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02.28
Thu

ど~も~ nicikaでございます。

まいどご訪問いただいている読者の方、ありがとうございます。m(_ _)m
はじめてきた人も、初ありがとうございます。m(_ _)m

さて、『年下の罠』4日目-3・4、UPさせて頂きました。
ぜひご覧ください


この箇所、ちょっと作者的には、くどいんじゃね? と思いながら書いた箇所です。
なので、ネット公開するに際して、大幅カットするか悩みました。
ですが、やっぱりあった方がいいかなぁ~と思って載せました。

というか、カットしたらその後の文章続けるのが難しくって・・・。
諦めちゃった。

文章力無いな~。
すいません、こんな作者で。

読者のみなさまも、ダレルなーここ!(*`Д')凸ってツッコミたいんじゃないかな、と。
そう心配しております。

次の展開を目指して、さっさと更新するようにしますので、しばしお待ちを!


と、これもお伝えしておきたいことですが、
今までの記事(?)じゃ無いか、文章の誤字脱字を修正させていただきました。
それと合わせて、すでにUPしていた文章で、ちょっと引っかかるような表現や、説明不足な感じのする箇所を修正しております。

この場合、各章、タイトルに【改】とかってつけた方が良かったんかな?
と悩みながら、付けませんでした。
他の作者さんの作品には、付けておられるんだよね。
丁寧に、こことここ、直しました、って注釈ついてたり・・・。

  できねぇ・・・、おれには無理だよ、おっかさん・・・。
  そんなこまけぇ仕事、無理。

だって、ほとんど、誤字脱字だらけだったんですヨ。
ほとんど全部に【改】ってつけないとダメじゃん・・・∑(゜ш゜)ガビーン
みなさん、気付いてました?
読んでたら、気付くよね、当たり前だ。

あーーーーー、自己嫌悪!
かっこ悪ぅ。
恥ずかしぃーーーー。


とほほ・・・、でございます。

こんな作品、読み辛かっただろうに、よく文句も言わず読んでくださいました。
みなさま、ありがとうございます。

これからは、誤字脱字の無い様、なるべくしっかりと確認してからUPするように頑張ります。
お世話掛けますが、
よろしくお付き合いのほどを!





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02.28
Thu
シャワーを出るとルームサービスを頼む。
ホテルのレストランで昼食を食べようと思っていたが、時間がなさそうだ。
髪を乾かし、カジュアルな服に着替えてベッド横のカウンターテーブルに座ると、もう一度フロントに電話をする。フロントが応対すると、彼女は部屋番号と名前を言って、ドレスを買うためのお勧めの店を聞いた。14時30分にはミス・ヤンが迎えに来る予定なので、この広大な施設を店探しで、うろうろとしている時間は無い。
結局、マックスの提案はいつも正しい。

『お待たせ致しました、ミス・パーカー。ミスター・コナーズからそちらにバトラーを手配されておりま
 す。お探しのお店については直接バトラーがお伝えいたしますので、暫くお部屋でお待ちください』
フロントの女性は言った。

「バトラー? ミスター・コナーズが? その、そこまでして頂かなくても。 私は彼に、フロントに声を
 掛けたらお勧めのお店を教えて頂けるって聞いたんですけど」
キャサリンは彼女に、バトラーの手配を断ろうとした。

『しかし、ミスター・コナーズからのご依頼ですし、当ホテルのバトラーは、快適な滞在のサポートをさ
 せて頂けると存じますが』
フロントの女性は困っている。

キャサリンは、またマックスにやられた、と思った。
彼は、本当に世話好きだし、強引だ。しかしここで意地になって断っても、応対してくれている彼女を困らせるだけだと思い、バトラーの手配を受けることにした。
「分かりました。では、そのバトラーの方を待ちます。ですが少し時間が無いので、早めに来ていただい
 てもいいかしら」

電話を切って、TVのチャンネルを触っていると、ドアをノックする音が聞こえた。
バトラーかと思い応対すると、ルームサービスだった。
チップを払い、サンドウィッチを食べた。食べ終わる頃にまた、ドアがノックされた。

「失礼いたします、ミス・パーカー。お食事はお済でしたか?」
さっきのサービスとは、服装の違う女性が現れた。

「ええ、済みました。あなたがバトラーの方ですか?」
マックスが彼と言っていたので、キャサリンはてっきり男性が来ると思っていた。

「はい、ジェシカ・コウと申します。お伺いになっておられたお店の件ですが、ミスター・コナーズから
 ご案内する様に申し付かっております」
「案内を、わざわざ? 全く、彼はなんておせっかいなのかしら!」
キャサリンは悪態をついた。

ミス・コウは少し驚いた表情をしている。
しかし、キャサリンは案内してもらった方が良いかも知れないと、考え直した。

「あの、本当はお店を教えて頂いたら自分で行くつもりをしていたんだけど、あなたがお勧めするお店に
 は、迷子にならずに行けそうかしら? 私、実を言うと迷子になっている時間が無いの」
「でしたらご一緒の方がよろしいかと。お出かけになられるご準備が整っておられましたら、ご案内致し
 ます」
ミス・コウは微笑んだ。
ちょっと待っていて下さい、とキャサリンは言って彼女に微笑み返し、バッグを取りに室内へ戻った。

