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05.30
Thu
キャサリンはハッと気が付いた。
「あっ、飛行機! NYに行く用事がなくなっちゃった」

「それって、僕に会いに行こうとしてたって事かな?」
キャサリンの様子にマックスはニヤケ顔を隠さない。

「そうよ。あなたに会って、謝って、きちんと自分の気持ちを伝えようと思ってたのよ」
くすりと笑ってキャサリンは素直に答えた。

マックスはそんなキャサリンの腰を引き寄せ軽く唇にキスをする。
「せっかくだからNYには一緒に行こう。チケットの空きがあるかすぐ確認しよう」

「それに、父と妹に伝えないとね。今頃気を揉んでるわ」
「お父さんや妹さんには伝えてあるよ」
「えっ? 何を?」
「だから、ここに来る前に家に行ったって言ってただろう? その時に、君にプロポーズするつもりだって
 伝えておいた」
「・・・2人とも驚いていたでしょう?」

キャサリンはマックスの行動の速さに感心をする。

「うん。びっくりしておられたね。僕の事、全然知らなかったみたいだし」
ジロリと、マックスはキャサリンを見る。

うっとキャサリンは言葉に詰まった。

「でもお会いして良かったよ。君がNYに行こうとしていると教えてくれたしね。他にも色々とアドバイ
 スを貰った。君に文句を言い出したらきりが無いけど、僕は君に夢中だから、仕方が無いのかな・・・」

はぁーとマックスは溜め息をつく。
キャサリンは彼の言葉で、どうやら2人がキャサリンの最近について、何かの報告を彼にしたようだと理解した。NYでナタリーを相手に彼の事を未練たらしく語ったのも、きっとマックスはナタリーから聞いて知っているのだろう。
だから、再会した時にあんなにニコニコ笑っていたのだ。

「でも僕は、思いのほか嫉妬深いみたいだから、君も僕を安心させる様にして欲しいな」

「安心させるって、どういう事?」
言葉の裏の何やら不穏な雰囲気を感じ取り、キャサリンは遠慮がちに聞いた。

「例えば、毎日愛してるって言ってくれるとか」
「それは・・・、可能よ」
「じゃあ、式をすぐに挙げる事も可能?」

「マックス、本気?」
キャサリンは驚いた。

「僕は君に早くキャサリン・コナーズになって欲しいんだ。君のお父さんの事もあるし、すぐに結婚し
 よう」

マックスの2度目のプロポーズにキャサリンは、もう一度瞳に涙を溜めて、こくりと頷いた。





2人はその後、大急ぎで準備をし、約1か月後に式を挙げる。
結婚式は2度挙げることになった。

病状の進行したキャサリンの父親のために、スクラントンの教会で身内のみの式を挙げた後、NYのロングアイランドで主にマックスの関係者を招待した挙式を行った。

マックスは彼女の父親のために肝臓癌治療の権威を探し、セカンドオピニオンを聞いたが、キャサリンの父親の病状は進行し過ぎていて治療は難しいとの事だった。
それでも、末期を自宅でギリギリまで過ごし、心残りだった長女の、幸せそうなウェディングドレスを見届けることが出来た彼女の父親は幸せだっただろう。




==END==


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>>作品紹介へ






後書

みなさま、長いあいだ『年下の罠』を読んで下さり、本当にありがとうございました。
この作品は記念すべき私の第一作目です。
そのため思い入れも強く、逆に思い入れがあり過ぎて文章がくどくなったり、拙い個所が多々あったかと思います。ここまでお付き合い頂き、本当に感謝です。

この作品を通して、みなさんに日常から離れた生活と海外旅行気分を味わっていただけたらと願っております。また、結婚適齢期を過ぎた女性の葛藤が上手く表現出来ていれば良いのですが。

作者としては長い間付き合ったキャサリンとマックスとお別れかと思うと少し寂しいです。
作品を書いている内に登場人物が勝手に喋り出す、と良く作家の方々が仰っておられますが、この作品を通して私の様な未熟者もその感覚に陥る事がままありました。特にマックスはそうでした。彼は性格がはっきりしていますので、作者の思いよりも素早く行動するタイプで、びっくりでした。特に最後のプロポーズのシーンは、最終回の最後に持って行きたかったのに、マックスは黙っていませんでしたね。キャサリンの言葉に嬉しさを隠せなくて、すぐにプロポーズしちゃいました。
キャサリンは勝気で文句をすぐに言う面があって、彼女を説得するのは骨が折れたかな。
とても良い経験をさせていただきました。

