、駆け巡る様で、漠然とする。
身体も、神経が張り巡らされているかの様に緊張しているが、気怠く重い。
疲れた。

――イッつ。
マックスはふらつく頭でバスタオルを掴み、ぽたぽたと雫を垂らしたまま脱衣室を出ようとして、足の裏に痛みを覚えた。足元を見ると、先程薙ぎ払ったアメニティの何かが割れてガラスが散らばっている。
どうやらそれを踏んだらしい。

足の裏のチクチクとした痛みが、胸の痛みと連動する。
儘ならないと思っていた身体は、傷つけられると正直に痛みを感じた。
くしゃり、と顔が歪んだ。
本当に、何もかも、儘ならない。

――何も、感じなくなればいいのに・・・。
マックスは足に刺さった小さなガラス片を取り除いて、血の滲んだまま脱衣室を出た。



次の月曜日、マックスはピピコムに定時通りに出社した。
きちんと髭を剃り、皺一つ無いスーツに身を包み、外見を鎧の様に整えると、何とかましな気がした。

午前中、何とか仕事をこなし、午後一番に法務部のジェイコブから、W&M法務事務所から提出されたシンガポール支店移転計画の候補不動産についての報告書の説明を受ける。
丁寧にまとめられていたと思う。おそらくキャサリンがまとめた物だろう。
彼女の事を思い出すのは辛いが、表情と態度に出さない様に、気を配る。
そして、説明を聞き終え、ジェイコブとシェントン・ウェイ沿いのビルについて、売買が可能か、賃貸とするか等、法規面と条件について検討した後、ジェイコブが言った。
「ミス・パーカー、W&Mを辞められるんですってね」

マックスは、きょとんとした。

「あれっ? ご存じなかったですか? 彼女、CEOには伝えてあるって言ってましたけど」
「・・・いや、知らなかったな。いつ辞めるんだ」

マックスは平静を装いながら聞いた。
掠れそうになる声に、精一杯張りを持たせる。

〝えーと確か、今週には辞める、みたいな事を言ってましたよ。ですから、今後は弁護士のジョン・
 ウィリアムズ氏に連絡して欲しいって事でした〟

ジェイコブの声が、はっきりと聞こえるのに、遠くで話している様な感じがした。

決定的だった。

キャサリンは、マックスを本気で人生から締め出した。
出社してから仕事で紛らわされていた、締め付けられる様な胸の痛みが再来し、その事をしたくも無いのに噛みしめる様に反芻させられた後、彼女に対する怒りがマックスの中に烈火のごとく沸いた。

何故、こんなにもマックスを苦しめるのか。
キャサリン・パーカーなど、地獄に落ちればいい、と思った。




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