彼女に先導されてキャサリンはショッピングモールへ出かけた。
キャサリンは行く途中、彼女から、このホテルの施設や規模についてたくさんの事を聞いた。ショッピングモールはホテルに隣接する別の棟になり、そちらのスケールも圧巻だった。モールの中央には大きな噴水があり、アジア風の船が浮かんでいる。
並んでいるショップはそうそうたる物で、誰もが知っているブランドが華麗に軒を並べていた。

しかし、キャサリンはドレスにあまり予算を掛けたくないと考えていた。
ドレスだけで無く、ドレスにあったバッグも必要なのだ。
キャサリンはミス・コウに、少し恥じらいながら予算と必要な物を伝える。
彼女は軽蔑する風も無く、キャサリンの予算と希望に合った物を揃える事のできる店を選んでくれた。

素晴らしいバトラーのおかげで、キャサリンはショッピングを短い時間で楽しみ、希望の物を買う事が出来た。彼女は黒いノースリーブワンピースを選んだ。ドレスに合う濃いグレーのクラッチバッグも買った。
帰り道の途中で、キャサリンはバッグの飾り金具と良く合うネックレスを違う店で見つけた。
連結されたスクエアにダイヤが散りばめられたデザインのネックレスは、大振り過ぎず、カジュアルシックというドレスコードにもぴったりだ。
だが、値段はぴったりでは無かった。
とても手が届きそうにない。

「着けて見られますか?」
ミス・コウに声を掛けられる。

「とんでもない。もう、ドレスとバッグで予算をオーバーしてしまっているもの。とても素敵だけど、
 ネックレスまでは手が出ないわ」
「きっと、良くお似合いになると思いますよ」
彼女はとても勧め上手なバトラーだった。

「でも、旅の前半でお小遣いを全部使ってしまう訳にはいかないわね。ありがとう」
キャサリンは、明日から売り子になってもやっていけるだろうミス・コウにお礼を言って、ショーケースの前を去った。
ネックレスは無しで辛抱しよう、と心に決める。

ミス・コウは部屋まで送ってくれた。
キャサリンは彼女に心の底からお礼を言った。
彼女が居てくれなかったら、キャサリンは目当ての物を買うどころか、迷子になっていただろう。

「私、バトラーの方って男性が来ると思っていたけど、来てくれたのが女性のあなたで良かったわ」
そう、同行してくれたのが女性のミス・コウだったからショッピングを楽しむ事ができた。

「ミスター・コナーズから女性のバトラーをご希望だと聞いておりましたので」
「ミスター・コナーズが?」
「はい。その様にご指示いただきました。ミス・パーカー、ご満足いただけて幸いです。では、私は失礼致
 します」

キャサリンはミス・コウにチップを渡し、再度感謝を述べた。
ドアを閉め、独りになると、マックスの手配の素晴らしさに感動した。
彼は何て気の付く人だろうと思った。
しかしそれは、それだけ女性の扱いに慣れているという事でもある。

そのことに気付くと、キャサリンを満たしていた幸福感が急速にしぼんだ。

――勘違いしちゃいけないわ。
彼女はまた、呪文のように心の中で言った。

ミス・ヤンが迎えに来る時間まで、あと20分程だ。
キャサリンはスーツに着替えるためにクローゼットへ向かった。




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02.28
Thu
キャサリンは彼の、金持ちらしい発言にカチンと来た。
「マックス、そこまでしていただく理由が無いわ。私だって、ドレスの1枚や2枚を買うぐらいのお金は
 持ってるわ。それに、新しいドレスをちょうど買う必要があったから、いい機会なのよ」
新しいドレスが必要な予定など本当は無かったが、マックスに馬鹿にされた様に思い、つい言った。

『しかし・・・』
彼は尚も食い下がろうとする。
「もう! それ以上は無し!」
彼女はカッとなり、きつい言葉を使った。

『・・・ごめん、そんなつもりじゃ無かったんだ』
マックスに謝られて、キャサリンはやってしまった、と思った。
「ごめんなさい、私こそきつく言って。そんな風に言うつもりじゃ無かったのに。睡眠不足で疲れている
 みたい。・・・悪かったわ」
キャサリンは反省した。
傍の椅子に腰掛け、こんな事で感情的になるのは自分らしく無い、と思った。

『いや、いいんだ。気にしないで。部屋は快適?』
彼女は、彼が話題を変えてくれた事に、ホッとした。

「ええ、すごく快適よ。こんないいお部屋を用意してくれて、本当に感謝してる」
『良かった。でもそれはミス・ヤンのおかげだよ。僕は直接手配していないから。その・・・でも、バト
 ラーに聞いた ショッピングモールにある店はお勧めらしいから、是非出かける時はフロントに声をかけ
 て。・・・嫌じゃ無かったら」
彼は、遠慮がちに言う。

彼の様な権力者がそういう言い方をする事も意外だったが、彼に気を使わせた事でキャサリンは少し落ち込んだ。
しかし彼の言った、バトラーとは何だろう、と思う。
「バトラー?」
『ああ、僕の部屋には専属の執事みたいなのが付くらしい。彼に聞いたんだ。ホテル側のサービスだよ』
「そう、すごいわね」

マックスの部屋は彼女の部屋より上層階にある。
そんなサービスが付いているとは、きっとここより更に素晴らしい部屋に違いなかった。
それは、彼の地位を考えれば当然と言えた。

『うん、いいホテルだね。じゃあ、僕は少し寝る事にするけど、教えてくれた彼に悪いし、必ずフロントに
 は声を掛けて。お願いだよ』
さっきは遠慮がちだったマックスは、今度は必ず、と付け加えた。