それでは結びに、再度みなさまに感謝と、少しでも幸せな気分になって頂ける事を願って。
                                        nicika





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05.28
Tue
「キャシー、僕と結婚して欲しい」

彼女を抱きかかえたまま、マックスが言った。

「マックス、本気?!」
余りの突然のプロポーズに、キャサリンの口から驚きの言葉が出た。

そのキャサリンをすっと降ろすと、マックスは彼女に跪く。
どきどきと、期待に膨らんだキャサリンの胸が鳴り出した。

「キャサリン・パーカー、僕は君に夢中だ。君を愛している。どうか僕とこれからの生涯を一緒に歩んで
 ほしい」

真剣な表情で彼は跪いたまま、ジャケットのポケットから小さな箱を取り出し、キャサリンの目の前でその箱を恭しく開ける。そこには大粒のダイヤが煌めく指輪が、ビロードの台座に鎮座している。
2人の周囲には人が輪になり出した。


――私を愛していると、彼は言っているの? 私と結婚したいと? 彼は私に今、求婚(プロポーズ)して
  いる? 嘘でしょう?

「私、あなたより年上なのよ? あなたより先に皺くちゃになっちゃうのよ。それでもいいの?」

「そんな事は関係無い」

マックスは跪いたままはっきりと言った。

「お爺さんとお婆さんになって、2人共皺くちゃで、年なんて気にならなくなる時まで僕は君と一緒にい
 たい。君は?」

マックスは少し情けなさそうな懇願する顔を見せた。

「もちろん!」


余りの感動に、景色は輝き、キャサリンは目に涙を浮かべてマックスに抱きついた。
きつく抱き合う2人に周囲から喝采が上がる。
鳴き止まらない喝采の中で、2人は激しいキスをすると、マックスがキャサリンの左手の薬指に指輪をはめる。
喝采は一段と大きくなった。

薬指にはめられた指輪は少し大きくて、ダイヤの重みでくるりと回った。

「マックス、何て立派なダイヤなの。すごく嬉しい」
感動に口をわななかせながらキャサリンは言う。

「ぶかぶかだったね。サイズが分からなくて大きい物にしたから。すぐにサイズを直させるよ」
「でも、ほんとにいいの? 私、あなたにたくさん黙ってて・・・私の事怒ってないの?」

彼からプロポーズされた嬉しさの余りどこかに行っていた疑問が、キャサリンの頭に帰って来る。
彼とはほぼ2週間ぶり。しかも大喧嘩をして別れたままだ。

「順番が逆になってしまったな。君の事を衝動的だなんて言って悪かったよ。あれは本心じゃ無いんだ。
 僕は君の事が好き過ぎてどうもつい嫉妬深くなってしまう。君があんまり何も言ってくれないから、
 僕は焦ってて、ああ全く、この僕があんな目に合わされるなんて思いもしなかった」
「何それ! どういう意味?」
「だってこの2週間、僕も大分苦しんだんだよ? でもナタリーから電話を貰って、怒られてね」
「ナタリーがそんな事したの?」
「君の友達は、なかなかお節介で激しい性格だよ・・・」

マックスは思い返す様に視線を上に向ける。
キャサリンは電話でマックスに詰め寄るナタリーを想像して少し笑った。確かに彼女のお節介さは良く知っているが、そんな事までしたとは驚きだ。
思えばマックスとこうなったきっかけも彼女のお膳立てだった。素晴らしい恋のキューピッドさんだ。
きっと一生ナタリーに頭が上がらないだろうと、キャサリンは思った。

「家に行ったって・・・、父に会ったの?」
キャサリンはもう一つの疑問を口にした。

「お父さん、そんなに悪かったなんて。もっと早く教えて欲しかった」
「会ったのね・・・」

辛そうに、残念そうに言うマックスからキャサリンは視線を伏せる。

「マックス、父の事を黙っていたのは本当に悪かったと思っているの。でも、あなたに迷惑じゃないかと
 思って言えなかった。父はもう永くは無いのよ」
「うん。お父さんから聞いたよ」

マックスはキャサリンの肩を労る様に抱いた。

「でも、言って欲しかったな。君の家族の事を迷惑だなんて思う筈が無いのに。僕がどれだけ傷ついた
 か、分かる?」
「あ・・・、本当にごめんなさい。私、あなたがそこまで私の事を考えてくれているって思っていなく
 て。あなたは私の事、もっと、その・・・」