キャサリンは電話のコードを触りながら、その点に少し、おやっと思ったが、それぐらいはするべきだろうと考えた。
「分かったわ、フロントに声を掛ける様にする。ありがとう、おやすみなさい」
と言って電話を切った。

彼女は困惑していた。

彼女はこの旅行が始まった時から、マックスとの住む世界の違いを感じ始めていた。
特にシンガポールに着いてからは、彼の立場を、まざまざと見せつけられている。
キャサリンに用意されたこの部屋にしてもそうだ。
彼女の給料では、この様な素晴らしい眺望の部屋に滞在するチャンスなど一生の内に何回も無いだろう。
彼女にとっては特別な事だが、彼にとっては当たり前の事なのだ。
彼が直接手配をしなくても、彼には、それを素早く行う有能な部下が世界中に居る。

ミス・ヤン・・・、彼女の若く美しい姿がキャサリンの頭に浮かんだ。
3年前のパーティーでの美しい女性も。
マックスの周りには若く、美しくて、自立している女性が数多くいる。
それに比べてキャサリンは、自分をみすぼらしく感じた。
彼女は33歳で、もう若いとは言えない。それに背も高くは無く、細くも無い。
自立はしているが、国際的な企業に勤めている訳でも無く、アメリカ国内の支店も持たない法務事務所の総務チーフ止まりだ。

そんなキャサリンに、マックスは最初から普通に接した。
確かに2人の間には共通の秘密があるが、彼の気さくで親しみやすい人柄は、彼女に、マックスが取引先のCEOだと言う事、世界的企業の経営者だという事を忘れさせる。
本当の友人の様に思ってしまう。

キャサリンは部屋で荷物の片づけをしながら、勘違いをしてはいけない、彼は住む世界の違う人なのだ、と思っていたのだった。

そこへマックスから電話が掛かってきた。
彼は、彼女の気持ちを知ってか知らずか、親しげに話しかけてくる。
その時のキャサリンには、彼から友人の様に気さくに話し掛けられるのが辛かった。
しかも彼は、あろう事かドレス代まで払うと言う。
キャサリンの自尊心は、過剰反応をした。彼女は自分自身を守るため、つい怒った。

何から守るためだったのだろうか。
だがマックスは、怒った彼女に対しても紳士的だった。

そう、彼はキャサリンに対して事あるごとに紳士的で寛大だ。
少し強引で執拗な面はあるが、彼女が突っかかっても、彼は上手くかわすか、きちんと謝るかをする。
彼女は何故マックスが、彼女に優しく接してくるのか不思議だった。
いや、彼は誰に対しても優しいのだろう、ドレスの事だって、1枚や2枚大した事は無いと言っていたでは無いか、とキャサリンは思った。

――勘違いをしてはいけないわ。
彼とは住む世界が違うのよ。
彼女はもう一度、心の中で繰り返した。





アラームが鳴って、キャサリンは目を覚ました。
念のためにつけて置いたアラームが役に立った。もう12時だ。キングサイズのベッドの寝心地は、恐ろしく良かった。
彼女は、のそのそとベッドを出ると、擦りガラスで遮られたウォークインシャワーに入る。
可愛らしいバスタブを使うのは、今夜までお預けだ。

彼女はマックスとの電話を切った後、パソコンを立ち上げ、この旅が仕事だという事を忘れないために、ジョンに到着報告のメールを送った。
その後、ショッピングのためにこのホテルのガイドを見たが、あまりにも施設が広く、把握するのは困難だと諦めた。そして、ひと眠りしようとベッドに入ったが、先程のマックスとのやり取りのせいで興奮したのか、なかなか寝付けなかった。
だが、知らない間に眠っていたらしい。




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02.25
Mon

どうも、nicika でございます。

今回はまず、読者のみなさまにお礼を述べたいと思います。

わたくし、ブログ始めたばかりなので、
結構こまめに、ちょこちょこちょこちょこと、ランキング確認をしております。

ランキングのツボに嵌っちゃってるわけです。
ランキングサイト様のまさしく目論見通りのブロガーです。

ネット小説ランキング様に参加しているのは、皆様ご存知と思いますが、
最近、そちらのサイトで結構コンスタントに投票いただくようになりまして、
ランキングが、タイミングにもよるんでしょうけど
20~35位あたりをうろうろさせて頂けるようになりました。

ありがとーーー
投票数がハッキリ出てると、■年下の罠 を面白いな~、と思っている人がこれだけいるんだな~、
と作者のわたくしにもよく分かって、うれしいな~。

当初、FC2のブログランキングでサブジャンルの100位以内に入って大喜びしたんですが
これって、ひょいっと見に来ただけの人も含めたアクセス数で計算してるのかな? と気が付きました。
本当に気に入ってくれている人がどれくらいいるかって、ネット小説ランキングさんのタイプの
計算の仕方の方がよく分かるんだよね~。

なるほど、なるほど。
勉強になるわ~。


とにかくみなさま、サンキューなのです!
これからも面白い展開にを心掛けて書いていきま~す。

エイエイオー(>д<)〇!




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02.25
Mon
「ミス・パーカー、君は僕の客人だよ。シンガポール初日の夕食を独りで取らせる訳にはいかないよ」
彼はキャサリンに、得意の有無を言わせぬ笑顔で言った。
キャサリンは彼の招待を、彼の社員の前で辞退できなかった。
これは決定だった。

「では、彼女は今日の15時までフリーなんだね、ミス・ヤン」
「はい。ミス・パーカーは、今日の15時からの不動産確認と19時からのご夕食、明日の午前中は2件
 の不動産確認のご予定です」
キャサリンは、自分のスケジュールがマックス程過密でない事に、ほっとした。

車はシンガポールに最近建設された新たなランドマーク、マリーナ・ベイ・サンズに着いた。
キャサリンはその建物の外観に驚いた。
3棟のビルの上にまるで船が乗っている様なその姿は、まさに圧巻だ。
これにはマックスも感嘆の言葉を発した。
2人はミス・ヤンに説明を受けながら、車の中から外を眺め、どうやって支えているんだろう、と話し合った。

マリーナ・ベイ・サンズは、近代建築の粋を集めた建物で、その外観もさる物ながら、白で統一されたロビーも素晴らしい。20階程ある恐ろしく高い吹き抜けに差し込む光と、巨大な鉢植えに植えられた高木が所どころに配置され、曲線を活かしたその広さに圧倒される。

ミス・ヤンは2階にあるロビーで2人のチェックインを済ませると、それぞれの部屋の鍵を手渡し、説明をした。ホテルのベルマンが現れ、マックスとキャサリンの荷物を持って待機している。
彼女とはロビーで別れた。

2人は同じエレベーターに乗ったが、キャサリンはマックスより先に降りることになった。
どうやら彼は、かなり上の階の部屋らしい。

「じゃあ、14時30分にはミス・ヤンが迎えに来てくれる筈だから、 それまではゆっくり眠るといいよ。
 飛行機の中じゃあまりよく眠れなかったみたいだし。施設内を見て回るのも楽しいかもしれないね。ここ
 は大きなショッピングモールもあるから」
キャサリンがエレベーターを降りる際に、マックスは彼女に話しかけた。

「とりあえず少し寝てから、うろうろして、今日の夕食用の服を見てみる事にするわ。ありがとう」
「ドレス、持ってきていないの?」
マックスはキャサリンに、驚いた表情を見せた。

「だって、そんな夕食に招待されるなんて思ってなかったんですもの。スーツじゃダメよね?」
「・・・カジュアルシックならいいんだろうけど。だから言っただろう、荷物が少なすぎるって」
「誰かさんがちゃんと予定を教えてくれていたら、こんなへまはしなかったわよ」

キャサリンはマックスに文句を言った。
2人はさっきのミス・ヤンの前での言葉使いとは違い、砕けた調子になる。

「・・・そうか」
マックスは納得した表情を見せた。
「さあ、早く行って。エレベーターをいつまでも止めておくのは良くないわ」
彼女はマックスのベルマンに早く上がる様に指示した。
マックスも、それには異論が無い様だ。

エレベーターのドアが閉まるのを確認して、彼女は自分の部屋へと案内された。
彼女の部屋はマックス程では無いが、建物上層階にあった。

明るい家具と色調で統一されたリビングと、キングサイズのベッドが備わったベッドルーム、美しいバスルームにはバスタブとウォークインシャワーがある。

彼女はその豪華さに感動した。
部屋からの眺めも良かった。
シンガポールの街並みでは無く、海側を見下ろす眺望は少し残念な気がしたが、多くの船が行き来していて面白い。テラスには椅子とテーブルが備え付けられていた。
これが全てピピコム社の経費から出ているとは、すごいの一言だった。

――この出張、来て正解だったわ。
彼女は来る前に悩んでいたことをすっかり忘れ、この旅行を楽しむ気になっていた。

父の事があるのでこれから先、暫くは旅行などできないだろう、と思う。
いや、今回の出張が無ければ、旅行に行く事すら考えていなかった。
故郷の父と妹のソフィアの事を思うと複雑な心境だったが、運命のいたずらで降って沸いたこの旅行を楽しむことを心に決めた。
帰れば、悲しみが待っている。
その悲しみに備えるために、今は楽しもうと思った。

キャサリンのスケジュールにはかなりゆとりがあったので、独りでシンガポール観光を楽しもう、と彼女は考えた。マリーナ・ベイ・サンズを見て回るだけでも、旅行の全ての日程を使ってしまうかも知れなかった。
わくわくしながら、荷物をほどく。

電話の鳴る音が聞こえた。
最初は何が鳴っているのか分からずに、きょろきょろとしたが、部屋の備付けの電話だと気が付いた。
ベッドルーム横のカウンターテーブルの上で鳴っている。
キャサリンは電話を取った。

『キャシー、もう寝ていた?』
「マックス? まだ寝ていないけど、何か用?」
『さっき君が言っていた事だけど、夕食の件、出発前に君に相談すべきだった。悪かった』
「ああ、そんな事いいのに。気にしないで」

彼女は、彼がわざわざ謝罪の電話をして来た事に驚いた。
彼がそんな事を気にするとは思っていなかった。

「忙しいんでしょう。あなたこそ支店に出社する前に少し仮眠を取って。それじゃあ」
彼女は早く電話を切ろうとした。
『待って、お詫びにさっき君が言っていたドレス、僕に支払わせてくれないかな。ショッピングモール
 にたくさん店があるらしいから・・・』
マックスは言葉を続けかけていたが、キャサリンはそれを遮った。