キャサリンは言葉を濁した。
はっきり言うと、また彼を怒らせる結果になると思った。

「はぁー、ほんとに君は僕の事を信頼していないんだな。僕の気持ちは分かっていたはずだろ?」
マックスはキャサリンの言葉の続きを察し、やはり失望を表す。

「だって、私はあなたより年上だし、あなたの熱もすぐに冷めると思ったのよ」
「全く、まだ言うんだね」
「あなただって、私に付き合おうとか、好きだとか、言わなかったじゃない」
「言わなかったっけ?」
「言われてないわよ、一度も。今はじめて愛してるって言われたわ!」
「おかしいな? 言ってると思ってたけど・・・」
「だから私が勘違いしても仕方ないでしょう?」

ぷりぷりと怒るキャサリンにマックスは微笑む。
2人を囲んでいた人だかりは、何時の間にか無くなっている。

「ごめん。これからは毎日でも言うよ。愛してます、キャシー」

マックスの笑顔にぐっとキャサリンは言葉を詰まらせた。
そんな笑顔は反則だ。文句も出てこない。

「あの、実はあなたにまだ言って無い事があるの」

おずおずと声を絞り出すキャサリンに、マックスの表情は厳しくなった。

「何だろう? 僕の心臓が止まらなければいいけど」
「実は、私、・・・あなたより5つ年上なのよ。シンガポールで3つ上って言ったのは嘘なの」
「なーんだ、そんな事か。知ってるよ」

伏せていた顔をキャサリンはパッと起こした。

「知ってた?」
「うん」
「何時?」
「あー、それは、企業秘密」

まさか3年前からキャサリンの事が気になっていて、その時に調べていたとは、マックスにはとても言えなかった。そんな頃から彼女の事が好きだったなんて。

「シンガポールの時は? もう知っていたの?」
「・・・うん」
「あなた、知ってて知らん振りをしていたの? 私悩んでたのに!」

少し瞳を泳がせるマックスを睨んだが、そんな彼は見慣れたいたずらっ子の様な表情で、キャサリンの怒りはすぐに消えてしまった。
5つ年上でも、約束は守ってね、と彼に釘を刺す。
マックスはキャサリンの言葉に、もちろん、と太鼓判を押すと、あ、スティーブに電話するのは駄目だからね、と釘を刺し返す。

やっぱりマックスは嫉妬深いんだわ、とキャサリンは思った。
これは今後何か対策を練る必要が出てくるかもしれないと、キャサリンは少し顔を引き攣らせた。




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05.28
Tue
吐く息に白い物を交らせて深呼吸をし、意を決してドアベルを鳴らすと、暫く経ってからドアの向こうに足音が聞こえる。
緊張をしながら待っていると、〝はい〟というくぐもった声と共に木製のドアが開いた。
目の前には初老の、少し頭が薄くなった男性が現れた。

マックスは、ぐっと言葉に詰まった後、キャサリンと同じ瞳の色をした男性に声を掛けた。
「キャサリン・パーカーさんはおられますか?」

「キャサリンはうちの娘だけど、何かな?」
少しむくんだ感じのする男性は、瞳険しくそう答えた。







ウィルクス=バリー・スクラントン国際空港は、国際と付いてはいるが田舎の空港で、とても先進的とは言えないコンクリート造の建物だ。
キャサリンはそのウィルクス=バリー・スクラントン国際空港のロビーで椅子に座り、買った雑誌を眺めている。NY行の飛行機の離陸時間までまだ1時間以上ある。少し早く来すぎてしまった。

父はああ言ったがやはり心配だったのでソフィアに連絡をし、午後一番にソフィアがやって来てからキャサリンは家を出た。
近郊の大型ショッピングセンターに寄って、ナタリーとナタリーの婚約者エリックに、NYヤンキースの下部チームで、この地に本拠地を置くウィルクスバリ・スクラントン・レイルライダースのロゴの入ったタオル等のお土産を買った。彼らは熱烈な野球ファンなのだ。


〝スクラントンからお越しのキャサリン・パーカー様、インフォメーション・センターまでお越しくださ
 い。スクラントンからお越しのキャサリン・パーカー様・・・〟

キャサリンはガヤガヤと人の行きかうロビーで、ぱらりとファッション雑誌をめくっていた。
天井のスピーカーから流れる場内アナウンスに、驚く。
アナウンスは自分の名前を呼んだ様な気がする。
顔を上げてじっとしていると、もう一度場内アナウンスは流れた。
確かに自分の名前が呼ばれている。