「マックス、そんな事をしてもらう必要は無いわ。あなたがそんなに責任を感じる事じゃ無いわよ。
 私は 充分してもらっているわ。とても素敵な部屋を用意してもらって、すごく感謝してる」
『しかし、僕にとってドレスの1枚や2枚、どうってことないんだよ。僕の好意だと思って受け取って
 欲しいな』




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02.25
Mon
飛行機ではキャサリンとマックスは隣同士の席だった。
彼女は緊張し、本来なら寝ている時間だったが、ニューヨークでの明け方に当たる時間になるまで眠れなかった。フライトの間、彼女の隣のマックスは、高性能で薄いノートパソコンとタブレット端末の両方を長時間使って、作業をしていた。
キャサリンが短く浅い睡眠から目が覚めても、同じ作業をしている。

とうとう、何をしているのかと彼女が訊ねると、機上で各国の各部署とチャット会議をしていたらしい。機内なので、会話が社外の人間に聞かれる事を敬遠してチャットで行っているとの事だった。
キャサリンと会話をする間も、パソコンの画面に誰かのコメントが表示されると、彼は器用にキーボードを叩きながら彼女に受け答えをした。
画面のやり取りの内容を見られるんじゃないかしら、それは大丈夫なのかしら、とキャサリンは思ったが、カタカタとテンポよく打ち込まれる文字は、相手の返答とあっという間に繰り返されて、把握するのは困難だった。

キャサリンはマックスの多忙さと、パソコンの操作能力に感心しながら、呆れた。
彼は何時間もそうしていたが、2つの端末の電源を落とすと、キャサリンに映画を観よう、と言った。それで、彼と彼女は長時間のフライトの内の2時間、最新のアクション映画を一緒に観た。
それ以外の時間、彼女はマックスの物よりも分厚く性能の劣る持参のノートパソコンで、W&Mの資料作成をしたり、読書をしたりした。

到着の8時間ほど前になると、キャサリンはまた眠たくなった。朝起きた時から考えると、短い仮眠を除くと28時間ほど起きている事になる。すぐに睡魔が訪れた。
そして、着陸の30分前にマックスに起こされた。
彼はキャサリンが寝ている間に睡眠をとって、今またパソコンを見ている。
彼女はCEOという仕事の業務の多さと、彼のタフさに舌を巻いた。

シンガポールのチャンギ空港には、現地時間で金曜日の朝6時30分に着いた。
キャサリンは飛行機を降りた空港の通路で、大きな伸びをする。
ビジネスなのでエコノミーよりゆったりとした席だったが、18時間30分ノンストップのフライトはとてつもなく長かった。機内では隣のマックスを意識して、寝ても安眠とは言えず、自身が寝返りを打つたびに目が覚めたし、本来ニューヨークであれば時刻は翌17時30分のはずだった。
完璧な時差ボケだ。

税関を抜け、荷物を受け取り、到着口を出ると、女性に声を掛けられる。
「ミスター・コナーズ」
彼女はスーツを着ていて、東洋の血をはっきりと表す美しい黒髪をしていた。
そして東洋の女性に多い、細い体をしている。

「ミスター・コナーズ、シンガポールへようこそ。こちらで滞在なさる間、秘書を務めさせていただく
 サラ・ヤンです」
彼女はマックスに手を差し出した。
「ああ、アルから聞いているよ。マックス・コナーズだ、よろしくミス・ヤン。こちらは、W&M法務事
 務所のミス・キャサリン・パーカー」

彼はミス・ヤンに握手をし、キャサリンを紹介した。
彼女はキャサリンを見ると、自己紹介を述べる。
「サラ・ヤンです。お2人の今回のお仕事が快適な物になる様に、お手伝いをさせていただきます」
「キャサリン・パーカーです。よろしく」

――なぁんだ、秘書がちゃんと付くのね、さすがはCEOだわ。
キャサリンは思いながら、彼女と握手をした。
そして、現地時間では早朝であるはずなのに、きちんとスーツを着て出迎える彼女に対し、自分がラフな半袖とジーンズ姿である事に、恥ずかしさを覚えた。
マックスに飛行機の中で事前に確認を取っておいたが、彼の言う事を信じたのは失敗だったと分かる。
彼も同じような格好をしているが、彼とキャサリンでは立場が違うのだ。
自分はスーツを着ておくべきだったと、後悔する。

「では、滞在されるホテルへご案内いたします」
「ありがとう、ミス・ヤン」
彼は答え、2人はミス・ヤンに先導されてチャンギ空港を出た。


シンガポールは早朝から晴れていた。
この国は赤道直下に近く、太陽がまぶしい。ミス・ヤンの運転する高級車に乗り、チャンギ空港を離れる。車から見るチャンギ空港は、朝日を浴びて白く輝いていた。
高速道路を走る間、キャサリンは熱帯性の街路樹と、シンガポールの街が予想していたのより大都会であることに驚いた。朝日に照らされる高層ビル群は美しかった。
そして、この旅行にわくわくとした気持ちが沸き起こるのを止められなかった。

「ミス・ヤン、取り敢えず今日の予定を確認したいのだが」
マックスは、後部座席から彼女に話し掛ける。

「はい、これからホテルにチェックインしていただいた後、CEOにはシンガポール支店へ出社していた
 だき、全社員への特別朝礼にご出席いただきます。その後、支店内のご案内を予定しております。
 支店長、各部門長と昼食後、13時からご商談が一つ、15時から不動産物件のご確認がございます。
 こちらの確認には、ミス・パーカーもご同席をお願いします。帰社後、シンガポール支店の業績につい
 てご報告にお時間を取っていただいて、19時からシンガポール経済会会長とご夕食のご予定です」
彼女は車を運転しながら、すらすらとマックスの予定を言った。

「えーと、シンガポール時間の17時か17時30分には、インドとちょっと話をしなくちゃならない議題
 があるんだけど、時間がとれるかな?」
「・・・不動産確認にかかる時間と業績報告のお時間によりますが、調整は可能かと存じます」

ミス・ヤンが答える。
キャサリンはマックスのスケジュールの過密さに目を見張った。
世界的企業のCEOであるという事はこういう事なのか、と思った。

「それと、経済会会長との夕食にはミス・パーカーも同席の予定になっているかな?」
マックスはミス・ヤンに聞いた。
「予定には入っておりませんが」
彼女はルームミラーで後部座席のマックスとキャサリンをチラリと見て言った。

キャサリンは、彼女の黒い瞳に、じろりと睨まれた様な気がした。

「では、彼女も同席すると先方に伝えて欲しい」
マックスはミス・ヤンに指示した。

「ミスター、その様な席に私も同席する訳には参りません」
キャサリンは慌てて言った。
そんな席に同席するための服を持ってきていなかったし、ミス・ヤンにまた睨まれる訳には行かない。




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02.22
Fri
どうも~。nicika でございます。

さて、本日、年下の罠の3日目-4、5、6 をアップしました。

さぁ、今度はシンガポールに2人は旅経ちます。
シンガポールの魅力を皆さんに伝えられると、いいんですけどね~。
みなさまに楽しんでいただけると幸いです。 m(v_v)mペコリ


と、
ネット小説ランキング様にアップさせていただいているタイトルのところに
バナー画像も追加してみました~

こういうことするの勉強になるわ~。
ほんまに。
しかし、結構地味な作業だな・・・・。
ぽちぽちぽちぽち・・・、パソコンで画像作るのって。

その作業で、できたのがあの画像でございます。
稚拙なバナー画像なんですが、精いっぱい作ってみました。

さぁ、バナーできたぞっと思ってネット小説ランキング様の更新ページを確認すると、
貼り付け? 貼り付けないとダメなのよね・・・この画像。
どうやって貼り付けるんだ???
あー、なるほど、なるほど・・・。

んで、貼り付けてみて、ネット小説ランキングのページを確認してみて思った。
・・・・他の作家さんの画像、ちょーきれいじゃん。
    私のやつ、しょぼすぎて恥ずかしいんですけど・・・。

他の作家さん、すんげーきれいな画像貼っておられるけど、
すごいな~。
小説書けて、絵も描けるんかいっっ!
うらやましいわっっ。

すいません・・・ひがみでした。

もうええわー。
画像へたくそなのは、あきらめよう。開き直ろう。
どうせ、誰もそこまで突っ込まないだろ。

ということで、しばらくして綺麗な画像が作れたら、変えるかも、です。

ではでは、キャサリン&マックスの展開をお楽しみください






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02.22
Fri
マックスはキャサリンの荷物を持つと、先に部屋を出る。
キャサリンは電気を消し、部屋に鍵を掛けると彼を追った。
彼女の部屋はアパートの3階で、建物にはエレベーターがついていない。
そのため階段で昇り降りをしなければならず、正直、マックスが荷物を運んでくれるのは嬉しかった。
彼女は急いで階段を降りたが、彼はもうアパートの外へ出ていた。
高級車のトランクを開けて、彼女のスーツケースをその中へ入れている。

「すごい高級車ね」
キャサリンはあまり車には詳しくなかったが、彼の見事な流線形のシルバーの車が高級車だと言うぐらいは分かった。
彼女は、マックスが親しみやすい雰囲気だったので忘れていたが、彼がピピコムの最高経営責任者である事を思い出した。

「そうでも無いよ」
マックスはさらりと言った。

そうでも無い? そんな筈無いわ、と彼女は思った。
彼の言葉に、彼女は自分との生活のレベルの差を感じた。

「さ、乗って」
マックスは助手席のドアを開ける。
彼女は遠慮しながら、黒い革張りのシートに滑り込んだ。
シートの革は高級品らしく、少しひんやりとして素晴らしく手触りがいい。
車には他に誰も乗っていなかった。
彼は運転席に座ると、慣れた手つきで車を動かす。

「空港で他の誰かと合流する予定なの?」
キャサリンは彼に尋ねた。
ニューヨークの夜景が窓の外を、すべる様に走っていく。街は街灯と光り輝く看板で明るく縁どられている。

「いいや」
「いいやって? まさか2人なの?」
「僕の秘書のアルも一緒に行く予定だったんだけど、僕がいない間に片付けたい業務ができたって言って、
 断られたんだ。おかげで僕は、いつも彼にやってもらっているスケジュール管理を自分でしなくちゃな
 らなくなった」
そう言って交差点を曲がるために、ハンドルを左に切る。
角を曲がって彼が車を加速させても、エンジン音はほとんど聞こえない。