彼女は父に何かあったのかと、急いで席を立った。
咄嗟に、席を立つのと同時に携帯を確認する。携帯に電話があったのを気付かなかったのかと思ったのだ。
だか携帯には不在着信を示す表示は出ていない。
おかしいな、と思いながらインフォメーション・センターを目指す。
空港だから電源を切っていると予想して、ソフィアが空港に連絡を入れたのかも知れない。
彼女は大急ぎでセンターに向かった。



その受付カウンターの横には、遠目でも分かる長身の男性がいた。
キャサリンは、その姿にぎくりとし、なぜか身体が強ばり逃げ出したい感覚に陥った。
だが彼は、すぐに彼女を見つけた。

マックスがジャケットにコートを羽織った姿で、にっこりと微笑む。

「キャシー」

「マックス、あなた、どうして?」

彼に会うためにNY行の飛行機に乗ろうとしている所だか、予想しない彼の出現に、嬉しさより驚きと、いたずらを見つかった子供の様なバツの悪い感覚が、彼女の中に込み上げる。
こんな所で現れるなんて不意打ちもいいところだ。
まだ心の準備が出来ていない。

しかしキャサリンは逃げ出したい気持ちを抑えて、彼に近付いた。
マックスもキャサリンに大股で近付いてくる。

「君こそ、どうしてここに?」
マックスは、ニコニコとしたままキャサリンに問い掛けて来た。

「どうしてって、呼び出されたから・・・。もしかしてあなたが呼び出したの?」
「まあね」

不敵に微笑むマックスに、頭が付いて行かない。
――彼は私に会いに来てくれた?

キャサリンの中で驚きは、もう既に喜びに変わっていた。

「マックス、私、これからNYに行こうとしていたの・・・」

キャサリンは声を上ずらせた。
彼が目に前にいる。
予定にはない事だが、こうなったらこの場で言わなければならない。
上手く言えるかどうか自信が無い。


「あなたに会いに」

意を決して吐いた言葉に、マックスの微笑んでいた口元を結ばれ、瞳からは優しい光が消えた。
キャサリンは間違った事を言ってしまったのかと、思った。
彼の表情に、途端に胃がざわつくのを感じる。
しかし、言うと決めたのだ。
本当に、こんな年齢になって告白をするなんて思わなかった。

「マックス、私、あなたに言わなきゃならない事が、ある。仕事を・・・W&Mを辞めた事はもう知っ
 てるわよね? その・・・ごめんなさい、何も言わずに辞めてしまって。父が、肝臓癌を患ってて、
 あなたに再会する前に故郷に帰ると決めていたの。すごく・・・不誠実だって分かってる」

マックスを見つめながら言うが、彼の表情は固まったままだ。
キャサリンは喉がひりつくのを感じた。
泣きそうだ。

「私、あなたの事、不誠実だなんて言えた義理じゃないの。だけど、あなたとの時間が楽し過ぎて、夢み
 たいで、壊したく無くて、言えなかった。スティーブの事は全然関係無いの。私はあなたの事を、愛し
 てるの。あなた以外に愛している人なんか、いない。父の事を黙っていたのは、あなたに同情された
 く・・・」


言葉を続けようとしていたキャサリンは、マックスに抱きしめられた。

「キャシー、もういいよ。知ってる。ここに来る前に君の家に行ったんだ」
「マッ・・・クス、家に行ったの?」

キャサリンは抱きしめる彼の腕の力強さに、瞬間、喜びと困惑を感じながら聞いた。

「君のお父さんに会ったんだ。ああ、それよりさっき言った事、もう一度言って欲しい!」
「さっき?」

キャサリンは彼の腕の中で、顔を赤らめた。
抱きしめていた腕を解いて、マックスがキャサリンの顔をじっと見る。

「さっき、言っていただろう、僕の事」

じっと見つめる青い瞳が痛いぐらいだ。
しかし今は自信を持ってその瞳を見つめ返す事ができる。

「私・・・マックス、あなたを愛している」

「やっと、言ってくれたね!」

途端にマックスにぎゅっと抱き上げられた。
きゃっとキャサリンの口から小さな叫びが上がる。




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