「時間に遅れずに行動できるか心配だよ。あ、そうだ、キャシー、君がアルの代わりに僕のスケジュール
 管理をしてくれてもいいね」
「無理よ、そんなの」
「そうかな? 無理かな」
「私は他社の人間なのよ。どうやって私を他人に紹介するのよ。おかしいでしょ」
「・・・そうだね、君を現地の社員に紹介する時に、おかしな事になるね。なるほど、いい案だと思った
 けど無理だな」

キャサリンは彼が冗談を言っていると思ったが、マックスの様子を見ると、彼は本気の様だった。
彼女は少し呆れながら、今後のスケジュールの確認の必要があると感じた。
「飛行機のチケットを見せて貰ってもいい?」

彼女はマックスに言った。
彼は、いいよと言ってコートの胸ポケットからチケットを出す。
彼女は、こういう事は事前に準備をしないと気が済まない性質だ。
今回はピピコム社に同行という事だったので、行程や現地でのスケジュールについては、フランツ氏に任せれば良いのだろうと思っていたのだ。
彼が来ないとは、当てが外れた。
まずは、飛行機の航空会社とゲートを確認しなければならない。
彼女はチケットを見た。

「これ、ビジネスなのね」
キャサリンは、実は飛行機はエコノミーしか乗った事が無い。
ビジネスクラスに乗るのは初めてだったのでつい、言葉に出した。

「ああ、ごめん。便の都合でビジネスしか無かったんだ。ファーストにしたかったんだけど」
マックスは彼女の言葉の意味を取り違えた。
彼は仕事だとは言え、彼女との初めての旅行だったので、ファーストクラス以上を使いたかったのだ。
それでつい、そんな言葉が出た。

「ピピコム社専用機で行けば良かったんじゃないの?」
彼の本心が分からないキャサリンは、さっきの彼の言葉にまたもや彼との経済感覚の違いを感じ、嫌味を言ってみた。

「行ければ良かったんだけどね。でも、さすがにシンガポールは遠くて、社の機体だと途中の給油でだいぶ
 ん時間が取られるから、航空会社の直行便の方が早いんだ」
「まさか、本当に専用機があるの?」
「あるよ。そんなに大きくないけどね。今度、乗せてあげるよ」

マックスは助手席の彼女をチラリと見て、ニコッと微笑んで言った。
キャサリンは、彼がキャサリンなんかとは桁違いにお金持ちなのだ、という事に、今更のように気付いた。

――住む世界が違うわ。
彼女は思った。
この旅の先が思いやられた。
世界的企業のCEOに同行するなど、とんでもない事だと言う事が理解でき始めていた。

彼女は、今回の出張に同行する事を了承したのを後悔しながら、窓の外を流れるニューヨークの夜景と、車の中という密室で感じる彼の匂いと、彼のさっきの笑顔に、とろけそうになるのを必死で堪えていた。




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02.22
Fri
キャサリンは言うと寝室へ消えた。
マックスは室内に入ると、居間のソファにどさりと座る。
隣の寝室のドアをチラリと見る。

その向うで彼女が着替えているかと思うと、裸の彼女が想像されて、腰より下が少し緊張した。
今すぐ彼女を味わいたい気持ちは山々だが、まだだ、と彼は自分の反応を諌める。

マックスは、彼女が自分自身の意思で彼を求める様になるまで、彼女には触れないでいようと決めていた。
そのためには、彼女の警戒心を解き、信頼を勝ち得る必要がある。
彼は、まずは友人として彼女と付き合う事にしていた。

だが、気持ちを隠すのは容易ではない。
今日も、彼女が今週末に予定があると言っていた時、何の用事なのか気になって仕方が無かった。
友人らしく心配している風を装って聞いたが、彼女は答えない。
その事が更にマックスを嫉妬の炎に苛ました。

誰か他の男とデートの約束でも入っていたのではと思うと、怒りに目が眩む思いだ。
本当は、今すぐ彼女を奪って自分の物にしたかった。
だがそんな事をすれば、彼女はマックスを拒絶する様になってしまうだろう。
それは避けなければならない。彼は自分自身の欲望に耐えた。

とりあえずマックスはこの週末、彼女を独占することに成功した。
シンガポール出張は元々予定にあったが、W&M社が同行する必要のある業務は、本来無い。
というか、現地で不動産物件を確認する予定にはなっていたが、わざわざ法務担当者を連れて行くほどの業務では無かったのだ。
もっと物件が絞れてきて、条件を検討する段階になってからが法務担当者の出番だ。
だが彼は彼女を連れて行くためにW&Mに同行を依頼した。
本来まだ必要は無いが、物件確認から同行していても業務的に間違いでは無い、という状態なのを利用した。

マックスは、キャサリンがW&Mでオズワルド・スピネリ(マックスは彼をバカみたいな男と呼んでいる)に手を触られているシーンを見てから、彼女を他の男から離すことを考えていた。
そして、この事を思いついた。
その作戦は見事に成功した。

いや、彼は成功する事を知っていたし、そのように事態を持って行ったのだ。
この旅行でマックスは、キャサリンと更に親密になるつもりでいた。
彼はその柔和で親しみやすい言葉使いや態度とは裏腹に、猫科の肉食動物の様にしなやかに、じわりじわりと彼女を追い詰めていた。


寝室のドアが開いた。
キャサリンは細身のパンツにヒールを履き、太腿まであるチュニックセーターにストールを巻いて薄いコートを着ている。
髪は相変わらずまとめている。
マックスは彼女の姿を見て、美しい、と思った。
髪をまとめている点は不満だったが、そこは我慢することにした。

「さあ、行きましょう」
彼女は言った。
足元にスーツケース1つと大きめのトートバッグがある。
「荷物、それだけ?」
マックスは、彼女の荷物の少なさに驚いた。
普通、女性はちょっとした旅行でもたくさんのスーツケースが必要なものだと思っていた。

「言ったでしょ、荷物は少ない方だって。女友達との旅行でもいつも私が一番少ないのよ」
キャサリンは、得意そうに言う。

「少なすぎない? それで必要な物はちゃんと入ってる?」
マックスは彼女の荷物の少なさに、今度は文句を言い出した。

キャサリンはマックスの質問にびっくりした。
男性に荷物の中身を気にされるなんて初めてだ。
そして、少なさに文句を言われる事も。

彼は案外、世話好きで、細かい人間なのかも知れないと思った。
彼の新しい一面を見つけた気がした。

「本人が大丈夫、って言っているんだから大丈夫よ。さあ、早く行かないと飛行機に乗り遅れちゃうわよ」
彼女はマックスを急かした。
今までの彼との会話の経験から、彼だとこのまま荷物の検品まで始めかねないと思った。
それだけは勘弁してほしい。
それに、出発予定時間を大幅に過ぎている。

「オーケー」
今度は、マックスが彼女に降参した。




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02.22
Fri

『フライトは、今日の23時だから21時には迎えに行くよ』
「迎えに? お忙しいのにいいわ。私は電車で行くわ」
マックスの車で行くなんてとんでもない、とキャサリンは思った。
彼と狭い車内で一緒に居る想像にドキリとしながら、彼との接触をできるだけ避けたくて今回の出張も断ろうと思ったのに、これでは困ると感じた。

『大きな荷物を持って電車で行くなんて、大変だろう? どうせ僕も行くんだし、君も乗ればいいよ。
 大丈夫、僕の車には君が座れるぐらいの席はあるよ。ああ、でも女性の荷物はものすごく多いから、
 君があんまりたくさんのバッグを持って来たら、座る場所も無くなってしまうかも』
「そんなにたくさんの荷物を持って行く予定は無いわ。私、荷物は少ない方なのよ!」
『良かった。僕の席まで荷物でいっぱいだったら、誰も運転できないからね。じゃあ、21時に迎えに行くよ』

キャサリンは彼の言葉に微笑みながら、観念した。
彼にかかると彼女はいつもこうだ。

「分かったわ。じゃあ、お言葉に甘える事にする。21時ね」
『そう、21時。楽しみにしているよ』
キャサリンはマックスの言葉にまたドキリとしながら、彼の言葉をそれまでと同じように、誰にでも言う挨拶だと思った。

それじゃあ、と言って彼女は電話を切る。
切ってからキャサリンはまた、大きく溜め息をついた。

結局彼の言うなりになっている自分に、がっかりした。
彼は5歳も年下なのに、キャサリンは彼にたくみに誘導されている。
その誘導が不快では無い事も、癪に障る。

彼女は携帯で時間を確認した。
オフィスを出てから30分以上も経っている。

しまった、と思い大急ぎで建物の中へ入った。これもマックスが電話に出るまで長く待たされたせいだと思った。
受付の女性の冷たい態度を思い出し、また彼女に腹を立てた。





夜21時を過ぎて、キャサリンが部屋でマックスを待っていると携帯が鳴った。
知らない携帯番号からだったが、もしかしてと思い、携帯を取る。

「・・・はい」
キャサリンは普段、知らない番号からの電話には出ない様にしている。
携帯でトラブルに巻き込まれる事も多いからだ。

『遅くなってごめん。今、下に着いたよ』
「マックス? どうして番号を知っているの?」
『今日、会社に携帯から掛けてきただろ』
「ああ、なるほど・・・」
彼女は納得した。

「じゃあ、下に降りるわ」
『荷物があるだろう? 降ろすの手伝うよ。ちょっと待ってて』
彼はそう言うと電話を切る。

しばらく待っているとドアベルが鳴る。
彼女は玄関を開けた。
ドアの前にラフな服装のマックスが立っていた。
ジーンズにハイネックを着て、その上にパーカーを重ねてジャケットコートを羽織っている。
良く似合っている。

「スーツじゃないの?」
キャサリンはマックスに問い掛けた。
「だって機内泊をするんだよ。スーツじゃくしゃくしゃになっちゃうよ。機内で到着前に着替えるつ
 もりなんだ。君こそスーツを着てるけど、それで眠れる?」

キャサリンはスーツを着ていた。
「だって仕事だし、寝る時に着替えようと思って・・・」
本当は機内泊もあるので、何を着ていくか悩んだ。
しかし行く時から普段着を着るのはラフ過ぎると思い、無難なスーツにしたのだ。

「着替えておいでよ。待ってるから」
マックスは言った。
「でも・・・」
キャサリンは躊躇した。
彼に普段着を見せるのは、親し過ぎる様で嫌だった。
以前に、それよりもっと赤裸々な姿を見せているというのに。

「でもは無し。18時間30分のフライトだよ。そんな恰好でリラックス出来る訳ないだろ。さあ早く」
マックスは彼女を急かす。
彼の言う事はもっともだ。

「分かった、分かったわ。ちょっと待ってて」
彼女はマックスに降参した。
「あ、何か飲む?」
「お構いなく。僕が遅れたのも悪いけど、遅くなってしまうからね」
「オーケー」


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